ワッハマン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
![]() |
ウィキポータル |
日本の漫画作品 |
日本の漫画家 |
漫画原作者 |
漫画雑誌 |
カテゴリ |
漫画作品 |
漫画 - 漫画家 |
プロジェクト |
漫画作品 - 漫画家 |
『ワッハマン』は「月刊アフタヌーン」にて連載されていたあさりよしとおの漫画作品。
目次 |
[編集] 解説
1万年前のアトランティスの生き残りであるワッハマン。無敵を誇るオリハルコンで作られた体に身を包み、宿敵「パパ」を倒すという使命を帯びている……はずだが、永遠の時間を過ごすことは普通の人間には到底耐え切れないらしく、現代において本人は意識を深淵に沈めて飄々と浮き草のような暮らしをしてたりする。様々な人々と出会い、全ての黒幕・パパの陰謀に巻き込まれるうちに自らの使命を果たすために立ち上がる。
[編集] 主な登場人物
- ワッハマン
- 本名不詳。1万年前のアトランティスで「勇者」とされた人物。金色に光り無敵を誇る金属・オリハルコンの身体を与えられ「パパ」なる謎の人物を倒す使命を帯びている。永遠という時間の中で意識を深淵に沈めることがあり、その場合の行動パターンは使命も忘れてさながらホームレスのようだったりもする。後に様々な人々との出会いを経てパパとの直接対決に臨むことになる。
- レミィ
- 謎の人物「パパ」に作られたアンドロイド。小柄な少女の姿から物理的に有り得ないような変形をして「ハンババ」という巨躯をした戦闘形態になる。基本的に羞恥心というものを全く持たないので人前で裸など平気だったりする。パパに捨てられ分室に居候することになり、以後行動を共にする。現代において「パパ」との戦いに終止符が打たれた後、永遠の時間を彷徨うワッハマンへのせめてもの贈り物として長沼たちによってタイムカプセルとして残され、荒廃し人類が絶滅した後の未来に一人ぼっちになったワッハマンと再会する。
- 長沼内規
- 「防衛庁技術研究本部第四研究所特別分室」所属。
- 自衛隊諜報部門の一員としてワッハマン監視の任についていたが、ワッハマンをめぐるドタバタに巻き込まれてゆくうちに体よく責任を面倒を押し付けられて閑職に回されてしまった感は拭えない可哀想な公務員。銃声が後から届くくらいの遠距離から狙撃されても回避してしまうほどの拳法の達人。作品当初から一人、ハードボイルドを貫こうとするが周囲の強すぎる個性によりそれが長持ちしたことは無い。「パパ」に見捨てられたレミィを重要機密として保護した。
- 梅田甲三
- 「防衛庁技術研究本部第四研究所特別分室」技術職員。部下に松岡という技術者がいる。
- レミィにロケットを取り付けて宇宙に打ち上げたりと、技術力は一級のようだが、性格に起因して成果以上の破壊もたびたび。長沼に怪しげな機材・装備(ほとんどが使えない試作品ばかり)を提供していた。「パパ」への反撃時には唯一の成果である「74式強化装甲服一型」(いわゆるパワードスーツ)を盗み出し、松岡、鮫洲と共に技術者とは思えない勘を働かせて敵本拠地へ乗り込んだ。
- 鮫洲
- 警視庁刑事(通称:ハンマーヘッド)。当初、新人刑事と組んで「パパ」がワッハマンをはめるためにでっちあげた殺人事件の捜査を担当していた。基本的に仕事熱心なのだが風貌が「ハンマーヘッド」(あだ名もこれに由来する)にあまりにも似て人間ばなれしているせいで、聞き込みをしようとした一般市民に逃げられ「おまわりさん、たすけてください」と交番に駆け込まれたりもする。初対面で(顔面に)危険を感じた長沼にいきなり殴られ鼻の骨を折るなど災難に遭ってしまう。赴任してきた上司が「パパ」の手先だったことで捨て駒として殺されそうになったが、寸でのところで長沼が気づき命拾いをする。以後、置かれた立場に疑問を抱き、ワッハマン一行と行動を共にすることになる。
- 松岡
- 「防衛庁技術研究本部第四研究所特別分室」技術職員。
- 梅田の部下。終盤までほとんど出番も無く目立たない存在だったが、梅田と74式強化装甲服一型を専用トレーラーごと盗み出し、敵本拠地への突撃に付き合わされることになる。
- インガー・W・C・ミュンヒハウゼン
- スイスで隠居生活を送る時計職人というのは表の顔で、実はナチスの下で「死なない兵士の研究」をしていた科学者。
