メトロポリタン美術館
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メトロポリタン美術館 (The Metropolitan Museum of Art、略称:『メット』 The Met) は、ニューヨークにある、世界最大級の美術館である。
メトロポリタン美術館の設立構想は、1866年、パリで7月4日のアメリカ独立記念日を祝うために集まったアメリカ人たちの会合の席で提案された。
この会合の参加者のひとりであったジョン・ジェイは、アメリカに国際的規模の美術館の存在しないことを憂い、メトロポリタン美術館の設立構想を訴えたが、この時点では美術館の建物はおろか、1点の絵画さえ所有していなかった。美術館は4年後の1870年に開館。基金による購入や、さまざまなコレクターからの寄贈によって収蔵品数は激増し、現在では絵画・彫刻・写真・工芸品ほか楽器など300万点の美術品を所蔵する、名実ともに世界一の美術館のひとつである。
メトロポリタンの特色は、そのコレクションの幅がきわめて広く、古今東西の、あらゆる時代、地域、文明、技法による作品を収集していることである。もう1つの特色は、これだけの規模の美術館が、国営でも市立でもなく、純然たる私立の美術館である点である。
美術館の運営管理はボード・オブ・トラスティー(評議員会)によって行われている。創立100周年の1970年から始まった大改造計画(The Master Plan)により、美術館の床面積は倍増し、さらに充実した展示が行われている。また、マンハッタン島北部にあるフォート・タイロン・パークの丘の上に建つ「クロイスターズ」もメトロポリタン美術館の分館で、フランスやスペインの僧院廃墟から持ち込んだ建築物を組み合わせて造られた建物に中世ヨーロッパ美術が展示されている。
なお、日本ではシンガーソングライターの大貫妙子による同名の歌が知られているが (1984年、NHKの音楽番組『みんなのうた』において放映)、この歌詞はE・L・カニグズバーグによる「クローディアの秘密」という物語が元になっている。後に作成されたアレンジ版は新居昭乃が担当した。
ミュージアムショップの充実ぶりも有名で、インターネットによる通信販売も2000点を越える。関連書籍から、ミニチュア、雑貨など。
[編集] 主な収蔵品
- 『デンドゥールの神殿』(エジプト、紀元前1世紀)
- 尾形光琳『八橋図』
- アンドレア・デル・ヴェロッキオ 「聖母」(1470-)
- ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 「Venus und der Lautenspieler」(1560)
- ニコラ・プッサン 「サビニの女たちの略奪」(1594)
- エル・グレコ『トレド風景』(1597年)
- ジョルジュ・ド・ラ・トゥール 「The Fortune Teller」(1633-)
- フェルメール『水差しを持つ若い女』(1660年代)
- アントワーヌ・ヴァトー 「メズタン」(1717)
- ジャック=ルイ・ダヴィッド『ソクラテスの死』(1787年)
- ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 「Canal Grande in Venedig」(1835)
- アルフレッド・シスレー 「ヴィルヌ・ラ・ガレンヌの橋」(1839)
- ピエール=オーギュスト・ルノワール 「Meer und Klippen」(1841)
- モネ『サンタドレスの庭園』(1867年)
- ジョン・シンガー・サージェント 「マダムX」(1884)
- ジョルジュ・スーラ『サーカスの客寄せ』(1887年-1888年)
- フィンセント・ファン・ゴッホ『糸杉』(1889年)
- ルノワール『ピアノに向かう2人の少女』(1891-1892年)
- トマス・エイキンズ 「The Thinker」(1900)
- ピカソ『ガートルード・スタインの肖像』(1905-1906年)
[編集] 外部リンク
- TheMetropolitan Museum of Art: official site(英語)
- ニューヨークの美術館・博物館ガイド
- メトロポリタン美術館被害者同盟 - ブログの一記事。『みんなのうた』で放映された「メトロポリタン美術館」について。記事の続編も参照