スマートエントリー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スマートエントリーとはメカキーを使用せずに車両のドアの施錠/開錠、エンジン動作が可能な機能のことである。
なお、スマートエントリーとはトヨタの商品名であり、各メーカーにより名称は異なる。
トヨタ…スマートエントリーシステム
ホンダ…スマートカードキーシステム
スズキ…キーレススタートシステム
ニッサン…インテリジェントキーシステム
スバル…スマートパスシステム
三菱…キーレスオペレーションシステム
ダイハツ…キーフリーシステム
マツダ…アドバンストキーレスエントリー&スタートシステム
etc
ただし、 一般的に同機能が話題に上がる際"スマートエントリー"という言葉が総称のように使われることが多い。
目次 |
[編集] 概要
軽自動車を中心に、最近発売されている自動車にはスタンダードになりつつある。 運転者の持つ携帯機と自動車に搭載されているECU(Electoronic Control Unit)とで通信を行い、通信が成立されればドアの施錠/開錠を行う。
また、エンジン動作もメカキーなしで可能であるが、イモビライザーやステアリングロック等の盗難防止機能がついていることが多いため、エンジン動作に関しては多重にセキュリティがかけられていることになる。
各自動車にもよるが、スマートエントリー搭載車はキーレスエントリーも同梱されていることが多く、携帯機も一つですむように、車両と通信を行う携帯機にロック/アンロックボタンが付いているものが多い。
携帯機の形は大概、コンパクトなリモコン状のものだがクラウン(S180系2005年モデル以降)やエスティマ(2006年)などの一部車種ではリモコン・センサー機能を統合させた腕時計式になっているものもある。(トヨタではこれを「キーインテグレーテッドウォッチ」と呼ぶ)
セキュリティの考え方の違いからか、車両に付属するボタンを押してから通信を開始するものと、車両に近づく/離れるのみでオートドアロック/アンロックを行うものとがある。
通信成立として、ドアの施錠/開錠した際にハザードやルームランプを点滅させることでドライバーに通知する。(これをアンサーバックもしくはウェルカムランプという)
[編集] セキュリティ対策
自らメカキーをまわして施錠/開錠するのではなく、自動的に施錠/開錠するのでセキュリティ面に不安を覚える利用者も多い。
そのため、施錠/開錠した際にセキュリティ動作を同時動作させることも多い。
- 開錠した際に数秒間ドアを開かないままにしていると自動的に施錠する。
- 施錠した際に盗難防止機能を動作させ、ドライバー以外が無理やりドアを開くとホーンが吹鳴する
etc
[編集] 携帯機の複数枚対応
家族等で1台の車両をシェアできるように携帯機も複数枚対応していることが多い。
車両購入時付随してくる携帯機の数は1枚のみであることが多いが、携帯機個別でも購入が可能である。 各メーカー、車両にもよるが登録可能枚数は3枚~6枚対応の車両が多い。 しかし、複数枚登録していると車両と携帯機の通信が競合することがあり、通信が成立しないときが ある。そのため、各車両でアンチコリジョン(衝突防止機能)や通信リトライ等で通信失敗を低減させている。 ただし、登録枚数を多くすればするほど通信時間が長くなり、最悪の場合は利用者がボタンを押す もしくは 車両に近づいてから3秒程度間隔をおいてから開くことになり、違和感を感じることがある。
[編集] 使用電波
車両から携帯機に向けて発信される電波は長波、携帯機から車両に向けて発信される電波は極超短波が使用されていることが多い。これは車内電波が車外に漏れてしまい、車外に携帯機が存在するのに車内に存在すると誤認するのを防ぐため、車両からの電波力を調整するが、電波力の微調整が可能なのがLF電波だからである。
[編集] 心臓ペースメーカーへの影響
前述のように車両からの電波はLF電波が使用されているが、RF電波がラジオ等から発せされるノイズ等と同レベルの力しか無いのに対し(電波法にて制限されている)、LF電波は強力のため、心臓ペースメーカーに対して影響を与える可能性がある。これは各種車両マニュアルにも記載されているが、心臓ペースメーカーを使用している方は対応車両購入前に医療関係者と相談する等配慮が必要である。
[編集] 閉じ込め対策
自動的に施錠するため、携帯機を車内に閉じ込めてしまう現象が発生してしまう可能性がある。
そのために、携帯機を車内に放置したまま、施錠しドアを閉めた場合強制的に開錠するといった閉じ込め対策が各車両にとられている。
しかし、この対策も携帯機と通信が成立しない限り動作させることができないため、完璧ではない。車内とはいえ、どうしても電波の届かないエアポケットが存在するため、ドライバーは常に携帯機を携帯し、車内に放置しない心がけが必要とされる。またそのことは各自動車のマニュアルにも明記されている。
[編集] ソフトウェア/ハードウェアの難航化
近年、機能の高度化および作成~発売までの高速化が求められ、スマートエントリー動作を制御するソフトウェアも難航化が増す一方である。といいつつも、市場に不具合を出すわけにはいかないため、ソフトウェア/ハードウェアの共有化/正確化/効率化が迫られている。
ソフトウェアではQAC等の静的解析ツールやPolySpace等の動的解析等のツールを使用することによって自動化、高速化、正確化を進めなければならないだろう。