保安電子通信技術協会
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財団法人保安電子通信技術協会(ほあんでんしつうしんぎじゅつきょうかい、略称 保通協(ほつうきょう))は、遊技機(パチンコ、パチスロ、アレンジボール、雀球)の型式試験を主業務とする、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」第20条第5項の規定に基づく、国家公安委員会の指定試験機関である。
遊技機メーカーより提出された書類および実射試験にて、遊技機が規定上の条件を満たしているかどうかを都道府県公安委員会の委託を受けて型式試験を行っており、遊技機のスペックはこの試験に通るか否かで決まっていると言って過言ではない。遊技機が世に出るまでには、おおまかに
- 遊技機メーカーが保通協に試験を申請
- 不可であれば1.に戻る
- 各都道府県の公安委員会の認定を受ける
- 台がホールに設置され、ホール所轄の警察が試験をする
- 晴れてデビュー
という流れになっている。
また、保通協は警察庁の天下り先である。結果、競合する機関もなく非常に高コスト体質であること、検査の時間が異常にかかることなど、そのあり方はしばしば批判の対象となっている。
[編集] 補足
- 近年はサブ基盤やゲーム性の変化などによりその書類も膨大な量を用意しないと試験に通らないと言われる。ちなみに、試験の手数料はパチンコ1機種につき約150万円、パチスロだと約180万円(いずれも内税)である。不合格になっても返ってこないと言われる。落ちた理由は教えてもらえるらしい。
- よく機種名に「***2」や「***A」などの意味の分からない数字などが振ってあるが、一度試験を落ちると同名では型式試験は受けられないので、同じ遊技機を再試験する際には数字を振ったりアルファベットを振って誤魔化すと言われる。映画やゲームソフトのように2があるからといって1があるわけでは決して無い。
- 極稀に保通協は通過したものの、各公安委員会が認可しない場合により設置不可になるケースもある。「**県には****という台が全く無い」というのはこういった理由からである。古くは三重県が2000年までパチスロ機の設置を一切認めていなかった。最近では秘宝伝(大都技研)の山梨県での設置が認められなかったケースなどがある。
- その他にも現4号機はストックの消去や、サブ基盤を遠方から操作可能な構造となっていることから、これらの遊技機の試験を合格にした保通協批判は話題となっている。特に型式試験試験員と製造メーカーとの癒着問題疑惑まで発展している。
- 現在、5号機のなかでもボンバーマンビクトリー・スパイダーマン(いずれもサミー)など、役を意図的に外すことでゲームを継続させ(いわゆるリプパンはずし)保通協の試験時では確認できなかった出玉率を実現させている遊技機が出現している。これに対しても遊技者の一部から批判が出ており、保通協不要運動が起きている。
[編集] 過去に保通協が型式試験を行い問題になった遊技機
- アニマル(アークテクニコ)- プログラム上に問題があったとして、後に検定取り消し
- リバティーベルIII・IV、センチュリー21(ユニバーサル) - 7を抽選結果に関係なく揃えることのできる構造
- リノ(新潟電子)- 7を抽選結果に関係なく揃えることのできる構造。後に別理由で検定取り消し
- コンチネンタル(ユニバーサル)- 基盤外部からの信号でボーナスが成立、後に別理由で検定取り消し
- 獣王・サンペイ(サミー)、猫で小判(アリストクラートテクノロジーズ)- 抽選結果を次回のゲームでもコピー可能(コピー打法も参照のこと)
- クレージレーサー(メーシー)- 液晶操作ボタンでATゲームを無限に継続可能
- ミリオンゴッド(瑞穂製作所)、サラリーマン金太郎(ロデオ)、アラジンA(サミー)- 著しく射幸心をそそる恐れのある遊技機に認定され、後に検定取り消し