EWS-UX
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EWS-UXとは、NEC製エンジニアリングワークステーションEWS4800用UNIXのことである。
[編集] 歴史
CAD/CAM分野で使用されているグラフィックに特化したワークステーションにおいて、1980年代後半から2000年頃まではUNIXを採用したものが多かった。
NECのEWSも例に漏れず自社製UNIXを使用し、1993年頃までトップシェアを誇っていた2次元CADソフトのCAE-2D/MA[E]及び、SX-OS(ACOS4改造版)から移植した3次元CADソフトのCAE-3D/MA[E]及び、地図管理ソフトMAPVIEWをメインにシェアを伸ばしていた。
古舘伊知郎による「四方八方、4800シリーズ」などのコマーシャルもあり、郵政省や通産省などの主要官庁系システムにも採用され、「NECのオープン化の旗印」とされていた。そのため、国産UNIXといえばNECのUNIXという時期もあった程である。
ハードウェア自体も、1990年初頭に当時主流だったCISC機からRISC機に切り替わり、RISCへの移行が行われた。 当時、SONY及び住友電工、DECなどとMIPSアーキテクチャのCPUによるバイナリ互換協定を結び、さらにシェアを広げようとしていたが、途中で協定の主役の一人であるDECがAlphaチップを発表し、脱落した。
さらに、1993年頃からのUNIX戦争とそれに続く商用UNIX間の生存競争が激しくなり、NECのUNIXサーバ用OSであったUP-UXとの統合が図られた。開発リソースの集約にてUX/4800という名称に変更されリリースが続けられた。 しかし、次第に先細りになる国産UNIXのシェアと自社サーバと自社OSの開発費増大にNEC自体が音を上げ、HPのOEM化軍門に下ったため、急速に採用数が減っていき、現在はほぼ絶滅状態である。
ただし、このOSで育ったエンジニアがオープンソースプロジェクトにてRubyやStrutsなどの開発で主力を務めており、国内のソフトウェア産業に与えた影響は大きい。