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タランと角の王 - Wikipedia

タランと角の王

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

タランと角の王は、ファンタジー小説。

著者 ロイド・アリグザンダー(Lloyd Chudley Alexander)による プリデイン物語全5部作の第1巻。1964年に発表されている。 この巻では最初に、カー・ダルベンで彼の守護者であるダルベンとコルと共に住んでいるタランという青年についての紹介がされている。そして、その後も冒険を共にするエイロヌイ、フルダー、ガーギ、ドーリ、ギディオンなどが登場している。

タラン農場生活に不満を抱いていて、ダルベンの書にあり、聞かされている英雄のようになりたいと夢見ている。ダルベンはタランにそのような空想的な夢を思いとどまらせようと試みます。彼はアローンの新しい指揮官、「角の王」について警告します。そして、ダルベンが農場から遠く離れることを禁じます。タランはコルに不満をもらしますが、コルは、タランを豚飼育補佐に任命し、機嫌を取ろうとします。タランは新しい肩書きについて不満をもらしますが、物語を通じてその肩書きを使い続けます。

ある日、農場の動物たちが突然動揺しだします。ダルベンとコルは、ヘンウェンと話をするための杖を探し始めますが、その間タランは逃げようとする豚を取り逃がしてしまいます。 豚を追っていったタランは、カー・ダルベンに向かってきた角の王とその部下と出会い、角の王の部下によって傷を負います。彼は逃走して気を失いますが、そこでギディオン王子に発見され治療を受けます。そしてヘンウェンを求めて二人は旅を続けます。

彼らは探索の途中でガーギと呼ばれる毛むくじゃらの生きものに出会います。そしてヘンウェンの情報を得て、ガーギも共に豚の追跡を始めますが、角の王も豚を追います。夜陰に乗じてギディオンたちは角の王のキャンプに近づきますが、そこで角の王がカー・ダスル(ドン家:ギディオンの本拠地)を目指していることを知り、ギディオンは豚の追跡をあきらめます。

翌朝、角の王の手下の狩人たちに彼らは発見され、不死身との戦いに利あらずと見たギディオンは タランに逃げるように命令しますがタランはそれに従わずギディオンとタランは不死身に捕らえられ渦巻き城に連れて行かれます。 そこで二人は魅力的な女王アクレンと出会います。アクレンはギディオンに仲間になるように説得します。そしてアローンを倒して、その後の世界を共に支配しようと持ちかけますがギディオンは拒絶します。怒った彼女は二人を別々の牢に閉じ込めてしまいます。

牢の中にいるタランのところに、思いがけずに、王女エイロヌイがやってきます。彼女は叔母と称するアクレンのもとで魔法を習いつつ過ごしているのでした。タランはエイロヌイに対して仲間(その名前は告げませんが)、そして自分を牢から出してもらえないか頼んでみます。エイロヌイはアクレンから与えられた罰に対して仕返しのつもりで二人を牢から出すことに同意します。まずエイロヌイは、もう一人捕まっていた人を助けたことをタランに伝えた後、タランと一緒に城の迷宮から脱出します。脱出の途中偶然、伝説の剣、デルンウィンを見つけたエイロヌイはその剣を持ち出しますが、そうすると渦巻き城は崩れてしまいました。 脱出したタランは、救いだされていた人物がギディオンではなく、フルダー・フラムという吟遊詩人だったことに失望して、何故ギディオン(あくまで友達としか言いませんが)を助けてくれなかったかエイロヌイに詰め寄りますが、ギディオンの名前を告げなかったことに思いを来たし苦悩します。3人は城の崩れた跡を探し回り武器や必需品を手に入れた後、ギディオンの死を悼みます。その夜、タランたちはガーギと再会しますが、ギディオンを失ったこともありガーギを追い返そうとします、しかしガーギが持ってきた敵の情報によって彼と同行することとします。

タランはギディオンが死んだために、豚の探索をあきらめ、カー・ダスルにギディオンの死と迫る危機を伝えなくてはと判断します。仲間たちも彼と一緒に冒険することに決めます。そしてギディオンの馬、メリンラスを連れていきます。彼らは追ってくる2人の疲れを知らない不死身たちと競争するために、昼も夜も歩きつづけます。途中木から落ちて負傷したガーギはタランに自分を殺してくれと頼みますが、それを拒絶します。ガーギは彼が手に入れた蜂の巣をタランに提供しようとし、そのときからタランとガーギの間に長く続く友情関係が芽生えます。

