アレスティング・ワイヤー
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アレスティング・ワイヤー (arresting wire) とは、空母の着艦用甲板後部に装備された機体制動用ワイヤーである。艦載機の着艦時、アレスティング・フックで数本のワイヤーのうちの1本を引っかけて機体制動を助け、短距離で停止させる効力を持つ。短距離着陸用や着艦練習用に陸上基地でも設置されることがある。
フライ・バイ・ワイヤの用語から伺い知れるように航空業界で wire というとまずは電線を指す言葉で、機械的リンケージは cable の方が正確である。 アレスティング・ケーブル (arresting cable)、アレスター・ケーブル (arrestor calbe)、アレスター・ワイヤー (arrestor wire) などとも呼ばれる。
[編集] 開発の経緯
第二次世界大戦中にイギリス海軍で開発され、当初は着艦機の進行方向に対して平行に、空母の飛行甲板上で艦尾から艦首に無数に配置されたワイヤーのうちのどれかにフックを引っかけ、フックとの摩擦で制動距離を縮める方式だった。
しかしこの方式は主脚がワイヤーを踏んだ際に転倒する危険があったことから、後の主流となる艦尾甲板上に進行方向に対して直角に、左右に渡した数本のワイヤーを並べる形式になった。