OpenDocument
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OpenDocument Format (ODF, OpenDocument Format for Office Applications) とは、XMLをベースとした各種オフィススイート共通のファイルフォーマットである。
構造化情報標準促進協会 (OASIS) 、国際標準化機構(ISO)、国際電気標準会(IEC)によって標準規格に認定されている(ISO/IEC 26300)。
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[編集] 概要
従来、各種オフィススイートで作成したデータは、それぞれの特定のベンダーのバイナリファイル形式を採用しており、相互の互換性が低かった。すると、特定のオフィススイートで作成したデータを他のソフトでは原則として使用できず、相互に頻繁にデータを遣り取りする集団同士では、オペレーティングシステムやオフィススイートを統一させる必要が高かった。これが、Microsoft Officeの独占に近い状態をもたらした。
しかしながら、このことは、独占上の弊害だけではなく、コンピュータの環境が変わるだけで過去のドキュメントが再読や編集できなくなる可能性があり、知的資産としてのドキュメントの意義を低下させるものであった。すなわち、未来永劫にわたってMicrosoft Officeが使用され続けるとは限らず、ひとたび使用ソフトが変われば、過去にMicrosoft Officeで作成したデータを、新たなソフトで扱うことには困難が伴った。他方、HTMLなどは特定のベンダーによって開発独占されるものではなく、公開の規格によって、種々のアプリケーションソフトウェアによる編集が可能であることから大変に普及した。そこで、特定のベンダーに依存しないオフィススイートのためのファイル形式が必要とされたのである。
また、Microsoft Officeが提供されていないOS(Linuxなど)の普及に伴い、Microsoft Windowsと共通で使用できるオフィススイートのファイル形式も必要とされていた。そこで、オフィスソフト共通のドキュメントファイルフォーマットを策定しようという動きとなり、ODF(OpenDocument Format)が規格されたのである。
もっとも、これに対抗してMicrosoftも2007 Microsoft OfficeでXMLベースのファイル形式(Microsoft Office Open XML Format)を標準ファイル形式として採用する予定である。そこで、今後は両規格の互換性について注目が集まっている。
[編集] 採用の動き
2005年(平成17年)10月20日に正式リリースされたOpenOffice.org 2.0がODFを標準ファイル形式としている。
2005年5月23日に、構造化情報標準促進協会 (OASIS) はODFをOASIS標準として認定した。また、2005年9月2日に米国マサチューセッツ州が2007年(平成19年)1月1日以降の同州の公文書のフォーマットをODFとする方針を発表した。更に、ISO/IEC JTC 1における検討を経て、2006年(平成18年)5月1日に、国際標準化機構(ISO)と国際電気標準会(IEC)もまた、国際標準として認定した(ISO/IEC 26300)。
ジャストシステムの一太郎2006 も追加モジュール(2006年夏リリース)によってOpenDocument Formatの入出力に対応する。
2006年7月5日に、マイクロソフトは、Microsoft Office用のアドインを無償で提供することによりODFに対応するというプレスリリースを行った。
OpenDocument Formatを採用しているオフィススイートは次の通りである。
- 一太郎 2006(追加モジュール)
- KOffice
- OpenOffice.org 2.0
- StarOffice (StarSuite) 8.0
- IBM Workplace Managed Client 2.6
- Writely
ODFを積極的に採用するオフィススイートはまだ少ないものの、ISO/IECの国際標準に認定されたことで、特定の企業のオフィススイートの形式を強制することが好ましくない公的機関などで採用の動きが強まることが予想される。
[編集] 仕様
ODFは、複数のXMLファイルをZIP形式でデータ圧縮したファイルである。テキスト、表計算(スプレッドシート)、プレゼンテーションの他、チャート、グラフィックドキュメント、データベースの各形式をサポートしている。なお、Microsoft Office Open XML FormatはWord、Excel、PowerPointのみが対象である。
データの内容及び一定度の表示については規格があるが、細部の表示については各アプリケーションに依存しており、PDFのように表示がほぼ絶対的に一致するとは限らない。また、多言語対応となっており、仕様書には、文章・段落・文字列につき、各々「言語」及び「国又は地域」を指定できるようになっている。
ODFファイルの中身となっているXMLファイルはそれぞれ次のような内容となっている。
- content.xml
- テキストコンテンツ
- meta.xml
- メタ情報。
- settings.xml
- 設定情報
- styles.xml
- テキストのスタイル情報
- meta-inf/manifest.xml
- XMLファイルの構造
[編集] 拡張子
- ワープロ .odt
- 表計算 .ods
- プレゼンテーション .odp
- データベース .odb
- 図形 .odg
- 数式 .odf
OpenOffice.org、StarOfficeなどの対応アプリケーションもVer1.xでは.sxw(ワープロ)、.sxc(表計算)、.sxi(プレゼンテーション)といった拡張子を使っていたが、Ver2.0以降はOpenDocument Formatに則り、上記の拡張子に変更している。