ウガリット文字

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ウガリット文字
タイプ:	アブジャド
言語:	ウガリット語, フルリ語
時期:	紀元前1300年頃から
ISO 15924 コード:	Ugar

ウガリット文字（うがりっともじ）は、ウガリット語の表記に用いられた表音文字。 また、フルリ語の表記にも用いられた。原シナイ文字に続く世界最古の音素文字の一つであると言われる。

ウガリットの遺跡から出土した粘土板文書に見られる。 楔形文字の一種だが、メソポタミアで用いられたものが表意文字の性格を色濃く残しているのに対しこちらはほぼ完全に表音文字となっている。音素文字化もある程度進んでおり、字母数はメソポタミアのものよりはるかに少ない。また画数が大幅に減らされているなど、簡略化が進んでいる。

音節文字3字と音素文字（子音のみを表す）26字、句読点1字の計30文字から構成される。左から右に横書きされる。

以下に画像で字形とラテン文字転写、表組みでラテン文字転写とおおよその発音を示す。

ラテン文字転写	発音
a	[ʔa] 原則として音節文字で声門破裂音と母音[a]の組み合わせ。外来語の音写では音素文字として母音[a]を表す。 また、長母音[a:]の長音符号として使われる場合もある。
b	[b]
g	[g]
ḫ	[x] 無声軟口蓋摩擦音。kの位置で発音される「ハ」音。
d	[d]
h	[h]
w	[w]
z	[z]
ḥ	舌を奥に引いて発音する強勢音の「ハ」行子音。
ṭ	舌を奥に引いて発音する強勢音の「タ」行子音。
y	[j] 「ヤ」行子音
k	[k]
š	[ʃ] 「 シャ」行子音。
l	[l]
m	[m]
ḏ	[δ] 英語"the"のth音。
n	[n]
ẓ	舌を奥に引いて発音する強勢音の「ザ」行子音。
s	[s]
‘	[ʕ] アラビア語 アインに近い有声喉頭蓋摩擦音
p	[p]
ṣ	[ts] ツァ行子音。 または舌を奥に引いて発音する強勢音の「サ」行子音。
q	舌を奥に引いて発音する強勢音の「カ」行子音。
r	[r]
ṯ	[θ] 英語"think"のthに近い無声歯摩擦音。
ġ	[γ] アラビア語ガインに近い有声軟口蓋摩擦音。
t	[t]
i	[ʔi] 原則として音節文字で声門破裂音と母音[i]の組み合わせ。外来語の音写では音素文字として母音[i]を表す。 また、長母音[i:]や[e:]の長音符号として使われる場合もある。
u	[ʔu] 原則として音節文字で声門破裂音と母音[u]の組み合わせ。外来語の音写では音素文字として母音[u]を表す。 また、長母音[u:]や[o:]の長音符号として使われる場合もある。
ś	[s]? 正確な発音は不明。外来語の音写に用いられる。
.	単語と単語の区切りを示す。ラテン文字転写では省略される事が多い。