吉田神社 (水戸市)
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吉田神社(よしだじんじゃ)は茨城県水戸市宮内町(常陸国那珂郡)に鎮座する神社。常陸国三宮である。同名の京都の吉田神社とは関連はない。日本武尊をまつる。
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[編集] 概要
[編集] 由緒
『常陸二十八社考』などによると、日本武尊の東征時にこの地朝日三角山で兵を休ませたことにちなみ、創建されたという。
[編集] 祭神
- 日本武尊
[編集] 社名
『延喜式』神名帳には「吉田神社」とある。 『鎮守帳』には「第三宮」とあり、『廿八社略縁誌』には「吉田第三宮」「吉田神宮」ともある。
[編集] 歴史
[編集] 末社
- (六社)
- 松尾神社(まつのお じんじゃ)・多賀神社
- 住吉神社・八幡宮
- 大国主事代主神社・疱瘡守護神社
- 国見神社・早歳神社
- 国見神社
- 祭神:彦国見加岐建與束命
- 早歳神社
- 祭神:両道入姫命
- 国見神社
- 本社本殿の瑞垣内の向かって右奥にある。二間社見世棚造の簡素な社殿である。両社とも『鎮守帳』『廿八社略縁誌』に記載がある。
- 国見神社(くにみ じんじゃ)は彦国見加岐建與束命(ひこくにみがきたけよつか の みこと)を祀る。彦国見加岐建與束命は伊勢神宮外宮摂社である度会国御神社の祭神で伊勢国造・度会神主の祖である。「国見神社」と「度会国御神社」と社名が通じるので同神が祭神に比定されたのだろう。
- 早歳神社の両道入姫命(ふたぢのいりひめ の みこと)は本社祭神日本武尊の妃の一人で仲哀天皇の母である。社名についての由来は不明。
- 飯神社・水戸神社
- 飯神社
- 祭神:仲哀天皇
- 水戸神社
- 祭神:速秋津彦命
- 飯神社
- 本社本殿の瑞垣内の向かって左奥にある。二間社見世棚造の簡素な社殿である。両社とも『鎮守帳』『廿八社略縁誌』に記載がある。
- 飯神社(いい じんじゃ)だが、『鎮守帳』には「新宮社」とある。『廿八社略縁誌』には「新宮社」ではなく、「飯神社」「気比明神」とある。新宮とは一般的には本社祭神の御子神を祀る神社のことだとされていることから、祭神が仲哀天皇に比定され、仲哀天皇を祀ることから、気比神宮にちなみ、社名を「飯神社」「気比明神」としたのだろう。仲哀天皇は日本武尊の第2王子で、母は両道入姫命である。
- 水戸神社(みと じんじゃ)は水戸市笠原町にある神社でその分社が祀られている。速秋津彦命(はやあきつひこ の みこと)は記紀に登場する神で水神であるが、『古事記』に別名として「水戸神(みなと の かみ)」とあることから同社に結び付けられて祭神となったのだろう。
- 稲荷神社・土師神社(はじ じんじゃ)
- 『廿八社略縁誌』には「稲荷明神」のみが記載されている。二間社見世棚造の簡素な社殿である。
- 星宮神社(ほしのみや じんじゃ)
- 祭神は妙見菩薩もしくは磐裂神だと思われる。
- (稲荷神社)
- 天満宮
- 祭神:菅原道真
- 『鎮守帳』に「天神社」とあり、『廿八社略縁誌』に「天満天神」とある。他の末社が全て小さな社殿であるのに対して、天満宮のみ中型の流造の社殿を持ち、拝所が整備されている。
『廿八社略縁誌』によると、別宮として、笠原大明神(水戸市内笠原町:笠原神社)・酒門大明神(水戸市酒門町:酒門神社)が挙げられている。笠原大明神の祭神は弟橘姫神・開耶姫神で、酒門大明神の祭神も開耶姫神である。
また『鎮守帳』に「看督長社二社」(かどのおさ)とあるが、おそらく随神門の左右に祀られている神だろう。
- 朝日三角山神蹟
- 神蹟は由緒において祭神日本武尊が休んだとされる場所で、聖別されて鳥居が建てられている。
[編集] 祭礼
例祭は10月15日16日 旧9月15日
[編集] 文化財
『吉田神社文書』
[編集] 史料
- 『鎮守帳』(『神道大系』所収)
- 水戸藩が寛文・元禄年間(1661-1703)に行なった神社整理後の水戸藩下の神社帳。明確な成立年代は不明。
- 『廿八社略縁誌』(『神道大系』所収)
- 石井脩融著。1797年(寛政9年)1月。常陸国の式内社28社について考証した文献。
- 『常陸二十八社考』(『神道大系』所収)
- 青山延■著。1799年(寛政11年)12月。常陸国の式内社28社について考証した文献。
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