ラモンの木
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ラモンの木(ラモンのき)とは、ブレッド・ナットの木とも呼ばれ、栄養価の高い種子を食用にするために、中米で住居の周囲に植えられた。マヤ文明で重要な食糧であった。近年では救荒食とされるのみだったが、最近その生産性が再評価されている。クワ科に属す常緑高木。
マヤ人が使用したチュルトゥンと呼ばれる地下貯蔵庫で実験したところ、とうもろこしが3ヶ月でだめになるのに対し、ラモンの実は1年6ヶ月貯蔵できたという報告がある。ラモンの木は、一度植えれば100年近く育ち、雨量の少ない年でも実がなり、1エーカー(約1200坪、約4000m²)あたり1000ポンド(約450kg)近い収量があると報告されている。種子は粉にして、薄いパンケーキ状にして焼くトルティジャにして食用に供したと考えられている。
焼畑(ミルパ)農法は、1年のうち6ヶ月の労働が必要であったが、ラモンの木の実は、住居の周りに植えられているうえに、女性や子どもでも簡単に収穫できたので、先古典期に比べて同じ量の食糧を確保するのに要する労働力を格段に減らすことができた。