サイトメガロウイルス
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サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus)はヘルペスウイルスの一つ。
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[編集] 特徴
DNAウイルスのヘルペスウイルス科に属するウイルスの一種で、学名はHHV-5(human herpesvirus 5)。ゲノムの大きさは、大型のDNAウイルスであるヘルペスウイルスの中でも最大級である。感染した細胞の核内で増殖するとき、光学顕微鏡下で観察可能な「フクロウの目 ("owl eye") 」様の特徴的な核内封入体を形成する。
[編集] 臨床像
サイトメガロウイルスによる感染症は、主に日和見感染として重要。感染細胞は核内封入体という特徴的な形状を持つ。胎内感染によって新生児に先天性の感染症を示すほか、後天的感染で重篤なものとして肺炎と髄膜炎を引き起こす。輸血の際、白血球内に感染したサイトメガロウイルスが感染することがある。
- 先天性サイトメガロウイルス感染症
妊婦が妊娠初期にサイトメガロウイルスに初感染すると、胎児に移行感染する。先天性巨細胞封入体症という別名がある。TORCH症候群の1つ。
- サイトメガロウイルス肺炎
化学療法後やエイズなどの免疫力低下のヒトに生じると致命的ともなる。
- サイトメガロウイルス髄膜炎
化学療法後やエイズなどの免疫力低下のヒトに生じると致命的ともなる。
[編集] 治療
健常者のサイトメガロウイルス感染では一般的に治療は不要である。但し、幼児に対する抗ウイルス薬治療には定評がある。
免疫力の低下により重篤な症状を呈する患者には抗ウイルス薬であるガンシクロビルが有効。用いられることは少ないが、ホスホノホルメートも有効である。ガンシクロビルの代替薬としてはヴァルガンシクロビル(ヴァルサイトとして市販)がある。また、ガンシクロビル耐性サイトメガロウイルスに罹った患者にはフォスカルネットやシドフォビルを用いる。但しこれらは腎毒性が問題となるため注意が必要。 サイトメガロウイルスに対するワクチンは現在2006年10月現在も研究・開発の途上である。
[編集] 関連
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