プロボクサー
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プロボクサーとは、プロライセンスを所持し、試合をすることによってファイトマネーを得るボクサーのこと。
[編集] ライセンス(日本)
プロボクサーとしてのライセンスは、日本においてはJBCが実施するプロテストに合格することによって交付される。プロテストは、筆記と実技によって行われる。筆記は主に規則に関する平易な問題で構成されたペーパーテスト、実技は受験者同士の2分2R程度のスパーリング形式(ヘッドギア着用)で行われ、ワン・ツーを基本とする攻撃や、ガードを中心とする守備の技能が備わっているかを審査する。このうち実技審査のスパーリングは、あくまで技能の完成度を見るものであるため、対戦中に不利であったからといってかならずしも不合格であるとは限らない。逆に、片方の技能水準が余りにも低すぎて開始早々にノックアウトされてしまったような場合、もう片方の技能水準が本来の及第レベルに達していなくても合格するケースもある。
プロテストの合格率は、絶対評価で合否が決定されるため試験日によってまちまちであるが、平均すると概ね6割を超える水準にある。また、不合格者も3ヵ月後に再受験が可能なため、再受験合格組を加えると、実質合格率は更に跳ね上がる。これは、ライセンス試験制度が整備されている日本のプロスポーツの中では相当の“広き門”と言えるだろう。ただし、各ジムが練習生にプロテストを受験させるまでに相当厳しい淘汰を実行しているので、ボクシングジムの門を叩いたプロ志望者の6割以上がプロになれるという事を意味するものではない。また、ライセンスを取得しても、体力面の事情でジム側から試合出場を許可されない“ペーパープロボクサー”も相当数存在する。しかしながら、そこまでしても新人ボクサーの技術水準の低さは如何ともし難く、度々専門誌記者や評論家から、最低限未満の実力しか有さないプロボクサーの存在を指摘されている現状である。即ち、プロボクサーの選手層は相当な玉石混交の状態にあると言えよう。
プロテストの受験資格は、17歳以上30歳未満で、視力が左右ともに裸眼で0.6以上であること、コミッションドクターによるCTスキャンやB型肝炎チェック等の健康診断をクリアすることなどである。
プロテストに合格すると、原則的にC級のライセンスが交付され、4回戦に出場することが可能となる。例外として、アマチュアでの実績のある選手は、B級のライセンスが交付され、6回戦から出場することができる。 C級ボクサーが4回戦で4勝(但し、引分を0.5勝に換算してよい)挙げるとB級ライセンスへ、B級ボクサーが6回戦で2勝(やはり引分は0.5勝に換算可)すると、A級ライセンスへと切り替えることができる。なお、A級ライセンスのボクサーは、8回戦以上の試合に出場することができる。
ライセンスは有効期限1年で、毎年1月に事実上自動的に更新される。プロボクサーはライセンス更新にあたって最近1ヶ月以内の健康診断書提出が義務付けられており、この健康診断で重篤な疾病が発覚した場合はライセンスが更新されないことがある。日本におけるプロボクサーの年齢制限は原則的に36歳で、37歳になると自動的にライセンスは失効する。ただし、現役のチャンピオンは王座から陥落するまで、また、トーナメント戦に出場している者はそのトーナメントで優勝・敗退するまでライセンスの失効は猶予される。
また、ライセンスの有効期限内であっても、網膜剥離など重度の眼疾が発見された場合、脳疾患の発覚および開頭手術を伴う外科手術を受けた場合、B型肝炎等の血液を介して感染する可能性のある疾病の罹患が発覚した場合など、健康上重大な問題が発覚した場合はJBCから引退勧告の対象となり、現役続行が事実上不可能となる。(ただし、網膜剥離の完治者については、厳重な医療診断の上で、世界戦または世界戦に準じる試合のみ出場が可能となった=辰吉丈一郎の項を参照のこと)
また、WBA、WBC認定の世界王者、OPBF認定の東洋太平洋王者、あるいは日本王者となったキャリアを持つ者、WBA、WBC認定の世界タイトル挑戦経験者、そして現役の世界ランカー(WBA、WBCの15位以内)に限り、37歳を過ぎても試合に出場することができる。ただし、この特例の申請はその選手の最終試合から5年以内とし、コミッションドクターによる特別診断をパスすることが条件となる。
[編集] 関連項目
- ボクシング
- ボクシング世界王者一覧
- ボクシング東洋太平洋王者一覧
- ボクシング日本王者一覧