ピック奏法
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ピック奏法(ぴっくそうほう)とはギターなどの撥弦楽器の弦をピックではじいて演奏する奏法。口語で「ピック弾き(ぴっくびき)」とも呼ばれる。
カッティングを多用して演奏する場合において比較的指先にダメージを受けにくく、輪郭のはっきりした音色が得られる。 単音でメロディ等を演奏する場合には細かい演奏が比較的容易となる。 ピックの振り抜き方なども音色に多大な変化を与える。
とくにギターの演奏において、アルペジオや主旋律と副旋律等を同時に演奏しようとした場合の自由度はフィンガー・ピッキングの方が高い。
ピックそのものや性質をうまく利用した、トレモロ奏法やピックスクラッチ等の独自の表現方法がある。
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[編集] 奏法
ピックを使用した演奏方法には以下のようなものがある。
[編集] ダウンピッキング
上から下へ、ピックや指、爪等を使用して弦を弾く演奏方法。 テンポが遅めの曲ではダウンピッキングのみで演奏される場合も多い。
[編集] アップピッキング
[編集] オルタネイト・ピッキング
弦を弾く動きが、ダウンピッキングとアップピッキングの規則的な繰り返しによって行われ、弦を移動した場合や休符を挟んだ場合にもその動きが持続される演奏方法。 リズムキープがしやすく、テンポが速くなっても安定したサウンドを維持しやすい。
[編集] エコノミー・ピッキング
弦移動の際に、高音弦に移る場合はダウンピッキングで、低音弦に移る場合はアップピッキングで弦を弾く演奏方法。 オルタネイトピッキングで演奏した場合に起こる移動ロスを少なくできる。
[編集] スウィープ奏法
基本的にエコノミー・ピッキングと同様だが、特に3弦以上に渡って連続して行う場合にこう呼ばれる。 そのメロディがアルペジオの体をなしている場合はブロークン・コードとも。
この奏法はフランク・ギャンバレによって広く知られるところになり、後にイングヴェイ・マルムスティーンのプレイの影響から多くのプレイヤーが取り入れるようになっていった。 スウィープ・ピッキングの名称は『ほうきで掃く (sweep)』動作に由来する。
[編集] トレモロ奏法
手首を震わせることで同音を反復させながら保ち続けること。トレモロも参照。
[編集] ハミングバード奏法
基本的にトレモロ奏法と同様だが、エドワード・ヴァン・ヘイレンは中指と親指でピックを持ち、弦に対してより垂直に当てることでより軽やかで早いトレモロ奏法を行う場合があり、これをハミングバード奏法と呼ぶ。
[編集] チェットアトキンス奏法
チェット・アトキンスが生み出した奏法。4~6弦(ベース担当)をミュートして親指で弾きながら、1~3弦(メロディ担当)を人差し指と中指で弾く奏法。または低音弦はピックで弾き、同時に高音弦を中指や薬指で弾くという奏法。これにより、ベース音とメロディ音が分離し、二本のギターで弾いているかのように感じさせることができる。
[編集] ピックスクラッチ
弦に対してピックを垂直に当てて滑らせることにより独特の効果を得ること。 ディストーションをかけたラウンドワウンド弦(巻弦)に対して行われることが多い。