デストロン (トランスフォーマー)
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デストロン(Destron、あるいはDeathtron)は、『トランスフォーマー』シリーズの悪の陣営。英語版ではビーストウォーズ系、及びカーロボットのデストロンガーを「プレダコンズ(Predacons)」、その他の作品のものを「ディセプティコンズ(Decepticons)」というが、日本語版では「デストロン」に統一されている。なお、プレダコンズに対しディセプティコンズを「旧デストロン」と呼ぶこともある。
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[編集] デストロン/Decepticons
[編集] 沿革
デストロンは、軍用ロボット群「ミリタリー・ハードウェア」を祖先とする種族であり、サイバトロンとの対立は1000万年前からに及ぶ。戦闘力ではサイバトロンに勝るデストロンであるが、トランスフォーム能力を得たのはサイバトロンより後のことである。
開戦当初、デストロンは前述したとおり軍用ロボットを祖先にしており、サイバトロンをはるかに圧倒する火力と戦術を搭載していた。しかし、まとまった指揮系統の欠如により、その能力を活かしきることができずにいた。それが980万年前に破壊大帝メガトロン/Megatronの誕生で激変した。彼は各地のデストロンを力で屈服させ、自らを頂点とする強力な指揮系統、支配体制を築き上げたのである。これにより、弱点の解消されたデストロンは更に威厳を増し統率の取れた「デストロン軍団」へと変貌、飛躍的に勢力を拡大させていくこととなったのである。
400万年前、メガトロン率いる一団がサイバトロンのエネルギー探索の阻止を図った際、サイバトロンともども地球に不時着し、1985年まで機能を停止、軍団覚醒後は地球でのエネルギー奪取を主目的とするようになった。
しかし、この機能を停止している間、サイバトロン、デストロン内の他のトランスフォーマーでの戦い(『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』、『ビーストウォーズメタルス 超生命体トランスフォーマー』)が行われ、同作品では、スタースクリーム、サウンドウェーブ等が休止状態で出演している。この時はG1からの遺伝子であるジャガーが出演した。
なお、メガトロンらが旅立った後のセイバートロン星では、防衛参謀レーザーウェーブの率いる軍団が戦局の維持にあたり、デストロン優勢の状態が続いている。
[編集] 支配体制、及び編成
デストロンの支配体制は、メガトロンによる独裁体制である。しかし、地球におけるエネルギー奪取の失敗が続いたためか、反メガトロンクーデターの発生が珍しくない状態となっている。そして、大抵そのクーデターの中心には航空参謀スタースクリーム/StarScreamの存在がある。しかし、それらは大抵あっという間にメガトロンによって鎮圧されてしまう。また、メガトロンが不在、および行動不能等で他の兵士が指揮権を握った場合(「トリプルチェンジャーの反乱」等)、デストロンの結束力・戦闘力が大幅に落ちることから、メガトロンでなければデストロンのリーダーは務まらないようである。
デストロンの構成員は、そのほとんどが戦闘要員であり、輸送兵であるロングハウル等、支援任務を持つ者であっても最前線での戦闘能力を有する。また、主戦力としてジェットロンなる航空部隊を有し、さらにそれ以外の兵士も全員が飛行可能であり、迅速な制空権の確保、そして作戦展開が可能である。しかし、メガトロンの目の届かないところで発生した予想外の事態や、メガトロン自身の判断ミス等、メガトロンによるフォローが期待できない、兵士各員の判断力が問われる状況に弱い。特にメガトロンの判断ミスは、コンボイの出現とともに発生することが多く、致命的な状態となりやすい。この指揮系統の破綻に対する脆さが、デストロン軍団最大の弱点といえる。つまるところ、メガトロンあっての「デストロン軍団」であり、彼の力が無ければ、烏合の衆である「デストロンの群れ」でしかないというわけである。
その他のシリーズでも、常に強力なリーダーを頂点としたワンマン体制となっている。
[編集] 地球人との関係
サイバトロンが地球人との関係を良化していったこと、デストロンにとって地球人は脆弱かつ愚劣な異星の生命体に過ぎない為の暴虐により、デストロンは地球人からも敵とされるようになってしまっている。しかし、Dr.アーカビル等、少数ながらデストロンに味方する地球人も存在する。とは言え、彼らは自分の欲望の為にデストロンに与するため、関係は良好とは言い難い。
[編集] 非常に稀なウーマン・デストロン
