高度化PHS
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高度化PHS(こうどかピーエイチエス)とは、現行のPHS規格の改良型である。高速無線アクセスシステム的性能を持つ。
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[編集] 経緯
高度化PHSは、2000年前後当初より、旧郵政省・総務省の情報通信審議会により提案され推進された、PHSの改良型の規格である。高度化PHSのための帯域も新たに割り当てられたが、実際に事業者レベルでの実装の実現を見るには、2006年2月23日のウィルコムによるW-OAMのサービス開始まで待つ必要があった。
推進・事業化のいずれも、現状は日本国内に限られている。
[編集] 略歴
- 2001年6月25日
- 総務省・技術的条件の告示(PHSの高度利用及び周波数有効利用の促進に向けて)
- 2002年7月25日発表資料
- メーカー三洋電機の実験機によるフィールドテスト
- 2005年2月
- ウィルコムによる、8PSKを採用した高度化PHSのアナウンス
- 2006年2月23日
- ウィルコムによるW-OAMサービス開始
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[編集] 技術
現状のPHS規格では、TDMA/TDDの1スロット32kbps(1通話スロットあたりのトラフィックチャネル(通話チャネル)のデータレート)となっている。
2001年6月25日の総務省情報通信審議会の答申に基づく、ユーザーレートで最大1Mbps程度の高速データ伝送速度を可能にする技術的条件の告示(PHSの高度利用及び周波数有効利用の促進に向けて)における技術的条件では、変調方式を最大32QAM、トラフィックチャネルの周波数帯域幅を最大884kHz(現行の3倍幅)、更にロールオフ率やスロット構成の変更などが示された(この条件では同時にIMT-2000との干渉問題(ガードバンド)の解決のためPHSの公衆制御キャリア(BCCH)を低い周波数の方にずらす対策を取る事も示された。移行期限は2012年5月31日)。
高度化PHS用の新たな周波数帯域(1884.65 - 1893.35 MHz、現行PHS帯域の低い側に隣接)の免許が割り当てられ、実際にメーカー三洋電機の実験機によるフィールドテストも行われた(2002年7月25日発表資料)。この実験では適応変調方式(最大16QAM~最低π/4 DQPSK)が使われ、現行PHSから変調方式のみを高度化した「タイプ1」の高度化、更に加えてトラフィックチャネル3倍幅・ロールオフ率やスロット構成の変更をする「タイプ2」の高度化の、実証実験がなされた。
しかしそれ以降、PHSが一時期、いわゆる「冬の時代」を迎え、高度化PHSのサービス実用化展開は停滞するに至った。 2005年2月、ウィルコムが最大256kbpsの「8xパケット方式」(現行PHS方式で最大8リンクを束ねる《8x/2RF》)をサービス開始したのに伴って、ようやく、変調方式として8PSKを採用し最大384kbps程度のスループットを実現する高度化PHS(前記「タイプ1」)の採用計画が、ウィルコムよりアナウンスされた。
PHSの技術基準の改正について、2005年10月21日意見の聴取を行い、2005年11月9日意見を決定され、2005年12月1日から施行された。公衆PHSサービスに64QAM・256QAMの高能率変調方式を追加され、1チャンネル当たりの通信容量が、それぞれ96kbps・128kbpsとなり、4タイムスロット2周波で多重する場合には1Mbps以上の伝送速度を実現することが可能となった。制御チャンネルについて、簡易な変調方式BPSKを追加するとともに空中線利得を現在の10dBiから15dBiに引上げ、到達範囲が拡大された。
そして、2006年2月23日に至りようやく、高度化PHS(W-OAM)としてのサービス開始を見た。なお、最大スループット(理論値)は8PSK/8x通信時において408kbpsとなり、第三世代携帯電話・W-CDMA方式の標準的な最大スループット384kbpsを理論値において上回った。
ウィルコムは将来的には、16~64QAMで最大16スロットを束ね《16x/4RF》、最大1.5Mbpsの計画があるとしている。
なお、(2002年三洋電機フィールド実験における)「タイプ2」の高度化について事業化のアナウンスをしているPHS事業者はない。
高度化PHSにおいては、ビットレートを向上させる上記QAMや8PSKの他にカバーエリアや屋内浸透度を向上させるBPSK(通常のπ/4 DQPSKの約1 / 2のレート)もあり、通信の状態に応じて変調方式を変化させる適応変調方式を採る。
一部マスメディアで京セラが主導するi-BURSTが高度化PHSとして報道されているが、i-BURST自体はTDD-TDMA方式を採用している事以外には、PHS・高度化PHSとの共通点は少なく、またその規格にも適合していない。