ガーギの足は悪くなるばかりで、しかもエイロヌイも発熱してしまう。不死身たちは彼らの講堂限界に至ったため追跡をやめるが、タランとその仲間たちは敵を避けるために当初予定していたコースから大きく外れてワシ山脈の中へと入っていく。そしてガーギは瀕死となる。メリンガーによって一行は知られざるメドウィンの谷へと連れられる。メドウィンはガーギを治療します。そして、そこでタランはヘンウェンが逃げた日にカー・ダルベンから逃げ出した鶏などを見つけます。動物の話を理解できるメドウィンとタランは話をしますが、ヘンウェンの行方はわからず、捕らえられたか死んでしまったのではないかと予想します。ガーギはすぐに回復し、一行は再び旅を続けます。 次に彼らは湖にであいます。湖のそばをとおるのが近道と思った一行は、湖の底へと引き込まれてしまいます。彼らは湖の底の妖精の王、エイディレグ王のもとに連れられていきます。王はタランに対してぶっきらぼうに話しますが、エイロヌイが感謝を述べたときに、少し物腰やわらかになります。ガーギがここでヘンウェンがいることに気が付きます。タランはエイディレグ王を問い詰めますが、ヘンウェンのことについては質問がなかったではないかと王は言います。タランたちは王を詰問して、ヘンウェンを返すこと、失った装備を弁償すること、カー・ダスルまでの道案内に誰かをつけることを認めさせます。

彼らの道案内となったのは、姿を消すことが出来ないでいる妖精の落ちこぼれ?のドーリでした。 彼はカー・ダスルに向けていいペースで一行を導きます。アローンの手下の傷ついたスパイの役目も果たす鳥を見つけたときに、ドーリはすぐに殺すことを提案しますが、タランは彼を止めます。 ドーリは激怒しますが、鳥は介抱されて回復し飛び立ってしまいます。同じ日に角の王の探索に気づいたヘンウェンは再び逃げ出してしまいます。

彼らは旅の遅れによって、かろうじて角の王の軍隊より先にカー・ダスルにたどりつけるのではないかといった状態にありました。カー・ダスルのそばに来たときに彼らは敵に襲われますが、ドーリ、ガーギは奮戦し、フルダー・フラムはメリンガーでタランとエイロヌイを逃がします。メリンガーはタランとエイロヌイを乗せて逃げますが、それを角の王自らが追います。タランは角の王に向かっていきますが、剣が折れてしまいます。そのため、タランはエイロヌイが持っている剣デルウィンを取り上げますが、デルウィンの魔力に対することができずに、タランは火傷をして気を失います。タランが意識を失う直前に一人の男性が近づいてくるのが見えて何か難しい単語を大声で唱えるのを見ます。すると角の王のマスクは溶けてしまい、彼は燃えてしまいました。

タランはカー・ダスルで気が付きます。彼の傍らには、ヘンウェン、エイロヌイがいました。そして共にいた人から角の王の最期とその軍隊の崩壊を聞かされます。その人は渦巻き城が崩れたときに亡くなったと思っていたギディオンであることにタランは気が付きます。地下牢での苦しみによってギディオンは生きものの心の中を理解することができる力を身に付けます。そしてタランが無事であったことに気が付いたギディオンはその後ヘンウェンと出会います。ヘンウェンの持っている角の王に関する知識はギディオンの想像以上のものでした。ヘンウェンは角の王を滅ぼすことができるもの、彼の秘密の名前について知っていたのです。ギディオンはタランを救うのにちょうどいいタイミングで間に合い、角の王に遭遇しました。そして、エイロヌイは彼が現れたときにデルウィンを渡しました。その剣がギディオンの剣となることをエイロヌイは理解していたからです。

最後にドン家から仲間たちにいろいろな贈り物が与えられました。エイロヌイには指輪が、ガーギには決して食べ物のなくならない袋が、フルダーには決して切れない弦が、そしてドーリには人から見えなくなる能力、タランはカー・ダルベンに帰る許可だけを願いました。そこでギディオンはエイロヌイや、ガーギとともにタランと同行しました。彼らは他にいくところがないならカーダルベンに滞在しないかと誘われました。 冒険の途中でタランは、カー・ダルベンがいかに良い場所であったかということを今さらながら理解しました。そして豚飼育補佐としての静かな生活を送りました。彼はさらなる冒険を切望することになりますが、初めてヘンウェンの囲いの中にいて満足でした。

[編集] 主な登場人物

  • タラン
  • ダルベン(タランの保護者)
  • コル(タランの保護者)
  • ギディオン(ドン家の王子)
  • エイロヌイ(王女、渦巻き城のアクレンのもとにいる)
  • フルダー・フラム(吟遊詩人)
  • ガーギ(毛むくじゃらの生きもの、人間ともけものでもどちらともいえない)
  • ドーリ(妖精族の小人)
  • メドウィン(動物と話ができる)
  • アローン(死の国の王)
  • 角の王(アローンの軍隊の新しい指揮官)
  • アクレン(渦巻き城の女王、タランとギディオンを捕らえる)

これはメドウィンが他の人間たちと交流を持つ唯一の物語です。 原書のタイトル The Book of Three は、ダルベンが持つ魔法の書から来ています。 タランはダルベンの書に触ろうとしますが、触ったところが水ぶくれになってしまいます。

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