ワールドエンブリオ

2年前に死んだはずの叔母･天音から写メールを受け取った天海陸は、その場所が写っている廃病院へと駆け込む。しかしそこはヤンキーの溜まり場で、いきなりピンチを迎える。そんな時、幼い頃の顔馴染みである武部洋平と、ちょっと変わった美少女･有栖川レナが窮地を救い難を逃れたと思われたが、携帯電話の着信に出たヤンキーたちが突如化け物に変貌する。驚愕する陸だったが、助けてくれた2人はその化け物らを『棺守（カンシュ）』と呼び、『刃旗（ジンキ）』という武器で殲滅していく。『棺守』から逃げようとする陸であったが追い詰められ、殺されると思ったその時、謎の繭から発せられた光が『棺守』の体を滅ぼしていった･･･。

注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。

[編集] 主な登場人物

天海陸（あまみ･りく）: 私立八坂台高校1年、16歳。叔母で養母の静流と2人暮らし。ウソを付くことで人と一定の距離を保ちなが生活している。棺守に襲われて瀕死に陥った際にネーネによって棺守化されるが、洋平の刃旗核を受け継いで刃旗使いとなった。
ネーネ: 陸を助けた謎の繭から生まれた赤ん坊（2歳児くらい）。短期間での急成長、耳が４つあるなど生物学的にもかなり謎の存在。不思議な力を備えており、彼女を狙う輩は多い。天音の赤ん坊のころにそっくりで、陸を「パーパ」と呼び、親と思い込んでいる。ちなみに命名は静流による。
武部洋平（たけべ･ようへい）: 小学校の頃によく遊んだ、陸の２コ上の幼馴染。陸にとっては頼りになる兄貴的な存在で「洋兄ィ」と呼んでいる。F･L･A･Gに属している『刃旗使い』で、ナイフ大の形状をした『刃旗』を所持。リクを救うためにタカオと対峙するも敗れ、刃旗核をリクに託して生涯を終えた。彼自身も死に瀕した際、学校の先生で刃旗使いであった女性から核を受け継いでいた。
有栖川レナ（ありすがわ･れな）: 洋平のパートナーの『刃旗使い』。手裏剣大の形状の『刃旗』を２つ扱う。陸と同じ私立八坂台高校の1年であるが、お互い存在は知らなかった。丁寧な口調とは逆に攻撃的な性格をしているが、根は優しく洋平を心から信頼している。作者曰く、もう１人の主人公である。
月代隼人（つきしろ･はやと）: 洋平とレナの上司でF･L･A･G特別調査分室室長。足が不自由だが、ハイテク機器を用いて２人をバックアップしている。良家の育ちらしく、「だんな様」もしくは「ぼっちゃん」と呼ぶ『鈴』というお手伝いさんがいる。
天海静流（あまみ･しずる）: 陸の養母にして天音の姉。獣医師として生計を立てている。おっとり天然系で、陸をいつも悩ませている。
天海天音（あまみ･あまね）: 2年前に死亡したとされている陸の叔母。歳が近いこともあって、姉弟のような関係だった。その死因は謎に包まれているが、ネーネが彼女と同じ年齢に達した時「天音」になるらしい･･････。
タカオ: ある事件がきっかけで、若者の間で密かにカリスマ化されている少年。正当な『刃旗使い』ではないが非常に高い戦闘力を持っており、刃旗狩りの異名をとる。刃旗核を集めているが、どういう目的があるのかは不明。
唐沢: かつて20号棺守としてF･L･A･Gの被験者とされていた者。リクと同様、特殊な棺守となっていた。棺守化の発信源とされており、ネーネを狙っている。

[編集] 専門用語

棺守（かんしゅ）: 化物に変貌した人間。携帯電話からの謎の音波を介して感染する。一度棺守化してから人間に戻ることは不可能と言われている。また棺守化した人間のことは普通の人の記憶から消される。
柩姫（きゅうき）: タカオが「母体となった女」（＝天音）を指して使った言葉。「あいつら」と言ったことから、複数存在すると思われる。
刃旗使い: 棺守に対抗するための戦士。刃旗核を体内に保持することで刃旗と呼ばれる武器と意識圏（ケージ）と呼ばれる防御壁を駆使して戦う。ただし刃旗核を奪われると無条件に棺守となってしまう。
F･L･A･G（フラッグ）: 携帯電話会社NEFTが設立した対棺守専門の組織。戦闘要員である刃旗使いが数多く所属している。