ジョン・ダイクストラ
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ジョン・ダイクストラ(John Charles Dykstra,1947年6月3日 - )はアメリカのSFXスーパーバイザーであり、映画製作におけるコンピュータグラフィックスの使用を発展させた先駆者である。カリフォルニア州ロングビーチ出身。
インダストリアルデザインを学んだ後、映画『サイレント・ランニング』の模型製作をダグラス・トランブルとともに行った。『スター・ウォーズ』製作に向けてSFXスタッフを探していたジョージ・ルーカスは、ダグラス・トランブルを誘ったが、トランブルはダイクストラをルーカスに紹介した。ダイクストラはILMにおいてDykstraflex(コンピュータによるモーション・コントロールカメラのシステム)の開発の中心的な役割を果たした。これは数々の映画においてSFXの助けとなった。このシステムは、比較的低コストによって実現された。というのも、中古のビスタビジョンのカメラと、既製品のマイクロプロセッサーによって可能だったからである。
しかしながら、ジョージ・ルーカスは後に「このカメラ・システムの開発に多くの費用が費やされすぎた」「SFXチームは自分が望んだ全ショットを完成させなかった」と不満を言い、ルーカスとダイクストラの間には緊張が走った。しかし『スター・ウォーズ』が公開され、ダイクストラはアカデミー賞・視覚効果賞及びアカデミー特別業績賞(視覚効果)を受賞し、地位を確立した。
ダイクストラはその後プロダクションを持ち、テレビシリーズ『宇宙空母ギャラクティカ』(Battlestar Galactica、1978年-1979年)にクレジットされ、シリーズのSFXに貢献したが、『スター・ウォーズ』の後では少しがっかりさせる出来であった。また、この『宇宙空母ギャラクティカ』を製作したユニバーサル映画とジョージ・ルーカスが法的紛争に突入してしまったため、ダイクストラは『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』の製作に誘われなかった。かわりに、ダイクストラは『スタートレック (TMP)』のSFXを担当することとなり、それ以降の映画で何度も使用されることとなる特殊効果をいくつか生み出すこととなった。
ダイクストラの次なる大きな業績は映画『ファイヤーフォックス』(1982年)におけるSFXであった。
ダイクストラは『スパイダーマン』、『スパイダーマン2』の両作品でVFXデザイナーを務め、『スパイダーマン2』において彼の功績が認められ、再びアカデミー賞でアカデミー特別業績賞(視覚効果)を受賞した。