NHK杯全国高校放送コンテスト
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NHK杯全国高校放送コンテスト(えぬえいちけいはいぜんこくこうこうほうそう - )は、全国放送教育研究会連盟と日本放送協会が主催する高等学校の生徒を対象とした放送のコンテスト。大きく分けて、アナウンス・朗読・テレビ番組・ラジオ番組・研究発表の各部門で審査が行われる。通称はNコン。
1954年に第一回大会が行われ、2005年度で52回数を数える。地方大会で上位に入賞した個人・団体が東京のNHKホールと国立オリンピック記念青少年総合センターで開かれる全国大会で技を競い合う。
なお、1981年から1983年(第30回記念大会)まで行われた中学招待部門を踏まえ、1984年よりNHK杯全国中学放送コンテストが開かれている。
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[編集] 概要
高校生に対する放送教育の一環として、NHKと日本放送教育教会が主体となって行っている放送コンテストである。個人での出場はできず、必ず学校を通して出場しなければならないため、ほとんどの出場生徒は高校で放送部や放送委員会に属している。
尚、この大会の全国大会アナウンス・朗読各部門で上位入賞すると、春の甲子園の司会・進行役を依頼される。また、3年生の場合次の年のNHKコンテスト全国大会決勝の司会やインタビュアーを依頼されることもある。
[編集] コンテスト概要
コンテストは、アナウンス部門・朗読部門・テレビドキュメント部門・テレビドラマ部門・ラジオドキュメント部門・ラジオドラマ部門・校内放送研究発表会の全7部門で行われる。校内放送研究発表会を除く6部門は、3日間に渡って行われ、1日目に準々決勝、2日目に準決勝、そして3日目に決勝が行われる。
[編集] 都府県地区大会
毎年5月から6月にかけて行われる、上位入賞者が各都道府県の代表として推薦される。推薦枠はアナウンス・朗読部門で各6人、テレビドキュメント・ラジオドキュメント部門で各4作品、創作テレビドラマ・創作ラジオドラマ部門で各2作品と決まっている。また参加者の多い地区では、一つの部門に500~600人が集中することもある。そのため、地区大会が開催されている都道府県もある。参加校が100校を超えた地区は全国大会への推薦枠が1.5倍、150校を超えた地区は2倍となる。ここ数年でこの処置が行われているのは2倍枠が適用されている北海道と1.5倍枠が適用されている兵庫県である。しかし、地区によっては10校程度しか参加していない都道府県もあるため、全国大会に推薦される難易度の地区間の差は依然として大きいものがある。
この大会の審査員は、NHKの地方局アナウンサーや職員と放送教育に携わる教員が務める。
[編集] 全国大会
地区大会を勝ち抜いた個人・団体が決勝は東京・渋谷のNHKホール、準決勝、準々決勝はオリンピックセンターで発表を行い、優勝・準優勝・優秀・優良・入選・制作奨励の各賞を決定する。 審査の模様や優秀作品は、NHKの教育テレビやラジオ第2放送などで後日放送される。
この大会の審査員の審査は、準決勝まではNHK放送センターのアナウンサーや職員と放送教育に携わる教員が行う。決勝では、NHKのアナウンサー2名に加え、放送作家・小説家などが審査員を務める。
[編集] コンテスト部門概要
[編集] アナウンス部門
自校のニュースや解説など校内放送に使用する原稿を自作し、1分10秒~1分30秒で発表する。決勝では、これに加えて決勝課題を読むことを課される。例年の決勝課題は、ラジオドキュメント部門の紹介文を200字に要約して発表する課題である。
[編集] 朗読部門
指定された5作品の中から1作品を選び、1分30秒以上2分以内で朗読する。決勝では、他に指定された作品を朗読する課題が課される。
[編集] ドキュメント部門
