学年章

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学年章とは、学年を表示するために、学生がその制服に着用する徽章のこと。

学校の制服には通常校章を着装するが、学年章やクラス章は、それに加えて制服につけ、所属学年やクラスを生徒ごとに表示させるものである。表示の形式としては、襟文字のバッジ、色分けのバッジなどがある。

もともと、学年章は、軍隊の階級章・部隊章にヒントを得て学校教育の中に導入されたもので、旧制中学で、制服の詰襟の左右に、学年と組をそれぞれ大きな襟文字バッジで示すのが始まりであったようだ。今日でも、旧制中学の伝統をもつ高校の一部に、襟文字式の学年章・クラス章を残している例がみられる（例、福岡県立小倉高校）。

しかし、算用数字やローマ数字の襟文字で所属学年という生徒の個人情報を不特定多数にさらすことには問題があるため、色分けバッジに変えたり、あるいは数字を遠くから読みにくいデザインにするといった、生徒の個人情報露出を避ける配慮が行われるようになった。さらに、校章そのものの中に学年色を導入して、１つのバッジで済ませたり、校章の下に学年色の布地をつけさせたりする高校もある。学年色の場合は、色の意味を知らない一般市民には、何年生か見ただけでは判らないから、個人情報保護の観点から、襟文字バッジより望ましい。

制服には自分が学ぶ学校への主体的アイデンティティや帰属心を生む効果もあるが、クラスや学年に主体的アイデンティティを持つケースはまれであろうから、学年章やクラス章には、生徒管理という色彩がより強いといえる。学年章を装着させていれば、学校側から見て、生徒を校内で区別する時に便利である。さらに襟文字バッジは、校外で生徒が非行行為を働いた場合、被疑者の生徒を一般市民にも特定しやすい。また、生徒が学年章をつけることにより、生徒の間には、先輩・後輩のタテの序列も生まれやすくなる。学年章・クラス章は、このように、生徒管理と差別のための道具という要素が濃い。

旧制中学の伝統を汲む学校だけでなく、戦後に創立された高校でも、カトリックが設立主体の学校のように規律が厳しいところでは、生徒に襟文字の学年章着用が義務付けられた。関西では、洛星、六甲、愛光、星光学院などで、生徒は襟文字の学年章を詰襟に着装するという校則がいまなお生きている。県立高校では、地域性があり、九州、北東北、山陰などに襟文字の学年章・クラス章が多く残る。これに対し、関東や名古屋地区では、襟文字式の学年章が、私立・県立を問わず少ない。

最近、襟文字の学年章・クラス章を制定していた高校の中には、これを廃止したり、個人情報の露出を嫌った生徒がこれを自主的につけないようになり、事実上消滅となったケースも見られる（例、千葉県立千葉高校）。今なお襟文字の学年章を制定している学校も、個人情報保護の流れの中で、今後は見直しの必要が出てくるであろう。