ULTRA N PROJECT
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ULTRA N PROJECT(ウルトラ エヌ プロジェクト)とは円谷プロダクションによる、雑誌連載・映画・テレビドラマからなる連動企画。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 概要
円谷プロダクションが、新たなウルトラマン像(円谷プロではこれをネオスタンダードヒーローと呼称)の開拓を目指して製作した企画。
2004年に第一弾『ウルトラマンノア』が雑誌連載とイベントショーなどで展開、同年10月にはテレビシリーズ『ウルトラマンネクサス』、さらに12月には映画『ULTRAMAN』が発表された。それぞれ独立した作品として発表されたが、『ネクサス』終盤において各作品のつながりが明確になった。
しかし『ネクサス』の視聴率・玩具売上不振による打ち切りや『ULTRAMAN』の興行不振による続編の製作中止、同社の社長交代などにより、本企画は事実上頓挫した。
[編集] 作品一覧
各作品にはそれぞれNから始まるテーマが設けられている。
- 『ウルトラマンノア』(雑誌連載) - NOA NOSTALGIA (魂の原点回帰)
- 『ULTRAMAN』(映画) - NEXT EVOLUTION (次なる進化)
- 『ウルトラマンネクサス』(テレビシリーズ) - NEXUS TRINITY (三つの連鎖)
- 当初は『ULTRAMAN』の続編として『ULTRAMAN2 requiem』の製作も予定されていたが、製作中止となっている。
[編集] 登場キャラクター
[編集] ウルトラマン
本企画には各作品に1体ずつウルトラマンが登場する。
- ウルトラマンノア(『ウルトラマンノア』『ウルトラマンネクサス』に登場)
- 太古より全宇宙の平和を守り続ける伝説の存在。詳しくはウルトラマンノアを参照。
- ウルトラマン・ザ・ネクスト(『ULTRAMAN』に登場)
- 青い発光体(ビースト・ザ・ワン)を追って地球にやってきた赤い発光体が、航空自衛隊のパイロット真木舜一と融合することによって出現した銀色の巨人。詳しくはULTRAMANを参照。
- ウルトラマンネクサス(『ウルトラマンネクサス』に登場)
- 真木舜一から離れた光が、数年の時を経て新たなデュナミストと融合することによって出現した銀色の巨人。その姿を目撃したナイトレイダー隊員・孤門一輝の言葉により、「ウルトラマン」のコードネームで呼称されることになる。なお「ネクサス」の呼称は、孤門が受け継がれてきた光の意味を総括する上で一度だけ使用したもので、実際にウルトラマンがその名で呼ばれることはなかった。スペースビーストの脅威から人々を守るために人知れず戦い続ける。詳しくはウルトラマンネクサスを参照。
これらのウルトラマンには銀色のボディに胸部の赤いエナジーコアといったデザイン上の共通点が見受けられる。またウルトラマン・ザ・ネクストとウルトラマンネクサスは共にアンファンス (ANPHANS) とジュネッス (JUNIS) と呼ばれる2つの形態をもつ(但し、2つの形態の意味合いはザ・ネクストとネクサスとで微妙に異なる)。『ウルトラマンネクサス』終盤においてこの3体はすべて同一存在であることが明かされている。
[編集] デュナミスト(適能者)
『ウルトラマンネクサス』ではウルトラマンに変身する者をデュナミスト(適能者)と呼称する。『ULTRAMAN』でウルトラマン・ザ・ネクストに変身する真木舜一も劇中では呼称されないがデュナミストの一人とされる。デュナミストとなる資格は、姫矢のように夢の中で見たとある遺跡の奥にたどり着くこと(真木舜一は偶然)であり、デュナミストが「生きる意味」を見出した時、光はデュナミストから分離し、前のデュナミストが次に光を受け継ぐのにふさわしいと選んだ者が次のデュナミストとなる。
- 真木舜一:元航空自衛隊のイーグルドライバー。ある日未知の赤い光に遭遇し、ウルトラマン・ザ・ネクストに変身してしまう。
- 姫矢准:元報道カメラマン。悲しい過去を背負い、自分が光を受け継いだ意味を追い求めて孤独な戦いを続ける。「エボルトラスター」で、ウルトラマンネクサスに変身する。
- 千樹憐:姫矢の次にネクサスの光を受け継いだデュナミスト。遊園地でアルバイトをしている。アメリカ・ダラス出身のハイブリッド新生児だが、その出生故に悲しい宿命を背負う。
