Mod (コンピューターゲーム)
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MOD(モッド,Modification)とは、主にパーソナルコンピュータ用ゲームソフトの簡易拡張パックのこと。改造データと称される事もある。
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[編集] MOD
[編集] 概要
MODを導入することによって、そのゲームソフトのグラフィックエンジン、物理エンジンなどの基本システムを用いて、本編とは別のシナリオやグラフィック、モデル、システムのゲームを楽しむことができる。ファーストパーソン・シューティングゲーム(FPS)やリアルタイムストラテジー(RTS)等のジャンルに存在する。もともとは、よりリアルな銃器・迷彩パターン・銃声・砲声を得ることを目的に、ファイルの差し替えから始まったが、現在ではゲーム側でも、最初からMODも適用できることを前提とした作りになってきている。
有名な例としてハーフライフ(Half-Life)のMODであるカウンターストライク(CounterStrike)や、バトルフィールド1942(BattleField1942)のMODであるデザートコンバット(DesertCombat)、グランド・セフト・オートシリーズ(Grand Theft Auto)のMODであるGTALC(VC,SA。その他車等も変更可能)等があげられる。
MODは有志(そのゲームのファン)ベースで制作され、メーカーが制作し主に商品として発売するものは「拡張パック」と呼ばれることが多い。ただしメーカーが制作することからグラフィックエンジンなどの基幹システムさえも本編とは違う場合もあるが、MODと同様に本編のシステムをベースに純粋にシナリオやグラフィックを拡充したものもある。
[編集] 適用例
主にユーザーが作るという点から、多数あるMODが玉石混淆であることは否めないが、有志により作られた秀逸なものが多数存在し、これを適用することでまるで別のゲームのようになってしまうこともある。
上記例で言えば、カウンターストライクは、もともとハーフライフのMODであったが、あまりの完成度と人気の高さのため、メーカーから正式に後援を受け、後に単品として製品化された。
バトルフィールド1942は第二次世界大戦ものであるのに、デザートコンバットは湾岸戦争・イラク戦争をモチーフにしているし、『Forgotten Hope』では第二次世界大戦内ではあるものの、より高度なリアルさを追及している。リアルさを追及するあまり、1Gバイトを超えるような大きいデータとなることもある。日本製MODでは『戦国MOD』があり、刀による超近接戦闘の他、弓矢や大筒、大八車、はしごなどが登場し、まるで別のゲームになっている。さらに『お花見MOD』では、桜を眺めながら縁日を歩いたり、名鉄電車を運転したりすることもできる。
GTAの場合、純正の車モデルをフェラーリなどにしたり、戦闘機、建物、ミッションなど多彩なものに渡り、武器までも変更可能である。ただし変更するには海外サイトなどからIMGツールなどのツール類を使用し、尚且つノートパットで独特な数値変更をしなければならない等、独特の知識を身に付けていないと無理である。下手にいじれば起動不能と言う事にもなりかねない。
このように、ユーザーによる自由な拡張を許すことで、飽きさせず長期間人気を持続させることができるという点では、メーカーにもメリットがあると言える。
そのメリットからか、メーカーは自社のゲームを動かす基幹部分(俗にエンジンと呼ばれる)をフル活用させるためにSDKと呼ばれる開発キットをリリースして、有志による開発をサポートすることがある。
SDKには実際にマップを設計するためのソフトウェアからサンプルのマップやマップをモデリングするためのドキュメントまで含まれることもあり、場合によってはすべて無料で完結させることも可能な場合もある。
[編集] MODの制作
MOD制作用のツール(マップエディタなど)は、メーカー側が別個に提供する場合(例:バトルフィールド2の『オープンベータMODエディタ』)や、インストール時に同時に添付されている場合がある(例:ゴースト・リコンの『IGOR.exe』)。マップや武器などを編集する場合には、CADのセンスが求められる。
ツールがない場合には、ユーザーが素材を加工することとなる。具体的には、グラフィックツールでテクスチャ(ポリゴンに貼り付けるパターン)を加工したり、音声ファイルを用意したり、説明文や武器名などのテキストを書き換えたり、といった作業となる。
元のゲーム用ファイルを上書きしてしまわないように、別フォルダに格納され、MOD適用時にはそちらが使われる仕組みが取られている。インストーラで簡単に適用できるMODも多い。
[編集] 問題点
マルチゲームにおいて顕著な問題が、MODのバージョンが合っている人同士でないと対戦できない、という点である。このため、人気MODのバージョンアップ・ファイルの公開日には、サーバがパンクしてしまうほどダウンロードが集中する。
ゲームによるが、メーカー製拡張パックを全部購入していないと当てられないMODもある。MOD適用前には説明テキストに注意を払う必要がある。たいてい英語で書かれているが、人気MODであれば、ファンの『まとめサイト』などで日本語FAQが作られていることも多い。
家庭用ゲーム機(プレイステーション2など)では、MODが当てにくい(または、当てられない)という問題がある。この点は、インストーラや開発環境なども含めて、PC版に分があると言える。
[編集] ハードウェアMOD
通称MODチップ(モッドチップ、MOD Chip)は、本来できないことをハードウェアレベルで実現するための苦肉の策である。主に流通していたチップは、CD-Rから起動できないようにされている家庭用ゲーム機にワンチップマイコンを付け、あたかも純正のCD-ROMがセットされたように見せかけて、CD-Rでも起動できるようにするというものである。はんだ付け作業を伴うので、普通のユーザーには手が出しにくいものであった。最初に「MOD」と言われ出したのは、こちらの方が先である。
これは、著作権法的にグレーゾーンに踏み込んだものであったが、1999年10月改正の不正競争防止法と著作権法により、法律的に販売・配布することが禁止された。ただし、製造と個人製作までは禁止されていない。詳しくはコピーガードの項を参照。