インジェクタ
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インジェクタとは、そもそもはスティーム・ボイラー・インジェクタのことである。これはボイラーへの給水にポンプを用いず、自分自身の圧力を用いて給水する、一見矛盾に満ちた装置である。
管内に噴射された蒸気はその内部に霧吹きの原理で低圧を作り出し、水を吸い込む。その水は噴出する蒸気により加速されて、ボイラに取り付けられた逆止弁に接続された管に激突する。この過程では、蒸気は常温の水と混じりあうことにより凝縮し、結果としてある程度高温の液体の水になる。運動エネルギが大きい液体が急停止するとその力積は大きく、ボイラーの圧力に打ち克つことになる。このような現象が起こるように、絞り弁、吸い込み管、逆止弁などを含めた装置をインジェクタと呼ぶ。
上記の記述で解るように、インジェクタは蒸気で駆動されるものであり、蒸気の代わりに圧縮空気を用いても凝縮が起こらないので作動させることはできない。
給水ポンプに比べ小型で故障が少ないことと、蒸気との混合で給水温度が上昇し、給水暖め器が不要になるのが利点である。ポンプを作動させる動力も不要であることは言うまでもない。