アラスカ購入
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アラスカ購入(アラスカこうにゅう)とは、1867年のアメリカ合衆国によるロシア帝国領アラスカの購入のことである。
18世紀末からロシア人は、狩猟や交易のため、北米大陸太平洋岸一帯に進出し、一部はカリフォルニアまで達していた。その後、1853年から1856年にかけてクリミア戦争が行われた結果、ロシアは大きな打撃を被った。戦争により、経済的に疲弊したロシアはアラスカを売却することとしたが、クリミア戦争でも敵対したイギリスに売却する事は避け、アメリカ合衆国に売却することとした。
ロシアは1859年にアメリカに売却意向を打診していたが、南北戦争の影響もあり、進展はなかった。1867年3月より、アレクサンドル2世は、Eduard de Stoeckl男爵に命じて、国務長官ウィリアム・H・スワードと交渉を行った。結果、3月30日午前4時にアメリカがアラスカを720万ドル(当時)で購入する条約が調印された。
その後、4月9日に上院で批准されたものの、スワードは「巨大な保冷庫を購入した」とアメリカ国民に非難された。しかし、1896年にはアラスカで金鉱が発見されるなど、資源の宝庫であることが分かり、スワードの評価は高いものに変わった。
アラスカ購入に関して、現在、アラスカ州では二つの記念日が設けられている。一つは、1867年10月18日にアラスカの所有権がロシアからアメリカに正式に変更されたことを祝うアラスカ・デー(10月18日)。もう一つが、スワードを記念するスワード・デー(3月の最終月曜日)である。
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