エギング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
エギングは日本古来の「餌木」というルアーを使ったイカ釣りを指す。「餌木(エギ)」を使うことからエギングと言い、エギングに興じるアングラーを総じて「エギンガー」という。対象魚としてはアオリイカが人気であるが、コウイカやスルメイカ、ヤリイカなどのイカ類全般、またタコなどもエギングで釣ることができる。
目次 |
[編集] タックル
おおよそ、8ft前後のカーボンロッドに2000~3000番台のリールを用い、メインラインにPE、ショックリーダーとしてフロロカーボンを使用する。
[編集] カーボンロッド
- エギング用のロッドはこの釣り方が一般化した頃から多くの改良を重ね進化してきた。エギングロッドに求められるのは、一日中シャクリを続けても疲れにくい軽さや、軽いだけでなくエギの飛距離やコントロールをしやすいロッドバランス、また風のある時や複雑なシャクリ時にもロッド等にラインが絡みにくいようなガイドなど、多くのアングラーの嗜好に合わせた多種多様な条件がある。現在、主なエギングロッドメーカーとして人気があるのは下記の通りである。(括弧内は主な商品名を記載)もちろん下記以外にも多くのメーカーがロッド開発に取り組んでいる。
[編集] リール
- エギング専用リールというのはまだそれほど多くは開発されていないが、従来のリールよりも軽く、また浅溝スプールなどを採用しているリールは人気がある。現在ダイワからエメラルダス、シマノからセフィアというエギング専用リールが発売されている。
[編集] ライン
-
- PEライン ポリエチレンの繊維を何本も寄り合わせたようなラインで、ナイロン製のものに比べると軽く、強度があり、感度も良い。エギングではエギの飛距離向上と、感度のよさ、コントロールのしやすさからPEラインをメインシステムに選ぶことが多い。
- フロロカーボン ポリフッ化ビニリデンのことであり、炭素の鎖を軸にフッ素と水素のペアが何対もついた構造になっている。主にショックリーダーとして使われるが、PEと違うのは横のズレに対しての強度があることで、根ズレなどになりにくいなどの利点がある。後は、PEライン自体は強度があるために張りも強く、エギに対してかかるテンションを緩和しにくいので、フロロカーボンの柔軟性をリーダーとして取り入れることでこれを補う役目もある。
[編集] 餌木(エギ)
- エギングの呼び名の由来ともなった日本古来のルアー。諸説あるが、漁師が松明を持って船上で作業していた時に、松明を海中に落としたところそれにイカが抱きついたことから始まったとされている。現在では多くのエギが開発されているが、基本的に外観はエビに似せた形や模様を施しており、木材やプラスチックで形成されている。これに金銀マーブルなどのカラーテープを貼り、更にその上から各色の布を貼り付けているものが多い。エギの前方下部には鉛のシンカーが取り付けられているが、沈下姿勢や沈降速度により、その重さはメーカーによりそれぞれである。形状にも四国型や大分型など、生産地や生産者ごとに分類されたいくつかの種類が存在しているが、近年ではそうした地域的な形状変化よりも各メーカーともにアングラーの用途に特化したエギを開発する傾向にある。例えば、沈下速度の速いものとか、遅いもの、またダーティングさせやすいものとか、ジャンピング性能だけを向上させたものなど、バリエーションは様々である。
- エギの色に関しては多くの説があるので正確なことは経験により構築されるものであるが、海の濁り具合や空模様、天気などによってイカへのアピール度が違うと言われている。それぞれのシチュエーションで見えやすい色が違うため、現在では多くのカラーバリエーションが各メーカーごとに開発され続けている。現在発売されている有名なエギメーカーは下記の通り。(括弧内は商品名)
[編集] 釣法
エギングは昼夜を問わずに釣行することができ、日中は激しいしゃくりでイカの捕食本能にアピールする釣り方で、夜は比較的穏やかな釣り方をすることが多い。
基本的には海中に沈めた餌木を、ロッドをしゃくることによって操作し、イカにアピールすることで食い気を誘い、イカに餌木を抱かせることで釣り上げる。
主な基本釣法としては、餌木を沈めてそのままゆっくりと引いてくる「ズル引き」、ロッドを上に跳ね上げることで餌木をジャンプさせる「シャクリ」、シャクリを立て続けに2回、3回と連続して行う「2段(3段)シャクリ」、シャクリと同時にリールを巻き取ることで餌木を縦方向ではなく横にダーティングさせる「HPSJ(ハイピッチショートジャーク)」、また最近ではラインのたるみを利用してしゃくりあげる「スラッグジャーク」などが挙げられる。
どのような釣法においても基本は餌木を海底に沈めることであり、俗に「底を取る」と言う。初心者はまず餌木をきちんと着底させることが上達への第一歩である。風が強いときや潮の流れが速い場合には特に着底は困難となるので、あらゆる状況に応じて餌木の種類を使い分けたり、チューニングを施したりしなければならず奥は深い釣りである。
[編集] 考察
日中でもイカが餌木の動きに反応することが知られたのはここ数年のことで、ルアーを使用しての釣りで比較的ライトタックルで攻めやすいことと、前述の通り日中でも釣行できる手軽さ、またイカ特有の引きの良さから近年爆発的な人気を誇る。特にバサー(バスフィッシングアングラー)からの転向も多いことが知られる。バスフィッシングでも問題となったが、釣り場を荒らすエギンガー(ゴミを放置したり、波止場をイカスミで汚す等)も増えたことで地元のアングラーや居住者たちには不満の声も聞かれる。