- 本人いわく生体実験には関らなかったようだが、そのせいで追われる身としてスイスに身を隠していた。月からのワッハマン救出作戦の際に大気圏突入で破損したレミィを見つけ修理したが、高価な部品を大量に発注した為に自身を追う組織に存在がバレてしまった。亡き娘(実は若くして死んだ初恋の女性)を模したゲルダというアンドロイドを造った。彼の技術をもってしてもレミィの機能にはブラックボックスが多いらしい。ゲルダとともに川に落ちたはずが海に流れ着き、そのまま巨大クジラに飲み込まれて生活していた。大戦中、技術交換で日本にも来たことがあるらしい(浦島太郎など偏った知識は豊富)。イシュタルに破壊されたゲルダとバラバラになったオシリスを合体させて修復(コスチュームは個人的趣味によるボンテージ)しパパへの反撃に備えたが、直前に再びイシュタルの襲撃を受け、オシリス / ゲルダともども炎に焼かれ命を落とす。
- ゲルダ
- 本物はインガーが幼い頃に崖から落ちようとしていた彼を助けて亡くなった。アンドロイドのゲルダは彼女を模してインガーが作ったが言われたことに答えるだけの「ロボット」のようだった。しかし、製作者のインガーも知らないうちに自律行動をして彼を守ろうとしたときに実は彼女がずっとインガーを見守っていてくれたことに気が付く。以後、川を流され海に辿りつき、クジラの腹の中で生活したり、遠く異国の地・日本に流れ着いたりと最後までインガーに付き従っていた。一度、イシュタルに破壊されるも、同じくバラバラになったオシリスのパーツと繋ぎ合わせ復活させられた。
- 石田ルミ(ルミちゃん)
- 幼稚園児と思われそうな幼児体型の女の子。実は20歳を越えているらしい。アルバイト先の喫茶店を壊され、次に見つけた先が長沼たちの分室の雑用係であった。毎度、さんざんな目に遭いながらもけなげにバイトを続けていたが、ようやく修復された元のバイト先に復活しようと分室を一度は辞める。辞めて復帰しようとした途端に再びワッハマンをめぐる騒動でバイト先が破壊され仕方なく分室でのバイトに復帰する。実はルミちゃんには本人も知らない正体があり、そのせいで悲劇的な最後を迎えることになる。
- パパ
- レミィたちアンドロイドを作り出し、影から政治・経済などを思うがままに操る謎の人物。
- イシュタルたちからは「御主人様(マスター)」、政治家などからは「御前」と呼ばれていた。女装趣味があるらしく、当初レミィが出撃する際に着ていたコスチュームは実は彼の個人的な趣味によるコレクションだった。その正確な正体は語られることはなかったが、1万年前に滅亡したアトランティスの時代より以前から生き続けているらしく、自身では死ねない永遠の命を生きているようだ(そのために「死」を与えてくれる存在を求め何度も文明を起こしてはつぶしてきたという描写が作中にある。)。顔面は昔の対決でワッハマンにやられたために機械で補っているが肉体は若々しく生身でワッハマンと対等以上にわたり合えるほど強い。終盤、怒りに目覚め本領を発揮したワッハマンに倒され念願の「死」を手に入れ絶命。
- イシュタル
- 「パパ」が作った二体目の対ワッハマン用アンドロイド。
- 神出鬼没であらゆる場所に現れてはパパの命令どおりワッハマンに挑む。途中、オリハルコン製の刃を腕に装備し、その切れ味でワッハマンに幾度となく襲い掛かった。終盤、実はルミちゃんと一心同体(意識的にはイシュタルが上位にあり、ルミちゃんはイシュタルのことを知らない)であることが判明し読者を驚かせることに。突然復活した長沼が一方的にルミちゃんを痛めつけることでその正体を現した。との最終対決において微小機械(ナノマシーン)の制御機能を破壊され、長沼によってとどめを刺された。
- オシリス
- 「パパ」が送り込んだ三体目の対ワッハマン用アンドロイド。
- 普段は変な方言を話す女性型だが、ひとたびワッハマンを意識するとレミィよりも大型の戦闘モードに変形する(このモードのときは方言は出ない)。レミィやイシュタルと違って「パパ」の存在を記憶してなかったが、「ワッハマンを倒す」という目的のみで行動していた。レミィ以上に羞恥心がない。破壊されると欠点を補うように自己修復機能により、修復・自己進化が可能。ワッハマンに完膚なきまでにやられても自己修復機能によって修復・改造を行いしつこく再挑戦する。それでも敵わないので上空からダイブ、自身を傷つけることによりこの機能を使って一気に機能向上を目論んだが、修復ができないかと思われるくらい損傷してしまう。ワッハマンを前に再び修復機能を発動させ復活したかに思えたが、実際には上位の存在「イシス」が発動しオリハルコン同士の干渉によってワッハマンを仮死状態に陥らせて自壊した。
- プロトタイプ・レミィ
- 「レミィ」の試作型にしてレミィのお姉さん。
