タニマチ
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タニマチとは相撲界の隠語で、ひいきにしてくれる客、または後援してくれる人のこと。現在では相撲界以外にプロ野球界などの他のスポーツ界でも幅広く使われる。
江戸時代、あるいは明治の初期に大阪の谷町(たにまち)で開業していた医者が大の相撲好きで、力士が診察に訪れた際に治療費を受け取らなかったことから来ている、という話が有名である。この医師も話によって歯医者であったり骨継ぎ師であったりして、あまりはっきりしない。平成になってこの医師の子孫と称する人が名乗り出たこともあったが、「祖父からそう聞いている」といった又聞きの根拠でもあったため、熱心な好角家の間で話題になるにとどまった。
先に「タニマチ」の語があって、あとからこうした美談が創作されたと見るむきもある。
他にやはり谷町の大手の呉服問屋の主が相撲好きで、何かと力士を支援したからという話もある。
実在のはっきりしている「タニマチ」として愛知県一宮市の森家がある。江戸時代から力士によくつかわれた膏薬「浅井万金膏」の販売元であり、昭和の半ば頃まで大相撲の力士の怪我の治療には何かと便宜をはかった。相撲協会でも、一時期国技館の升席を森家とその縁者のために無料開放して、この恩に報いていた。