U-125 (航空機)
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U-125は、航空自衛隊が運用している双発ジェット機の名称。U-125が飛行点検機、U-125Aが探索救難機として運用されている。機体はBAe125-800(原型はデハビランドが自主開発していたDH125だが、その後ホーカーシドレー、BAeを経て2005年現在はレイセオンの子会社であるレイセオン・エアクラフト社がHawker800として製造している)をベースに開発されている。
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[編集] U-125
航空自衛隊が運用している飛行点検機(航法施設検査機)である。航空航法設備などの動作点検を行うことを目的としている。全機とも入間基地の飛行点検隊に配備されており、白と赤を基調とした塗装がなされている。
[編集] U-125A
航空自衛隊が運用している捜索救難機である。それまでのMU-2に代わって、1994年から全国の航空救難隊への配備が進んでいる。愛称は「アスコット」。
救難用火工品及び保命用援助物資の投下装置、機体側面に大型観測窓、胴体下面に捜索用レーダーアンテナ、機首下部に赤外線暗視装置(TIE)を搭載している。また、自動操縦装置、フライトマネージメントシステム(FMS)、慣性航法装置 (IRS) 及びGPSによる精密な航法能力を持つ。特にFMSには航空自衛隊仕様として、捜索パターン作成及びレーダー、TIEで捉えた目標の精密な位置取り込み機能が追加されており、精密な捜索が実施可能となった。有事に航空救難を行う事を想定しており、視認性が低い青色塗装が施されているのが特徴である。航空救難活動に当たっては、KV-107ヘリコプター、もしくはUH-60Jヘリコプターとユニットを形成して行動する。
MU-2と比較すると、行動半径が大幅に改善され、優速を利用しての迅速な現場への進出が可能となった。また、レーダーやTIEによる夜間捜索能力も飛躍的に向上した。これらにより洋上部での捜索能力は向上したが、一方で山岳部での捜索は低速性能の限界から旋回半径が大きくなり、不利とされる。もっとも、余剰推力が大きく翼面加重も大きいため、乱気流にはある程度強いとされる。
[編集] スペック
- 全幅:15.66 m
- 全高: 5.37 m
- 全長:15.59 m
- 重量: 7.35 t
- 最高速度:980 km/h
- 航続距離:5,560 km
- 実用上昇限度:43,000 ft
- 最大離陸重量:12,750 kg
- 製造:レイセオン
- 乗員:7名
[編集] 配備部隊
[編集] U-125
- 飛行点検隊(入間基地)
[編集] U-125A
- 千歳救難隊(千歳基地)
- 松島救難隊(松島基地)
- 秋田救難隊(秋田分屯基地)
- 百里救難隊(百里基地)
- 小松救難隊(小松基地)
- 小牧救難教育隊(小牧基地)
- 芦屋救難隊(芦屋基地)
- 新田原救難隊(新田原基地)
- 那覇救難隊(那覇基地)
[編集] その他
人事異動の決まった乗員が異動先となる基地に展開した際に、当機を利用して「引越し荷物を異動先まで運んだ」とされ問題化したことがあった。もっとも、「実際に任務に必要な物品」と任務と関係のない純然たる「私的な物品」との区別は簡単には付きづらく(それらが共に荷造りされている場合があるのと、任務に必要な物品にも私物が含まれることがあるため)、これは派閥抗争などによる謀略だったのではないか、とする見方が有力である。
[編集] 登場作品
- よみがえる空 -RESCUE WINGS- :TVアニメ。本作を始めとする『レスキューウイングス』シリーズでは、小松基地救難隊のUH-60Jや、U-125A等の装備が登場。