体温計

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体温計（たいおんけい）は、動物の体の温度（体温）を計測するための温度計。

人間の体温を測ることを目的したものでは概ね摂氏32度から42度までの範囲を測定できる。42度以上を測定できない（電子式では「H℃」などと表示される）のは、生体を構成するたんぱく質が42度程度になると変質してしまい生命に危険が及ぶため、そのような状態では正確な体温を測定することに意味がないためである。

水銀式体温計

[編集] 動作原理による分類

体温計は動作原理によっておおまかに4種類に大別される。水銀式と気体の熱膨張を用いたものは刻印された数字を読み取るアナログ式で、サーミスタや赤外線によって計測するものは電子回路を搭載した電子式であり、小型の液晶ディスプレイなどの表示装置を通じて体温を読み取る。電子式のものは動作させるために電源が必要で、ボタン電池、乾電池などを用いる。

[編集] 水銀式

19世紀後半に開発された方式。ガラスの管の中に着色した水銀を封入したもので、管内に封入された無機水銀の熱膨張の度合いを、あらかじめ刻印された数字で読み取る。水銀溜りの出口には細いくびれが設けられており、水銀の逆流を防いで、温度が下がっても目盛りが下がらないように工夫されている。体温計に使用される水銀は無機水銀であるため口にしても消化されずに便として排出されるが、気化した蒸気を吸い込むと肺に悪影響を及ぼすため、取り扱いには注意が必要である。電子式の普及によりこのタイプの体温計は従来よりもあまり使用されなくなってきている。

[編集] 気体の熱膨張

サントリオ（イタリア）により1609年（1612年説もある）に開発された体温計の方式。

[編集] サーミスタ

サーミスタと呼ばれる熱により抵抗値が変化する素子を利用して電子回路により測定値を表示するタイプ。一般には1980年代に登場し、内蔵したボタン電池を動力源としている。測定値を数値化して内部に記録することにより基礎体温の変化を監視できるような付加機能をもった機種もある。計測が終わると内蔵されたスピーカーから出る電子音で計測が終わったことを知らせる機能がついているものもある。

[編集] 赤外線

人体表面から出ている赤外線を検知することにより体温を測定する。非接触で体温を測定できるため感染症の拡大防止に効果がある。鼻や耳などに計器を当てることによって瞬時に測定できるタイプがこれに相当する。安静を保つことのできない乳幼児の体温を測定することもできる。他の方式と比べて高性能であるが、その分高価である。

また、他の方式では3分程度の体温の変動を平準化した値が得られる（電子式体温計では測定時間中の変動から3分間の変動を予測して計算を行っている）のに対し、赤外線式では測定した瞬間の体温が得られるため測定結果に誤差が生じることがある。これは安静でない状態の体温であることが多いため他の方式よりも若干高めの値が得られることが多い。