テイラーの定理
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テイラーの定理とは、微積分学における定理の一つで、関数をある一点における高階の微分係数を用いて近似するものである。イギリスの数学者ブルック・テイラー(Brook Taylor, 1685年-1731年)によって1712年に述べられたためにこの名称がある。正確に述べると、次のようになる。
関数 f が閉区間 [a, x] で n 回微分可能であるとき、
ただし、剰余項 R(x) は (a, x) に存在する c を用いて
と書ける。
上の形の剰余項はラグランジュ型と呼ばれる。同じものを次のように積分を用いて表すこともできる;
ラグランジュ型のテイラーの定理は平均値の定理を一般化したものになっている。実際、上の式において R(x) を一階の微分係数を用いて表したものは平均値の定理に他ならない。テイラーの定理の証明には平均値の定理が用いられる。剰余項を積分表示したものを証明するには微積分学の基本定理を用いる。
R の大きさを評価することで、近似がどれだけ正確であるかが分かる。n を十分大きくしたときに R が十分小さくなるならば、f(x) はテイラー展開が可能である。そのとき f は解析的であるといわれる。