- 西条凪:ナイトレイダー副隊長。最終回でのみ変身したデュナミスト。また、唯一ジュネッス形態になっていない。光を受け継ぐことをダークザギに予知されたため、その運命を狂わされる。詳しくはウルトラマンネクサスの項を参照。
- 孤門一輝:凪と共に最終回でのみ変身したデュナミスト。ナイトレイダー隊員として代々のデュナミスト達の戦いを間近で見届け、最後に受け継がれてきた光の意味を総括する役割を担う、‘真の’デュナミスト。ネクサスの各形態を経て光の巨人の究極形態であるウルトラマンノアに変身し、闇の巨人との戦いに終止符を打った。詳しくはウルトラマンネクサスの項を参照。
[編集] 闇の巨人 ウルティノイド
シリーズを通した敵キャラクターとして、ウルトラマンに似た形状をもつキャラクターが登場する。それぞれウルトラマン同様変身する者(暗黒適能者)が存在するが、こちらはデュナミストとは呼称されない。
[編集] 邪悪なる暗黒破壊神 ダークザギ
「ダークサイドノア」とも呼ばれ、漆黒のボディの各部に赤いラインが走っていて、胸にはウルトラマンノアと同様のY字形のエナジーコアが存在する。必殺技はウルトラマンノアの「ライトニングノア」と正反対のポーズで放つ光線「ライトニングザギ」。ノアの究極技「ノア・ザ・ファイナル」によってノアと共に次元の彼方へと姿を消した。後にテレビシリーズ『ウルトラマンネクサス』で登場したダークファウスト、ダークメフィストへと連なる黒い巨人ダーク~シリーズの一人目であり、不死身と言う設定を持つ。
その正体は20年前に地球にやって来たM80さそり座球状星団の異星人“来訪者”がスペースビーストに対抗するために造り上げた巨人「ウルティノイド・ザギ」である。かつて母星をスペースビーストから救ってくれた光の巨人(ウルトラマンノア)を模して造られており、ウルトラマンノアに似ているのはそのためである。他の生物を取り込む事で進化するスペースビーストに対応するため自身も自己進化プログラムを組み込まれていたが、その結果自我に目覚め、自らが「光の巨人の模造品である」と自覚するようになり、自らが進化するためにスペースビーストを増やし進化させる様になってしまった。その脅威に対抗しきれなくなった来訪者は、最後の手段として、ザギを自らの母星ごと爆破した。その結果起った超新星爆発が、地球でのビースト発生の発端となる。ネクサスを凌駕する強さを誇っていたものの、その真の姿であるノアの前では全くの無力であり、『ネクサス』最終話ではノアの手によって宇宙の藻屑と化した。
- 身長:50メートル
- 体重:5万5千トン
[編集] 必殺技
- ライトニングザギ
- ノアのライトニングノアとは左右逆のポーズで放つ、必殺光線。雑誌展開ではライトニングノアと同等の威力であったが、『ネクサス』最終話ではライトニングノアとぶつかり合って押し戻され、そのまま倒された。
- グラビティザギ
- 両拳から超重力光線を放つ、言わばザギ版グラビディノア。『ネクサス』最終話でジュネッスブルーを追い詰め、サークルシールドを突破する寸前だったが、人々の声援を受けコアファイナルを発動させたネクサスに打ち払われた。
- ザギシュート
- 右腕から強力な光弾を発射する、言わばザギ版ノアシュート。『ネクサス』最終話で使用、クロムチェスターδを撃墜した他、最終決戦開始直後連続発射してネクサス(アンファンス)を吹き飛ばした。出現直後、新宿の街を破壊した光線もこの技の変形版と思われる。
- ザギスパーク
- 腕から牽制用の光の刃を放つ、言わばザギ版ノアスパーク。
- ザギリフレクション
- 円形のバリアを張る、言わばザギ版ノアリフレクション。クロムチェスターδのミサイル攻撃を防いだ(反射はしなかった)。
- ダークフィールドG展開
- ネクサスのメタフィールドを無効化する強力な暗黒時空間「ダークフィールドG」を展開する。ダークフィールドGの中ではスペースビーストの能力は増幅され、逆にネクサスは力を充分に発揮できない。また離れた場所に任意に展開することも可能で、倒されたビーストの回復や強化再生さえも可能にしてしまう。『ウルトラマンネクサス』本編では姿を見せないアンノウンハンドとしてネクサスとスペースビーストの戦闘に介入してフィールドを展開している(ネクサスとの最終決戦ではなぜかフィールド展開していない。逆にネクサスもメタフィールドを展開しなかった。)が、ダークザギ自身がフィールドを展開する描写は見られない(但し、PlayStation2ソフト「ウルトラマンネクサス」のEpisode「冥王 -ザギ-」ではダークザギが両手を上げてフィールドを展開する描写が見られる)。
