チェンジャーデッキ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
チェンジャーデッキは、オーディオプレーヤー・レコーダーにおいて、1つのデッキに複数のメディアを収納でき、長時間の再生・録音および、複数のメディアからプログラムを組んでの再生が可能な装置である。
目次 |
[編集] CDチェンジャー
CDを複数枚連装して、長時間の連続演奏や複数枚にわたるプログラム再生が可能である。
もとはカーオーディオでマガジン式が採用されたのが始まりで、後に家庭用オーディオでも採用されるようになった。マガジン式の他にトレイ式・ルーレット式があり、前者は主にカーオーディオ向けで6~10連装タイプが、後者2種はホームオーディオ向けで3~5連装タイプが、それぞれ主流であった。ルーレット式は演奏中の他のディスクを交換できるのが特徴であったが、後にトレイ式でも演奏中のディスク交換が可能になった。
一時期はパイオニアから25連装タイプ(これをベースにした100連装仕様もあった)が発売されたり、ソニーから300連装タイプやルーレット5連装タイプが出るなど、CD収納枚数を売りにしたプレーヤーも多数出ていたが、近年はiPodを筆頭とするMP3プレーヤーや、リッピング可能なHDD搭載のカーナビゲーションシステムに押され気味である。また、最近ではCDプレーヤー自体もMP3ファイルの再生に対応するものが出てきたことで、チェンジャーの優位性も薄れている。
[編集] MDチェンジャー
MDを複数枚連装して、長時間の連続演奏・録音や複数枚にわたるプログラム再生が可能である(録音は、ディスク交換中は途切れる)。
1996年にソニーが発売した「DHC-MD99」で5連装タイプが採用されたのが始まりといわれ、以後ハイエンド~ミドルクラスのミニコンポに3~5連装タイプが採用されてきた。ケンウッドやソニーからは、MDチェンジャーをダブルで搭載したコンポも登場した。一方で日本ビクターはラジカセタイプにも採用した。後にカーオーディオにも搭載された。
MDチェンジャーはそれなりの人気を集めてはいたが、2000年にMDLPが採用されると、採用機種は減少した。家庭用はソニーの「CMT-PX7」が唯一のMDLP対応MDチェンジャー搭載機である。また、同年にパナソニックが発売した「SC-PM75MD」以降、新機種は登場していない。
カーオーディオも販売はされているが、CDチェンジャーと同じくMP3プレーヤーやカーナビゲーションに押され気味である。
[編集] ビデオディスク用チェンジャー
民生用ではカーオーディオ向けのDVDチェンジャーがあるが、主に業務用に開発されたものが多い。
[編集] カラオケ機器
チェンジャーデッキの普及に大きな役割を果たしたものにカラオケを忘れてはなるまい。
通信カラオケ登場前のカラオケ機器はレーザーディスク(LD)、VHD、ビデオCD、CDグラフィックスなどのビデオディスクが主に使われていて、居酒屋や宴会場、カラオケボックスにはこれらのチェンジャープレイヤーが設置されていた。導入前は歌う曲を替えるたびにディスクを替えなければならないため、交換の手間を省くために1980年代中盤にLD・VHD・ビデオCDのオートチェンジャーが開発され、収容されている曲であればバーコードの読み取りや曲番号の入力で済むようになった。現在は通信カラオケに押されているものの、背景映像や一部の環境ではDVDチェンジャーが現役である。
[編集] レーザージューク
変わったものでは「ビデオディスク版ジュークボックス」、いわゆるレーザージュークもあった。コインを入れて曲を選び視聴するもので、飲食店やゲームセンター、ボウリング場などに設置されていた。
[編集] 構造
大きく分けてディスクを水平にセットするものと垂直にセットするもの、更にディスクを移動させるものと駆動部と読み取り部(光学ピックアップ)のユニットを移動させるものに分けられる。通常のプレイヤーに比べて高さまたは奥行きがあるのが難点。
[編集] マガジン式・トレー式(CD,LD,MD,DVD)
ディスクが収容されているトレーを横や奥にずらし、そこに光学ピックアップを上下に移動させて再生する。ソニーのミニコンポ「ピクシー」シリーズで採用された「マジックチェンジャー」はトレー式を採用するが、光学系・駆動系ではなくトレーユニットを上下させて、希望するディスクのあるトレーをピックアップのある高さに合わせてスライドさせる構造が採用されている。
[編集] ルーレット式(CD)
大型のターンテーブルに複数枚のディスクを載せる。ディスクを選ぶとターンテーブルを回転させて位置を合わせて再生する。駆動系や光学ピックアップは固定されていることが多い。多くのディスクを収容する場合は直径の大きなターンテーブルが必要になるため奥行きが長くなる。
[編集] 縦置き式(CD,DVD)
前述のトレー式を横倒しにしたもの。コンパクトな横幅で多くの枚数を収容するのに最適。光学ピックアップと駆動系が左右にスライドする。