Option (雑誌)
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Option(おぷしょん)とは三栄書房が出版している自動車雑誌の1つである。毎月26日発売。
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[編集] 概要
1981年に創刊され、主に四輪自動車の改造・チューニングを中心に取り扱っている。 元々は、「オートスポーツ Option」という誌名で、オートスポーツ誌の別冊(=Option)として刊行された。
当初は、道交法違反など違法・脱法行為を推奨するかのような記事や、取締りをする警察を馬鹿にした記述がよくある事でも知られていた(K察、オマーリさんなど、独特な用語で表現していた)。
90年代中頃以降は、改造車であっても合法的に車検を通せるようになった時流にあわせ、表面的には、露骨に脱法行為を推奨するような記述は徐々に減っている。
誌面の構成としては、長期連載の企画記事もあるが、どちらかといえばチューニングショップ・メーカーが手がけた車両(所謂デモカー)のカタログ誌的な構成である。
競合誌であるCARBOY誌が、D.I.Y.の要素を極力残そうとしている事とは対照的であり、D.I.Y.紹介の役目は姉妹紙のOption2誌の方にほぼ任せてはいるが、極稀にD.I.Y.特集記事が掲載されることもある。
これはチューナーよりの雑誌として、チューナーの本音「D.I.Y.で壊すぐらいなら最初から任せてくれればいいのに…」を実践しているからだと思われる。別にチューナーはD.I.Y.する事を悪いとは思っていないが、それを手直ししようとすると配線処理が雑だったり、得体の知れないパーツが装着されていたりと触りにくい環境になってしまう為、あまり好きにはなれないとのコメントを以前記事に寄せている。
技術的な情報は、誌面に登場する車両の記録やスペックの説明が殆どであり、キチンとした整備技術などの情報提供はあまり無く、まれにスポンサー協賛と思われる記事に置いては、明らかに間違った情報などを提供することもある。
また、記事の文体が全般的に幼い(ただし編集者は基本的に学卒者であるため、これは意識して行っていると思われる)。
他に、この雑誌特有の傾向として、車両性能の評価基準が、かつては最高速度と最高出力に偏重していることが上げられる。初期の頃の紙面がほぼ最高速アタックに偏っている、また総統である稲田大二郎がサーキットよりは最高速が好きな人間であったので仕方ないとは言えるが、もともとバランスを考えてあえてN/Aエンジンを採用した車でも、大抵はターボ化される羽目になり、あえてパワーより趣味性を選択し、ふんだんにお金と手間をかけた職人的なメカチューン、などという車両の記事はほぼ全く見られない。
しかしバブルがはじけた頃より、乗りやすいチューンブーム、もしくはNOSブームの頃からN/Aエンジンにも脚光が浴びられる。そしてD1で植尾勝浩がN/A200馬力のハチロクを用い、400馬力オーバーのターボ勢をなぎ倒すという活躍があり、現在では両方の記事が均等に扱われているが、やはりストリートで乗りやすいとなると、低速トルクが厚くなるハイコンプターボorボルトオンスーパーチャージャー仕様が上に出てくるのは仕方が無いのかもしれない。 これらの事から、「有害」「低俗」あるいは「初心者向けの読み物雑誌」として、一部には忌み嫌われている。
カラーページ上の記事が非常に多く、ほぼ全てのコンテンツがカラーページからスタートするなど記事を探すには分かりやすい構成にはなっている。しかしそのせいで広告の量も多く、記事より広告の方が多いとも言われている。
[編集] 内容の変遷など
当初は、自動車の改造そのものが違法であった時期であり、完全にストリート志向であった。
90年代に入り、競技としてのゼロヨンや最高速度記録などを積極的に扱うようになり、90年代中ごろより、ドリフト寄りな内容にシフトしている。
イカ天がドリフト天国管轄に移った際、一旦沈静化していたが、D1グランプリが盛り上がってくるにつれ、またドリフト寄りになってきている。
しかしワイルドスピードのブレイク時にはスポコン物が多くなったりしているので、ドリフト専門という訳ではない。
また、雑誌の創刊経緯や、経営母体の三栄書房が殆ど自動車専門の出版社というカテゴリ上、レース関係もそれなりに取り扱っている。
Option誌が企画したD1グランプリの扱いが多いのは当然であるが、その他、国内レースはツーリングカーやGTカーのカテゴリや、海外でも有名レースの簡単なレポート程度は扱うことがある。