- アンドロイドだが個性を持っているゆえに「プロトタイプ」という立場から「正真正銘のレミィ」になろうとレミィの前に立ちはだかる。服を脱ぐと一部フレームなどが剥き出しになっていて試作然としていた。レミィに襲い掛かるも一撃で返り討ちにあっていることから、やはり量産型ほどの機能はなかったようである。
- 量産型レミィ & オシリス
- ワッハマンたち一行が本拠地に突入した際、彼らを惑わす手段として投入されたニセモノ。
- おそらくはまったくの同型であろうが、オリジナルたちほどの強烈な個性はない。それでも普通なら仲間と同じ姿に躊躇するものだが、この世の全てが「パパ」に牛耳られていると知って開き直った長沼たちには通じなかった。
- 人造人間
- 「パパ」陣営の働きアリような存在。人間に混ざって社会に溶け込んでいたりもするらしい。
- 町一つの住人が入れ替わってワッハマンに襲い掛かったり、鮫洲の新任上司が人造人間だったりした。正体を現すと顔面などに人工的な線が見えたりする。
- 謎の女
- ワッハマンの現れる現場に黒づくめで現れ、その行動を監視しているようなそぶりを見せる。当初、登場するタイミング等から彼女の正体がイシュタルだと思っていた読者も多い。イシュタル=ルミちゃんという図式が判明したので、おそらく彼女も単なる人造人間の一人なのであろう。
- DNAコピー人間
- 生まれながらの体質と合衆国の誇るテクノロジーを融合させて造られた(らしい)。さぞかしすごいDNAをコピーするのかと思いきや、ゴキブリ、ナマコ、イソギンチャク、カマドウマ、アンボイナ(イモ貝)、巨大タコなどとても戦闘向きとは言えない生物にばかり変身する。DNAサンプルにまともなものがあったためしがない。自国と組織の為、パパによる混乱に乗じて日本への介入を進言するも、実は彼の組織のトップがパパだと知らされ処分されてしまう。
[編集] その他のアンドロイドたち
いずれも対ワッハマン用に「パパ」が送り込んできたが全てワッハマンとは関係のないところで倒されている(作中、名称が一切出ないので容姿により区別する)。
- ニードルガン装備型
- ニードルガンで「とりあえず」復活したオシリス / ゲルダを破壊し、ゲル状の物体でワッハマンを捕まえる直前までいったが、同じくニードルガンを装備していたオシリス / ゲルダに頭部を吹き飛ばされた。
- 大型タイプ
- 身長3メートルの巨体。コートに身を隠してやって来た際は普通の身長だったが、破り捨てたコートの下からは物理限界を超えた巨躯が出てきた。こちらもオシリスに撃破されたが、限界を超えることを意識していないオシリスも自身が壊れてしまった。
- 細身長身軟体タイプ
- ツートーンの幾何学模様に身を包んでいる。軟体で打撃技などはなかなか効かない。頭部が弱点らしい。ワッハマンにつぶされてしまい、頭部だけで逃げ延びようとするも温泉シジュウカラに頭部を割られ、中身を食べられてしまった。
[編集] 主な登場メカ
- 74式強化装甲服一型
-
- 最大高:175センチ / 重量:1.2トン / 最大稼働時間(フルチャージ時):1時間
- いわゆるパワードスーツの類。スーツに接続したカメラで装着者をスキャンすることにより個人個人の体格に合わせた関節の位置に各部を調整できる。 (第90話にて大柄な松岡の体格に合わせていたこのスーツに鮫洲が知らずに乗り込んでしまい、脚が届かず痛い思いをした) 着用した人間の動きをトレースし、その力を増幅する。通常はアンチフィードバックシステムによって逆トレース状態での搭乗者への危険が及ばないように施されている。スタングレネードランチャー、三連バルカン砲、使い捨てミサイルランチャーなど多彩な武装を誇る。パパによって「防衛庁技術研究本部第四研究所特別分室」が取り潰された後、梅田・松岡が専用トレーラーに搭載された3機(1個小隊分)を盗み出しワッハマンたちと合流しようと都内に潜入、風呂敷き包みにありったけの武器を包んで地下鉄をキックボード(往年の『ローラースルーGoGo』か? )で疾走した。敵本拠地にてイシュタルとの決着をつけるべく、長沼がこの内の一機に搭乗。このとき長沼はアンチフィードバックシステムを切って使用した。同作者の中空知防衛軍にも「74式装甲倍力服」として同系列の機体が出演している。
- レミィの左腕
-
- 重量:1トン
- 月に残されてしまったワッハマン救出の為に梅田が取り付けたロケットブースター装備型の腕。肘部から二股に分かれて大小のロケットアームが取り付けられており、小さい方が地球の引力圏突破用、大きい方が月面離陸用(月着陸分は用意されておらず、レミィ自身に「飛び降り」させるという無茶なつくり)。