アクルックス
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データ 元期 J2000 |
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星座 | みなみじゅうじ座 |
赤経 | 12h 26m 35.9s |
赤緯 | -63° 05' 57" |
視等級 (V) | 1.40/2.09
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特徴 | |
スペクトル分類 | B0.5IV/B1V |
色指数 (B-V) | -0.08 |
色指数 (U-B) | -1.03 |
変光星型 | ? |
アストロメトリー | |
視線速度 (Rv) | -11.2 km/s |
固有運動 (μ) | 赤経: -35.37ミリ秒/年 赤緯: -14.73ミリ秒/年 |
年周視差 (π) | 10.17 ± 0.67ミリ秒 |
距離 | 321 光年 (98 パーセク) |
絶対等級 (MV) | -4.19/-3.79 |
他の名称 | |
α1 Crucis/α2 Crusis, HR 4730/4731, CD -62°2745, HD 108248/108249, SAO 251904, FK5 462, HIP 60718.
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アクルックス(Acrux/α Cru / α Crucis / みなみじゅうじ座α星)は、みなみじゅうじ座で最も明るい視等級0.77等の恒星であり、全天で13番目に明るい恒星である。
アクルックスはみなみじゅうじ座を含む5つの星の1つとしてオーストラリアの国旗に描かれている。
アクルックスの赤緯は約−60°であるため、北回帰線付近かそれより南でしか見ることができず、従って古代からの伝統的な固有名を持っていない。「アクルックス」という名前は単にアルファのアとみなみじゅうし座を表すクルックス(Crux)を組み合わせたものである。アクルックスはケンタウルス座アルファ星よりもほんの少し南にあり、最も南にある一等星である。
アクルックスは太陽系から320光年の距離に位置する三重星である。肉眼では、4秒離れたα1とα2の2つしか見分けることはできない。α1は1.40等、α2は2.09等であり、0.77等というのは合成等級である。どちらも温度が高いB型星(O型星に近い)であり、表面温度はそれぞれ28,000Kと26,000Kである。実光度はそれぞれ太陽の2,500倍と1,600倍である。α1とα2は非常に長い周期で軌道を周っているためその動きはわずかに観測できるたけである。α1とα2の最小距離が430天文単位であることから、周期は少なくとも1500年であり、恐らくはずっと長いと考えられている。
α1はそれ自身が分光連星である。伴星は太陽の質量の14倍から10倍で、約1天文単位離れたところをわずか76日で周っていると考えられている。α2と、α1の主星の質量から、これらの恒星はいつか超新星として爆発することが示唆される。α1の伴星は密度の高い白色矮星として生き残るかもしれない。
アクルックスから90秒離れたところには別のB型準巨星があり、アクルックスと同じ空間運動をしていることから、アクルックスから重力的な束縛を受けている可能性が示唆される。しかし、本当にこれがアクルックスの近くにあった場合、B型星としては明るさが足りない。これはおそらく見かけの二重星であり、太陽系からの距離はアクルックスの2倍以上あると思われる。