雑誌という形以外にVHSなどを用いたビデオでもVideo Optionという名で主に何かしらの特集といった内容でリリースされている。
過去の物も含む特集の内容はリンク先を参照。
その他、本誌以外にも兄弟誌とも言える三栄書房が出版する同様の自動車雑誌が数誌存在する(別項参照)が、基本的なスタイルは本誌を追従しており、やはり改造関係が大きなシフトを占める。
[編集] 過去にプロジェクト製作されたチューニングカー
- Dai Z
- 稲田大二郎所有のS130型フェアレディ280ZXをベースにHKS製ターボキットを装着。最高速・ゼロヨン・サーキットそれぞれのステージで活躍。
- OPT KKKシグマ セリカXXターボ
- 当時編集に関わっていた福野礼のプライベートカーであったMA60型セリカXXをベースにシグマ・オートモーティブ製ターボキットを装着。1982年12月に最高速度256.68km/hを記録
- OPTION・シティ・ターボ・ミッドシップ
- 著名なレーシングコンストラクターであるノバ・エンジニアリングの協力の下、元々FFだったホンダ・シティターボをベースにミッドシップ化。後にツインエンジン化される。
- Option Speed Wagon
- BCNR33スカイラインGT-Rをベースに、後部をアコードワゴンのボディを接合し、ワゴン化してしまったもの。
- ストリームZ(1号機)
- アメリカ・シルバーステイツクラシックチャレンジにて、ギネス記録を打ち立てるために製作された車。ベースマシンはZ33フェアレディZ。ドライバーはOptionグループ総帥、稲田大二郎。チューニングはJUNオートメカニックが担当。VQ35DE改3.8L+T88-34Dで約800馬力。イベント中、340km/hでリアタイヤがバーストし、240km/hまでは減速したもののそこから横転。10回転してしまい、完膚無きまでの廃車となっている。ただしドライバーは無傷であり、JUNオートの技術力を証明した。エアロパーツはイングス製。余談だがこの廃車となった姿で東京オートサロンへ展示され、来場者の度肝を抜いた。
- ストリームZ(2号機)
- 1号機の廃車によりボディを変更し、トップシークレット製ワイドボディキットでワイドトレッド化を図った。エンジンは前回に引き続きVQ35DE改3.8Lだが、タービンをT88-38GKへ変更。900馬力を遥かに超えるパワーを手に入れた。イベントの方ではDaiの走らせ方とエンジン特性がマッチせず、予定のパワーを出すことが出来なかった。また、終盤去年同様のタイヤパンクに見舞われ、アンリミデッドクラス3位にて終わることとなった。グランツーリスモ4に収録されているが、本来は1号機を収録する予定であった(東京オートサロンの人気上位車を収録することになり、その中に1号機が入っていた)。しかし1号機は廃車になってしまったため、データ取りすることが不可能になった。そのためにこちらが収録されている。
- ストリームZ(2号機改)
- 度重なるパンクを克服するため、リアサスペンションをJUNオートでチューニングがされたD1インプレッサ(熊久保号)で使われるストラット式へ変更し、リアのキャンバーを抑制。今度こその気持ちも強かったが、本イベント直前の1マイルアタックにて計測区間を間違え、ブッシュへとダイブ。そのダメージでアームを折ってしまいリタイアとなった。ただしこの1マイルアタックではベストタイムを記録。
- 2006年5月のシルバーステイツへ修復され、出場したものの、57km地点にてクランクプーリーが破損するという予期せぬトラブルでリタイアを喫する(1マイルアタックは前回同様に1位を取得)。稲田大二郎の引退宣言と、マシンの目新しさも薄れたという理由から、9月のシルバーステイツがラストランとなる模様。
- 2006年9月、ついにラストランを迎えた。しかし1マイルアタック中にエンジンブロックが割れるという完全なエンジンブローに見舞われ、本選出場すら適わなかった。
[編集] 兄弟誌
- Option2 - D.I.Y.を基本とし、デモカー中心に取材しているOPTION本誌よりも、ユーザーカーをメインとしている。
- ドリフト天国 - ドリフト専門誌。本誌よりもさらにドリフト関係を色濃くしたような存在。どちらかと言うとOPTION2寄りで、ユーザーレベルの記事が多い。
- Option Wagon - ワゴン系の改造情報を扱う。
[編集] 類似雑誌
- CARBOY(八重洲出版が刊行する改造車雑誌、オプションとは趣を異にする)
[編集] その他
- 表紙イラスト担当は加藤浩哉。キャッチフレーズはExciting Car Magazine。
- 本誌の略称として「OPT」という言葉が存在する。