アフラ・マズダー
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アフラ・マズダー (Ahura Mazdā)は、ゾロアスター教の最高神である。
宗教画などでは、有翼光輪を背景にした王者の姿で表される。 その名は「智恵ある神」を意味し、善と悪とを峻別する正義と法の神であり、全知全能の最高神とされる。
ゾロアスター教の神学では、この世界の歴史は、善神アムシャ・スプンタと悪神アンラ・マンユらとの戦いの歴史そのものであるとされる。 そして、世界の終末の日に最後の審判を下し、善なるものと悪しきものを再び分離するのが アフラ・マズダーの役目である。 その意味では、彼は善悪の対立を超越して両者を裁く絶対の存在とも言える。
中世以降の教義では、パフラヴィー語形のオフルマズド (Ohrmazd)と呼ばれ、 アムシャ・スプンタの筆頭 スプンタ・マンユと同一視される。 この場合、古典的な教義に於けるアフラ・マズダーの役割(善神と悪神の対立の上にある絶対者)は ズルワーンが担う。
起源的には、インド・イラン共通時代の神話に登場する裁きの神が前身で、 インド神話のヴァルナと起源を同じくする。しかし、ザラスシュトラの宗教改革によって教理的意味づけがなされ、宇宙の理法の体現者にまで高められた。アフラは語源的にはアスラ(阿修羅)と共通とされる。
余談だが、かつての東芝の電球のブランドだったマツダランプ、自動車メーカーのマツダのロゴ「MAZDA」はここから取ったと言われている。