リチャード・ドーキンス
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クリントン・リチャード・ドーキンス(Clinton Richard Dawkins, 1941年3月26日-)はイギリスの動物行動学者。The Selfish Gene(『利己的な遺伝子』)をはじめとする一般向けの著作を多く発表している。
ドーキンスの名は、自然選択の単位が遺伝子であるとする利己的遺伝子論でよく知られている。ドーキンスは生物は遺伝子によって利用される「乗り物」に過ぎないと述べ、多くの読者に衝撃を与えた。利己的遺伝子の考え方は、ミツバチが見せる一見利他的な行動など、動物のさまざまな社会行動の進化のプロセスを説明するためのものであり、血縁淘汰説やESS理論を先鋭なスタイルで表現したものである。
またドーキンスは社会生物学を唱える一人とみなされており(本人はこの言葉を好んでいない)、文化の伝播を遺伝子になぞらえたミームという語を考案した。スティーヴン・ジェイ・グールドとの論争でも知られる。また過激な無神論者でもある。
[編集] 主な著書
- The Selfish Gene, 1976. (日高敏隆・岸由二・羽田節子・垂水雄二訳『生物=生存機械論──利己主義と利他主義の生物学』, 1980)(改題『利己的な遺伝子』紀伊國屋書店, 1991)
- The Extended Phenotype, 1982. (日高敏隆・遠藤知二・遠藤彰訳『延長された表現型──自然淘汰の単位としての遺伝子』紀伊國屋書店, 1987)
- The Blind Watchmaker, 1986. (日高敏隆・遠藤彰・遠藤知二・疋田努訳『ブラインド・ウォッチメイカー──自然淘汰は偶然か?』早川書房, 1993)(改題『盲目の時計職人──自然淘汰は偶然か?』早川書房, 2004)
- River Out Of Eden, 1995. (垂水雄二訳『遺伝子の川』草思社, 1995)
- Climbing Mount Improbable, 1996.
- Unweaving the Rainbow, 1998. (福岡伸一訳『虹の解体――いかにして科学は驚異への扉を開いたか』早川書房, 2001)
- A Devil's Chaplain, 2003. (垂水雄二訳『悪魔に仕える牧師』早川書房, 2004)
- The Ancestor's Tale: A Pilgrimage to the Dawn of Life, 2004. (垂水雄二訳『祖先の物語~ドーキンスの生命史~』小学館, 2006)
- The God Delusion, 2006. (早川書房より邦訳近刊)