ミツワ石鹸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

ミツワ石鹸（みつわせっけん）とは、1860年から1975年にかけて、日本国で石鹸・洗濯洗剤の製造販売を行っていたメーカー、および同社の販売する石鹸のブランド名である。

[編集] 歴史

1860年（万延元年）、三輪（みわ）善兵衛により江戸・日本橋（現在の東京都中央区日本橋）にて丸見屋が創業される（丸美屋食品工業とは無関係）。当初は化粧品の製造販売を中心としてきたが、1910年（明治43年）にミツワ石鹸の発売を開始。以後は石鹸を中心に家庭用洗剤・医薬品（大衆薬）・医薬部外品を中核にする。 1911年には日本初の肝油ドロップを発売した（戦後間もなくして開発元の河合製薬へと製造販売が移管される）。

1954年、テレビCMを放送開始。バトンガールと呼ばれる3体の人形を使用し、覚えやすい特徴的な歌に合わせ、踊っているうちにミツワ石鹸の商標を表わすものだった。

1964年、正式社名をミツワ石鹸に変更。1969年には旭電化工業、第一工業製薬と合弁で家庭用石鹸・洗剤部門を統合した日本サンホームを設立。しかし1972年には米国プロクター・アンド・ギャンブル社（以下P&G）との資本・業務提携に反対したことから日本サンホームを離脱。上記2社との合弁・提携を解消するも、日本サンホーム向け製品は引き続き子会社のミツワ化成が生産した。なお、日本サンホームは同年P&G、伊藤忠商事と合弁でプロクター・アンド・ギャンブル・サンホームを設立。P&G社製品の取扱を開始する。

1975年（昭和50年）に倒産、以降同社の生産設備および商標は旧日本サンホームとの関係からP&Gが取得。現在でも薬用石鹸『ミューズ』がその名残として発売されている。この経緯から、P&Gが同種製品に『ミューズ』ブランドを使用しているのは日本だけになる。余談だが、同社の洗濯用洗剤『ボールド』の初期ネーミング案には、ミツワの洗剤ブランドだった『プラス』という候補もあった。