トータル・セリエリズム
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トータル・セリエリズム(Total serialism)は、音・リズム・強弱・アタックほかを厳格にセリーで統治するシステムの一つである。
目次 |
[編集] 歴史
トータル・セリエリズムは、ヘンリー・カウエルなど何人かの作曲家が予言していた手法であったが、ルネ・レイボヴィツが十二音技法の音高操作の欠陥を指摘してから、飛躍的にトータル・セリエリズムへの期待が高まった。
そして、オリヴィエ・メシアンが「音価と強度のモード」でその可能性を編み出したが、「ピアノソロのためにかかれたので音高操作に難がある」、「これはセリーではなくモード」であったため、充分な結果とは言いづらいものがあった。
メシアンのその作品を知らなかったにもかかわらず、この結果をさらに理論的にしたと考えられるカレル・フイヴァーレツの「二台ピアノの為のソナタ」で完璧なものにし、発明後程なくピエール・ブーレーズ、カールハインツ・シュトックハウゼン、アンリ・プスールなどダルムシュタット夏期講習会に集う面々がこの技法を徹底させていった。松平頼暁やクリストバル・アルフテルはこの手法を初期の作品に用いている。
[編集] 手法
典型例はピエール・ブーレーズの「構造Ia」にみられる。
トータル・セリエリズムの手法は十二音技法の延長として考えられた。音価や強弱、あとアタックにも数的操作が施される。音価は、十六分音符を1として八分音符を2、四分音符を4…とする。強弱も同じく、ピアニッシモを1とするとピアノは2、メゾピアノは3、メゾフォルテは4…として、あとは同じ手法である。アタックも12個分短いものから長いものを配列するが、音価のさらに12分割と捉えられていた。
[編集] 欠陥
まず問題とされたのは、「人間が聴くことのできる情報処理能力には限りがあるではないか」ということであった。実際初期のトータルセリエリズム楽曲の演奏は甚だ誤りが多く、しかもそれを聴く聴衆の耳も誤りだらけであったために、問題は深刻化した。この問題はテクノロジーの発展とよい演奏家に恵まれて沈静化したが、1990年代に入って批判的に1950年代が分析できるのを待たなければならなかった。
もう一つの欠陥は「音響パターンの一様化」であった。このことにはすぐに多くの作曲家が気づき、後にはトータル・セリエリズムを超えたポスト・セリエルについての議論が加速化する。
[編集] 関連項目
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