ジュラシック・パークIII
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『ジュラシック・パークIII』 (Jurassic Park III、じゅらしっくぱーくスリー) は、2001年に公開されたアメリカの映画で、「ジュラシック・パーク」「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」から続くシリーズの第3作である。ユニヴァーサル映画提供。
シリーズの前2作があくまでマイケル・クライトンの小説を原作とした映画化という形をとっていたのに対し、この作品からは基本的に映画独自のストーリー展開になった。また、自然の畏怖・人間の傲慢といったテーマ意識も薄れ、家族向けのアドベンチャー映画の傾向が強まった。監督も前2作のスティーヴン・スピルバーグからジョー・ジョンストンに変わる。
劇中における人物関係や場面において第1作との類似点が多く、第1作に対する敬意が読み取れる。主人公がアラン・グラント博士であること、島へセスナで向かう時の映像にテーマ曲が流れること、男の子が登場することなどである。
内容面やテーマにおいて、原作小説(『ジュラシック・パーク』)の映画一作目で描ききれなかった部分を補完するような面がある。
本作に登場する主な恐竜・翼竜はティラノサウルス、スピノサウルス、ヴェロキラプトル、プテラノドン。他にもブラキオサウルス、アンキロサウルス、コンプソグナトゥス、パラサウロロフス、コリトサウルス、ステゴサウルス、トリケラトプス、ケラトサウルスが登場する。
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[編集] 新登場した恐竜
ジュラシック・パークIIIの目玉のシーンのひとつは、ティラノサウルスに対抗する格闘能力をもつスピノサウルスの登場であり両者の格闘シーンであるが、実際のスピノサウルスは魚食と推定されており、そもそも映画のような獰猛な性質は疑問視されている。これはシリーズを通して学術的な立場から助言をしている古生物学者のジャック・ホーナーがティラノサウルスを戦闘能力の低い腐肉食性の動物と考えているためである。実際にはホーナーの言うように体の大きさだけがその動物の強さを単純に示すわけではなく、この格闘は時代と生息場所を越えた夢のスーパーマッチ、フィクションと捉えるべきであろう。またスタッフやキャストはスピノサウルスは腕が大きく、鋭い爪を持っているのでT-レックスよりも強いとコメントしているが、実際のスピノサウルスの腕の大きさは映画ほど大きくはない。本作の日本版パンフレットでロストワールドに引き続き、恐竜について解説している金子隆一は「実際はティラノの圧勝」と書いている。
[編集] スタッフ
- 製作:キャスリーン・ケネディ
- 監督:ジョー・ジョンストン
- 脚本:ピーター・バックマン、アレクサンダー・ペイン、ジム・テイラー
- キャラクター:マイケル・クライトン
- VFX:ILM
- 音楽:ジョン・ウィリアムズ(テーマ)、ドン・デイヴィス(新規作曲)
[編集] キャスト
- アラン・グラント:サム・ニール
- ポール・カービー:ウィリアム・H・メイシー
- アマンダ・カービー:ティア・レオーニ
- ビリー・ブレナン:アレッサンドロ・ニヴォラ
- エリック・カービートレヴァー・モーガン
- エリー・サトラー:ローラ・ダーン
- ユデスキー:マイケル・ジェッター
- ナッシュ:ブルース・ヤング
- クーパー:ジョン・ディール
[編集] 登場する恐竜・翼竜
以下のリストには映像として現れる恐竜・翼竜だけでなく、台詞・表示などで存在のみが確認できる恐竜・翼竜も含めた。
また、劇中で種小名が出ているものは属名と中黒(・)で繋ぎそれも記した。原則として劇中での登場順に並べてある。
- トリケラトプス Triceratops
- コリトサウルス Corythosaurus
- ステゴサウルス Stegosaurus
- パラサウロロフス Parasaurolophus
- ブラキオサウルス Brachiosaurus
- スピノサウルス・エジプティアクス Spinosaurus aegyptiacus
- ティラノサウルス・レックス Tyrannosaurus rex
- スコミムス Suchomimus ※映像には現れない。
- バリオニクス Baryonyx ※映像には現れない。
- ヴェロキラプトル Velociraptor
- コンプソグナトゥス Compsognathus ※前作では、トリアシクスという架空の種名で登場している。
- アンキロサウルス Ankylosaurus
- プテラノドン Pteranodon
- ケラトサウルス Ceratosaurus
[編集] 恐竜の変化
- ヴェロキラプトルの化石から毛のような物(羽毛)が発見されたので今作のヴェロキラプトルでは頭に毛が生えている。またメスしか飼育されなかったジュラシックパークと異なり、サイトBでは恐竜は自然繁殖していることから今作のラプトルでは雌雄の性差もカラーリングやデザインによって表現されている。
[編集] 評判
- 第1作,第2作では,科学技術の暴走や人間が恐竜を商用利用するために乱獲を行っているといった,倫理的な部分を描写していたが,本作では恐竜をはじめとした自然への畏怖,尊敬があまり描写されておらず,単なるパニック映画に「なりさがってしまった」というようにいい評価を得ていない(これはスティーヴン・スピルバーグが監督から降りた理由のひとつではないかといわれている。)。さらにはジュラシックパークシリーズは「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」で完結したという人もいる。
- だがぴあなどの雑誌では前評判がとても高く、ロールプレイングゲームのようにテンポがよく三作の中で最も面白いとされていた。
[編集] 関連項目
- 「ジュラシック・パーク」(前編・1993年)
- 「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」(前編・1997年)
[編集] 外部リンク
カテゴリ: SF映画 | アメリカ合衆国の映画作品 | 2001年の映画 | 恐竜映画