へしこ
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へしことは、鯖に塩を振って糠漬けにしたものである。若狭地方の伝統料理で、越冬の保存食として重宝されている。名前の由来は様々であるが、漁師が魚を樽に漬け込むことを「へし込む」と言ったことから、「へし込まれた物」が略されて「へしこ」となったという説、または魚を塩漬けにすると滲み出てくる水分のことを「干潮(ひしお)」と呼んだことから、これが訛ったものであるとする説が有力である。 現在では若狭の特産品・土産物として、漬け込む魚の種類も「鰯へしこ」「河豚へしこ」などが加わり、京都を中心とする関西圏で親しまれている。 ぬかを軽く落とし火であぶったものはお茶漬けや酒の肴に良い。新鮮なものであれば刺身で食べることもできる。
この言葉の語源としては、常識とは異なる意見もある。「へしこ」は、縄文・弥生時代の言葉かもしれない、という考え方である。そして、そのような大昔の言葉を解読する方法もある。縄文・弥生の古語はアイヌ語のなかに多く保存されている可能性がある。アイヌ語にあてはめると、へしこ=pe-si-kor、pe とは何かからにじみ出てくる液、si はこの場合「それを」、kor は「護持する」「生成する」を意味する。「にじみ出る液がそれを護持する」ならば「へしこ」は魚の腐敗を防ぎ長期保存する古代人の知恵であり、「にじみ出る液がそれを生成する」の意味ならば、独特のうまみを生み出す技法ととることもできる。
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