函館ハリストス正教会

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[編集] 函館ハリストス正教会

安政５年、初代ロシア領事ゴスケウイツチら15人とともに箱館に来た司祭イワン＝マホフ(『ﾛｼｱ･ｱｰｽﾞﾌﾞｶ=ろしあのいろ は』の著者)は、安政６年(1859)現在地に領事館・病院とともに建てられた付属聖堂で布教を始めた。文久元年(1861)マホフの後を継いだニコライは、明治元年(1868)から正式に伝道を開始し、積極的な布教を勧め箱館にもよくつくした。 　また、当時山上大神宮の宮司であった、土佐出身で坂本龍馬や武市半平太とも血縁関係でもあった澤辺琢磨が、このニコライの日本における第一号の洗礼者となったことも史料に伝わっている。澤辺の身の上のいきさつについては、酔った上での盗賊行為など諸説があるが、坂本龍馬による蝦夷地屯田兵構想の一端を担ったという説が有力である。澤辺はのちに東京神田のニコライ堂の司祭になっている。 　その後任のアナトリーも教会で正教小学校(明治6~31)や正教女学校(明治17~26)を開いた。 旧木造聖堂は明治40年の大火で焼失したので、聖堂を大正３年から建設しはじめ、大正５年(1916)現在の聖堂が完成した。レンガ造りのロシア風ビザンチン様式を加味したもので、鐘楼と合わせて６つのクウーポルを持つなど特異な形態をもっている。昭和43年屋根を中心に大修理を行い、鉄板を銅板に改めたが、また傷みがひどくなったため、昭和63年大々的に修理復元工事を行った。 国の重要文化財には、昭和58年に指定され、文化財としての価値を確定した。 内部の聖障(ｲｺﾉｽﾀｽ)は、ロシア革命前の騒然たる中をやっと抜けてきたもので、函館では着くかどうかと心配したという。極彩色の見事なものである。また、山下リンのイコンがある。 明治40年に焼失するまで、鐘の音が函館の町によく響き、その音から「ガンガン寺」と呼ばれた。現在の鐘は新たにつけられたもので、大小たくさんの鐘が複雑な音を響かせている。なお、東京ニコライ堂の現在の鐘は、大正５年に再建されたとき箱根塔の沢聖堂から函館に移したものを、東京ニコライ堂修理再建のときに再び東京へ移されたものである。