デストロンの男女比は、大きく男性側に偏っている。サイバトロンにはエリータ・ワンやアーシー等、著名な女性戦士が存在するが、デストロンにはほとんど登場していない。このことは、「繁殖能力を持たないトランスフォーマーに何故性差が設けられているのか」と共に、ファンの間では議論の的とされている。
[編集] デストロン/Predacons
[編集] 沿革
彼らもまたサイバトロン/Maximalsと同様に、有機金属で構成される新種の比較的小型のトランスフォーマーである。有機生命体への完全な擬態化が可能。ただそのスパークは攻撃的指向を持ち、セイバートロン星の何処かにあるピット/ThePitなる機関で生み出されているという違いがある。
組成が同様である為か、マクシマルズへの入隊も比較的容易に可能。ダイノボット/Dinobotは(ビースト)コンボイの了承を得た上で、変身コードの書き換えのみで隊を移動している(日本語版では全て「変身!」であるが、海外では「Maximise」、「Terrarise」と変身コードが違う)。他にも誕生前のプロトフォームに細工することでプレダコンとして誕生させることも可能(ブラックウィドー/BlackArachinia、インフェルノ/Inferno)。
ディセプティコンであってもプレダコンへのアップグレードが可能であり、旧作に登場したカセットロン、ジャガー/Ravageはプレダコンとして転生している。
ディセプティコンと共に、表向きはセイバートロン星の意思決定機関、最高議会に従っているが、反乱の機会を虎視眈々と狙っている。
なお、G1シリーズ中にもプレダコンズ(Predacons/和名:アニマトロン)というグループが登場しているが、こちらはディセプティコンズのサブグループであり、ビーストウォーズシリーズのプレダコンズとは直接の関係はない。
[編集] 支配体制
幾つかの機関が多大な影響を持ち、その内の一つが『メタルス』の劇中登場したトライプレダカス評議会/TripredacusCouncil(タランスの発言にあった「三バカ長老」はこれを指す)である。この機関の直属の部下が前述のジャガーである。彼はセイバートロン星の秘密捜査官でありながら、評議会の兵士でもある。
リーダー(ビースト)メガトロン/Megatronは彼らの中でも異端児である。初代破壊大帝メガトロンの後継者を名乗る彼は、現状を急進的に打破すべく、セイバートロン星に保管されていたゴールデンディスクを奪取。そこに記されたエネルゴン埋蔵量の多い星を見つけ出し、戦力増強を図るとして、同志を募り戦艦で出撃。追ってきたサイバトロン、(ビースト)コンボイ達とある惑星で闘争を繰り広げた。なお初代メガトロンはこの時代、行方不明になっている。
(ビースト)メガトロン配下のメンバーは自己の欲望の為、付いて来た者が多く、隊内でのクーデターは幾度と無く起きている。とは言え(ビースト)メガトロンの奸智により常に鎮圧されている。カリスマ的リーダーの下で無くては組織として機能しない点は旧デストロンと同様である。
『メタルス』で明らかになったのが、タランス/Tarantulasの出自である。彼はサイバトロン、デストロンとも系譜が異なるユニクロン/Unicronの眷属であった。トライプレダカスの3人も同様で、彼らの最終目的は全トランスフォーマーの壊滅であった。そのためタランスの裏切り行為は他のメンバーとは一線を画しており、軍団壊滅をも厭わないものであることが多い。
[編集] エイリアンとの関連
(ビースト)メガトロンはエイリアンの影にいち早く気付き、エイリアンの施設を利用するキー、エイリアンディスクを手中に収め、彼らの用意した幾つもの施設を利用。一度は(ビースト)コンボイの謀殺に成功している。高度なエイリアン技術を解析し、トランスメタルドライバ/TransmetalDriverを開発、再生能力を持つメタルス戦士(メタルス2)を製作したりもしている。
[編集] 初代メガトロンの遺言
(ビースト)メガトロンが盗み出したゴールデンディスクとは、地球人が打ち上げた宇宙探査船、ヴォイジャーに乗せられた物と同一。それには初代メガトロンのメッセージが記録されていた。デストロン敗北の場合に備えた、子孫達への策である。時空間移動が可能となった暁には、過去の地球に向かい、再起動前の休眠状態のサイバトロンを破壊、未来を変容させるというものであり、これが(ビースト)メガトロンの真の目的であった。初代メガトロンに相応しい遠大な謀略であり、このメッセージを聞いたジャガーも協力。結果的に失敗したが、(ビースト)メガトロンは休眠状態の初代メガトロンのスパークを吸収、ドラゴンメガトロンに変身する。更に旧デストロンの戦艦ネメシス(名前は本作で初出)を再起動させるなど、初代の遺産が戦火を拡大させることとなった。