売上高利益率
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売上高利益率(うりあげだかりえきりつ)は、企業の財務分析で用いられる指標の一つであって、売上高に対する利益の比率である。企業が提供する商品またはサービスの競争力と販売活動・財務活動を含めた、企業の総合的な収益力を測る指標だといえる。
目次 |
[編集] 算出の基礎となる利益の種類
売上高利益率の分子としてどのような利益を使用するかによって、以下の通り、売上高利益率の呼称も変化する。
[編集] 売上高利益率
単に売上高利益率という場合は、通常、分子に当期純利益を利用する。
[編集] 売上高総利益率
分子に売上総利益を利用すると、売上高総利益率(粗利率)と呼称される。この指標は、企業が提供する商品またはサービスの競争力を測るために利用される。バリュー・チェーンになぞらえれば、製造活動の巧拙を測る指標であるといえる。
[編集] 売上高営業利益率
分子に営業利益を利用すると、売上高営業利益率と呼称される。この指標は、企業が提供する商品またはサービスの内容と販売活動の成果を合せた、企業の競争力を測るために利用される。
[編集] 売上高経常利益率
分子に経常利益を利用すると、売上高経常利益率と呼称される。この指標は、企業の営業活動と財務活動を併せた全体の収益力を測るために利用される。
[編集] 数値の意味
[編集] 業種ごとの相違
小売業の売上高利益率は概して低い。これは業種全体として薄利多売を志向していることが多いためである。一方、小売業の資本回転率は一般に高水準となっている。このため、結果として資本利益率は他の業種とさほど差がない。
また、売上高総利益率に関していえば、製造業だと、食品業・製紙業などの成熟市場においては概して低い。一方、製薬業のように、公的規制により商品の価格が高止まりしている業種では高い。しかし製薬会社は研究開発費として多額の一般管理費を支出するため、売上高利益率においてはそれほど差がなくなる。
[編集] 期間ごとの推移
売上高利益率が前期に比べ低下した場合、企業の収益力の低下を意味することが多い。一方、企業が事業規模を拡大している際にも、一時的に薄利多売の販売戦略が採用される結果、売上高利益率が低下することがある。これら両者を区別するためには、売上高利益率の分析と合せて、売上高の変動についても分析する必要がある。
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