[編集] ウルトラマンネクサスでの登場
第34話のラストと最終話で登場し、これによって『ネクサス』と『ウルトラマンノア』の世界観も共通であることが明示された。18年前にアメリカ・コロラド州の山中にて来訪者研究スタッフである科学者・山岡一の恐怖と絶望につけ込み憑依し、同じく来訪者研究スタッフであった西条波を殺害。当時8歳だった波の娘・凪の心にビーストへの深い憎しみを植えつける。それは将来訪れるであろう、凪がウルトラの光を受け取る日の為にザギが打った布石だった。その後"石堀光彦"としてナイトレイダーに入隊、TLT内部に潜伏するアンノウンハンドとして、ネクサスとスペースビーストとの戦いを影から操る黒幕であった。
[編集] 闇の巨人 ダークファウスト
突然、姫矢の前に現れて「自分はウルトラマンの影、無限に広がる闇の権化」と名乗った闇のウルトラマン。言葉通り、ネクサスと相反する能力を持ち、数々の超能力を用いてネクサスを苦しめる。その正体は孤門の恋人の斎田リコであり、彼女が孤門と知り合った直後に溝呂木によって殺害され、操り人形とされている。ネクサスを翻弄する戦闘力がある反面、とても打たれ弱く、わずかな負傷であっさり退却するなど弱々しい部分を持っていた。
デザインモチーフはピエロ。アンバランスなカラーリングをしており、足のつま先も反るように尖っている。女性が変身すると言うこともあって中性的でスタイリッシュなムードを持つ。
- 身長:48メートル(等身大にもなれる。場所によって大きさは変わる)
- 体重:3万2千トン
[編集] 必殺技
- ダークフィールド展開
- 両腕を胸の前で交差させ、上方向に広げるポーズを取って、ネクサスのメタフィールドを無効化する暗黒時空間「ダークフィールド」を展開する。ダークフィールドの中では、闇の巨人とビーストの能力は増幅し、逆にネクサスは力を充分に発揮できない。さらに、周囲に電波障害を発生させる。
- ダークレイ・ジャビローム
- 正面に真っ直ぐに伸ばした腕から放つ闇の光線。オーバーレイ・シュトロームと互角の威力を持つ。11話でネクサスにダメージを与えた。
- ダーククラスター
- 巨大な闇の球を造り射出する。闇の球は敵の頭上で小さな小弾に分裂し、雨のように降り注ぐ。7話と11話でネクサスにダメージを与えた。
- ダークフェザー
- 腕を振り、闇の力を敵に向かって放つ。威力は低めで、主に牽制に用いられる。7話、9話、11話、12話で姫矢やネクサスに使用するも、12話でダメージを与えた他は、かわされたり、サークルシールドで防がれたり、アームドネクサスで弾かれたりと、あまり効果を上げていなかった。11話では孤門にも放ったが、姫矢の放ったブラストショットが発生させたバリアに防がれた。
- ダークフラッシャー
- 右腕を突き出し、衝撃波を放つ。9話で姫矢を威嚇するために連続発射した。
- ダークシールド
- 左手から円形状のバリアを発生させる。10話で使用、クロスレイ・シュトロームを防いだ。
- エネルギー吸収能力
- 12話で使用、ネクサスを押さえ込み、光の力を奪おうとしたが、孤門の呼びかけによってリコの記憶が戻り、中断した。
[編集] 闇の巨人 ダークメフィスト
ファウストに続いてネクサスの前に現れた闇のウルトラマン。その正体は元ナイトレイダー副隊長の溝呂木眞也。ダークエボルバーを用いて闇の巨人へと変身するが、その際、顔に亀裂が入り、中からメフィストが飛び出すという、これまでのウルトラマンとは大きく異なる変身プロセスを取る。デザインモチーフは死神。体に肋骨や背骨のように見える模様やプロテクター状の物がある。
力こそ全てという考えの元、姫矢のつまりネクサスの光を奪ってより強力な存在になろうと企み、ファウストやスペースビーストを操る。ファウスト以上に強力な力を持ち、幾度も姫矢と死闘を繰り広げた。右腕のアームドメフィストにはかぎ爪状のメフィストクローを装備し、ジュネッス以上に接近戦を得意とする。
32話で再登場した時は、人の心を取り戻した溝呂木が闇と相反する光の力で変身したため、メフィストクローを装備していなかった。
- 身長:50メートル
- 体重:5万トン
[編集] 必殺技
- ダークシフトウェーブ
