インターバルトレーニング
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インターバルトレーニングは、陸上競技、マラソンの場合、急走(速く走る)ことと、緩走(ゆっくり走る)ことを繰り返すトレーニング。効果は非常に高いが、疲労度が高く体にかなりの負担をかけるのでトレーナーなどの指示の元で行う必要がある。
[編集] 概要
- エミール・ザトペックが始めたトレーニングとされる。
- 「インターバル」は「間隔」を意味する言葉であり、休息(インターバル)をとりながら実施するトレーニングであることから、「インターバルトレーニング」と呼ばれるようになった。ただし、インターバルトレーニング中にとる休息は「不完全休息」であり、急走を走るごとに「完全休息(しっかり休息をとること)」をとるトレーニングは「レペティッショントレーニング」である。
[編集] エミール・ザトペックのインターバルトレーニング
インターバルトレーニングそのものは、1920年代に北欧でバーボ・ヌルミらによって実施され普及した「ファルトレクトレーニング」に原型を求めることができる。ファルトレクトレーニングは、丘陵等の自然の地形を活用し、下り坂では急走し、平地ではジョギングするなど、ペース変化を伴うトレーニングである。
今日のインターバルトレーニングは、1952年のヘルシンキ五輪で長距離三冠に輝いたチェコのザトペックにより実施されたものが、世界的に普及したものである。ザトペックは少しでも速く、長い距離を走るため、急走と緩走を繰り返すトレーニングを開始したとされる。
ザトペックは、400mのインターバルを10本から80本、60秒から90秒のペースで実施し、スピード養成を目的としたときは速く、スタミナ養成を目的としたときはマラソンのレースペースよりも遅く走るなど、臨機応変に行った。
しかし、世界の陸上関係者にはその本数のみが伝わり、ペースが正確に伝わらなかったため、世界中の指導者、ランナーがオーバートレーニング的にトレーニングし、怪我に苦しむこととなった。
逸話としてこのような話が伝わっている。
ザトペックインターバルを実践すべく、400mを72秒で80本、週に1回実施しようとした米国人ランナーがいたが、3回目で怪我をしてしまった。
後年、ザトペックに会ったその米国人ランナーが「私にはとてもできませんでした」と言ったところ、ザトペックは「あなたは何秒で走られたのですか」と尋ねた。72秒と答えると「それはすごい。本当にすごい。私より速い」とザトペックは驚いて答えたという。