その名の通り、ドキュメントを制作する。作品のジャンルに関する明確な規定が無いため、偽りの無い範囲であればどのような作品でも良い。テレビドキュメント部門は7分30秒以上8分以内、ラジオドキュメント部門は6分30秒以上7分以内で発表する。
[編集] ドラマ部門
その名の通り、ドラマを制作する。但し、脚本は生徒のオリジナルのものとし、出演者は自校の生徒に限る。ラジオドラマ部門・テレビドラマ部門とも8分以内で発表する。
[編集] 校内放送研究発表会
以前行われていた校内放送研究発表部門を、発表会に改めて継続しているもの。優勝・準優勝などの賞はないが、多くの研究が発表される(全国大会に出場した案件に対しては、その全てに研究奨励賞が出る)。県大会・地区大会では賞を置いているところもある。かつては校内放送に関する研究に限らなかったので様々なテーマの発表があったが、2002年度以降は校内放送に関する案件のみという条件が追加された。
[編集] 過去に存在した部門
[編集] 名称変更・統合した小部門
(1)ラジオ番組部門(現在のラジオドキュメント部門・創作ラジオドラマ部門)
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- 番組制作部門(第7回~第9回)
- 文芸部門(第10回~第18回)
- 報道部門(第10回~第18回)
- 音楽部門(第10回~第15回)
- 特別部門(第16回) ※万国博をテーマとしたもの
- テーマI・II部門(第19回~第25回)
- 課題部門(第26回~第43回)
- 自由部門(第26回~第43回)
- 番組第I・II部門(第44回~第46回)
(2)テレビ番組制作部門(現在のテレビドキュメント部門・創作テレビドラマ部門)
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- 番組制作部門(第16回)
- 文芸部門(第17回~第18回)
- 報道部門(第17回~第18回)
- カラーテレビ部門(第22回~第25回)
- テーマI・II部門(第19回~第25回)
- 課題部門(第26回~第43回)
- 自由部門(第26回~第43回)
- ビデオレター部門(第30回)
- 番組第I・II部門(第44回~第46回)
[編集] 参加校・参加者数
2005年度第52回大会の参加校は1563校、参加人数は14330人であった。
[編集] 最近の強豪校・強豪地区
放送の大会では顧問のノウハウや能力の蓄積によるものが大きいこともあり、特に私立の強豪校が多いことが特徴である。 最近の有名な私立高校の強豪校では、7年連続優勝という偉業を成し遂げた日本大学三島やドラマ部門で無類の強さを誇る錦城高校、野球でも有名な松商学園などがある。 地区ごとに見た場合、強豪地区はやはり競争率の高い都道府県の場合が多い。最近の強豪地区では、52回大会で3部門の優勝を成し遂げた北海道、100校以上の参加がある兵庫県、強豪校も多く存在する長野県などがある。 しかし、部門によって強い地区などもあり、個人部門(アナウンス部門・朗読部門)での九州勢やテレビドラマでの青森県などが例に挙げられる。
[編集] 平成18年度(第53回)の朗読指定作品
- (1)「夜あけ朝あけ」 住井すゑ 著(新潮文庫)
- (2)「ある日、カルカッタ」 俵万智 著(新潮文庫)
- (3)「口笛吹いて」 重松清 著※(文春文庫)
- (4)「白い牙」 ジャック・ロンドン 著 白石祐光 訳(新潮文庫)
- (5)「大鏡」
※重松氏は、52回大会(2005年)の全国大会決勝の審査員も務めている。
[編集] 高校時代に全国大会で入賞したアナウンサー
- 上原康樹 NHK盛岡放送局 1971年・1972年第18・19回大会アナウンス部門2位
- 末田正雄 NHK放送センター 1969年第16回大会アナウンス部門5位
- 三崎幸恵 テレビ神奈川 1991年第38回大会アナウンス部門優勝
- 稲塚貴一 NHK釧路放送局 1993年第40回大会アナウンス部門優良賞(4位相当)、翌1994年第41回大会アナウンス部門優勝
- 西田奈里子NHK金沢放送局テレビドラマ部門3位入賞