- メフィストクローを地面に突き立てて闇の波動を放つことにより、ネクサスのメタフィールドを無効化する暗黒時空間「ダークフィールド」を展開する。ダークフィールドの中では、闇の巨人とビーストの能力は増幅し、逆にネクサスは力を充分に発揮できない。さらに、周囲に電波障害を発生させる。溝呂木の姿のままでもダークフィールドの展開は可能。
- ダークレイ・シュトローム
- アームドメフィストを組みあわせて発射する強力な破壊光線。オーバーレイ・シュトロームと互角の威力を持つ。24話で使用、空中でオーバーレイ・シュトロームと激突し、巨大な対消滅爆発を起こした。
- ダークレイクラスター
- 巨大な闇の球を造り射出する。闇の玉は小さな小弾に分裂し、敵目がけて降り注ぐ。24話で使用、1発目はサークルシールドで防がれ、2発目は発射前にハイパーストライクチェスターのミサイル攻撃で妨害された。オーバーレイ・シュトロームとダークレイ・シュトロームの激突による対消滅爆発の中で、メフィストが次に放とうとした技もこれだと思われるが、放つ前に突進してきたネクサスのパンチに阻まれた。
- ダークレイフェザー
- 三日月型の光線を放つ。連射が効き、主に牽制などに用いる。24話で使用、地上のナイトレイダーを牽制した他、ハイパーストライクチェスターにダメージを与えたり、ウルティメットバニッシャーを相殺した。
- メフィストショット
- メフィストクローから緑色の光弾を放つ。14話でネクサスに使用するも、かわされた。
- ハイパーメフィストショット
- メフィストクローから放つ、より強力なメフィストショット。24話で使用、7連射したが、スピルレイ・ジェネレードで撃ち返された。
- ダークグレネード
- 右手にエネルギーを溜めて作り出す、爆発性の強い光弾。メフィストクローを装備していない状態でも使用可能。15話でボードレイ・フェザーをかわした後に使用、空中のネクサスを撃墜した。一部の文献では「ネクサスとの最終決戦で使用された」と記載されているが、実際は使用していない。
- ダークディフェンサー
- 円形状のバリアを作り出す。メフィスト自身は未使用だが、溝呂木は18話でバリアを張ってナイトレイダーのディバイトランチャーを防いだ他、ガルベロスの前方にも大型のバリアを張ってナイトレイダーの攻撃を防いでいる(前者は姫矢の放ったブラストショットに破壊され、後者は溝呂木の撤退と共に消滅した)。
- テレパシー
- テレパシーで相手の脳裏に映像を送る。14話で薫少年に使用、彼の妹・理子を体内に取り込んだノスフェルを倒そうとする孤門の姿を見せる事で、薫少年が孤門を憎むように仕向け、孤門の心を追い詰めようとした。
[編集] 闇の巨人 ダークメフィスト・ツヴァイ
3人目の闇のウルトラマン。ダークメフィストと同じ能力を持っており、違いは感情の高まりと共に目が赤く発光することと、戦闘能力がこちらの方が若干上だということである。MP(メモリーポリス)の三沢広之が闇の力を得て、ダークエボルバーで変身した。
- 身長:50メートル
- 体重:5万トン
[編集] 必殺技
- ダークファランクス
- メフィストクローを超高速で突き出し、相手の体を連打する。バーストクラスターをかわしたジュネッスブルーに高速飛行で接近して使用、ダメージを与えた。
- ダークレイ・シュトローム
- ダークメフィストの使用する物と同じ破壊光線。劇中では未使用。
- メフィストショット
- ダークメフィストの使用する物と同じ破壊光線。劇中では未使用。
- ダークレイフェザー
- ダークメフィストの使用する物と同じ破壊光線。ジュネッスブルーに3発連続で使用したが、全てかわされた。
- バーストクラスター
- ダークメフィストの使用するダークレイクラスターの強化版。ダークレイクラスターと異なり、ある程度の誘導性を持っている。空中でダークレイフェザーをかわすジュネッスブルーに使用したが、やはり全てかわされた。
- ダークフレイム
- 右腕から放射する、火炎状の光弾。地上にいる孤門達に3発連続で放った。
- エネルギー吸収能力
- ネクサスを右手で崖に押さえ込み、左手でエナジーコアを掴んで、光の力を奪おうとしたが、光の力で変身した溝呂木のメフィストに妨害された。
[編集] 怪獣
『ウルトラマンネクサス』には「スペースビースト」と呼ばれる怪獣が登場する。また『ULTRAMAN』に登場する怪獣「ビースト・ザ・ワン」も劇中では語られていないがスペースビーストの一種であり、『ウルトラマンネクサス』に登場するスペースビーストは、ビースト・ザ・ワンが倒された際に飛び散った細胞から生まれたとされる。
※詳細はスペースビーストの項目を参照。