クライスラー・ネオン
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クライスラー・ネオンは1990年代後半から2000年代前半にかけて、クライスラー社 (現:ダイムラー・クライスラー)が日本車や韓国車に対抗して発売したコンパクトセダン・クーペである。北米ではダッジもしくはプリマスブランドで販売されたが、欧州やアジア市場ではクライスラーブランドで発売された。通常販売チャネルが異なると同一車種でも名前が変わることが多いが、このネオンの場合には企画段階で車名が共通で用いられることが予め決まっている珍しいパターンであった。
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[編集] 初代
- 1994年に本国 (米国) で登場し、2.0リッターエンジンを搭載する小型セダンとして登場した。
デザイン上の特徴は異形丸型2灯式ヘッドライトを採用した親しみのあるフロントマスクで、広告展開では正面を向いて"Hi."と陽気にアピールしていた。
価格はベースモデルで本国で9000ドル(エアコン等未装備)を切っていたため、当時日本のマスメディアは盛んに「日本車キラー」と報道されたが、実際は足回りやトランクルーム内側の塗装コーティングを省略する等、コストダウンに徹していたため、質感は当時のホンダ・シビックやトヨタ・カローラに遠く及ばなかった(それだけ廉価車として割り切って作られていた、と言う事にもなる)。 - 1996年に右ハンドルモデルが日本へ投入。同時に英国やオーストラリアへも輸出された。日本仕様は廉価版のSE(当初、本体価格が130万円以下だった)、中間グレードのLE、豪華版のLXが輸入され、大半が3速ATだったが、ごく少数5速MTも投入された。
[編集] 2代目
- 1999年9月には新型が登場、メルセデス・ベンツの評価基準を取り入れ、ハンドリングや操縦安定性は大幅に向上した。
質感やNVH(騒音・振動・ゴツゴツ感)評価もやや向上したが、まだ同クラスの日本車には及ばなかった。
翌年2000年には右ハンドルの日本仕様が発売されたが、オートマチックは相変わらず3速で、しかも本革シートなどの豪華装備を装着した「LX」のみ輸入され、車両価格が215万円 (消費税抜き) と大幅に値上げされたため、他車との競争力に乏しく、わずか数年間で輸入が終了した。
しかし、基本性能が上がった二代目ネオンのプラットフォームを使った派生車種であるPTクルーザーは、日本でも1万台以上売り上げたベストセラーになっている。 - 一方米国では、ホットモデルの「ダッジ・SRT-4」(これは「ネオン」の名前はつかない) を発売し、日本車が独占しているスポコン市場に乗り込んだ。
- 2006年モデルを最後に生産を終了。後継車種はクロスオーバー型小型車のダッジ・カリバー。
[編集] SRT-4
北米のダッジブランドでのみ提供されているネオンの高性能モデル。215馬力、33.8kgのトルクを発生するターボ付き2.4Lエンジンを搭載し、純正で17インチホイールを装着するホットモデルである。
日本のスポーツコンパクトに対抗するために企画された。2004年にはマイナーチェンジが行われエンジン出力が230馬力に向上している。2005年にはレーシングベースのホットバージョンであるACR(American Club Racer)がリリースされている。