ブリーシンガメン
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ブリーシンガメン (Brisingamen) は、北欧神話に登場する女神フレイヤが持っていたと伝えられている炎の首飾りである。もともとは琥珀だったという。彼女がこれを身に着けると、人であろうと神であろうと、彼女の魅力には逆らえなかった。
彼女の魅力は、彼女がしばしばそれを身に着ける春の最中には、他の女神たちにとっては大きな関心事となる。この首飾りは戦場で彼女が目を掛ける軍隊にとってはまたとない援軍にもなる。 このネックレスは、元々はアルフリッグ、ドヴァリン、ベーリング、グレールという4人のドワーフが鋳造したもので、これを手に入れようとしたフレイヤは、ドワーフたちのが代償に彼女のからだを希望したため、それぞれと一夜を共にするしかなかった。そこで、代わりとしてアルフリッグが、彼女にネックレスを与えたのである。
フレイヤが巨人のトリムと結婚したとき、ロキはその宴の装いでこの首飾りを身につけたことがある。 首飾りは一度ロキに盗まれたことがある。 フレイヤが目を覚まし、彼女の乗り物と、それを引く猫たちのくびきを確認しているうちに、首飾りが盗まれているのに気がついた。ヘイムダルが、失せ物を探し出す手助けを申し出て、盗んだ泥棒は、獲物をアザラシに身を替えたロキに手渡したことが判明した。ヘイムダルも自分をアザラシの姿に変え、ロキと一戦を交え、長い戦いの後、ロキを打ち負かし、ブリーシンガメンをフレイヤに取り戻してやることができた。
首飾りはアングロ・サクソンの叙事詩「ベーオウルフ」にも「ブローシンガメン」(Brosingamen)の名で出てくる。ここでは首飾りは、ハマ(Hama、ヘイムダルの名の異伝か)により、光り輝く聖堂に返却されなくてはならないものとして語られる。光り輝く聖堂(the shining citadel )というのは、ヴァルハラが、光り輝く装飾で飾られているのを指していうものと思われる。 この叙事詩の中では、首飾りは、死ぬさだめの者たちの間に渡っているという設定である。 それは、グレンデルを倒した功によりデンマークの女王から、ベーオウルフに与えられたものである。ベーオウルフ自身が倒れた時、首飾りは、彼自身の女王ヒグリッドの持ち物となった。