銭形平次
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銭形平次(ぜにがたへいじ)は、野村胡堂原作の小説『銭形平次捕物控』の主人公「平次」の通称。または、この小説を基にした映画、テレビ時代劇、舞台などのタイトル。『銭形平次捕物控』を略して「銭形平次」と呼ぶこともある。岡本綺堂『半七捕物帳』とともにもっとも有名な捕物帳であり、代表的な時代劇の一つでもある。
平次は神田明神下に住む十手を預かる岡っ引で、長屋に女房のお静と二人暮し。ひとたび事件が起こると、八五郎(通称:ガラッ八)との捜査で、卓越した推理力と寛永通宝を使った「投げ銭」を得意とする鮮やかな捕縛をみせる。
野村胡堂の死後、神田明神境内に銭形平次の碑が建立されている。また、同じ神田明神に銭形平次の顔出し看板がある。
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[編集] 小説
1931年、文藝春秋発行の『文藝春秋オール読物号』創刊号に銭形平次を主人公にした「金色の処女」が掲載され、これが『銭形平次捕物控』の第1作目となった。これ以降、第二次大戦を挟んで1957年までの26年間、長編・短編あわせて383編が発表された。
作者の野村胡堂は、文藝春秋から、「岡本綺堂の半七捕物帳のようなものを」と依頼され、構想を練った。そのとき、たまたま建設現場で見かけた銭高組の看板と社章から「銭形」の名前と投げ銭を思いついたという。また、『水滸伝』で登場人物のひとりである没羽箭張清が投石を得意にしていたというエピソードも、投げ銭のヒントとなった[1]
2005年7月現在、嶋中書店から嶋中文庫 銭形平次捕物控シリーズが刊行中である。
[編集] 映画
銭形平次は、連載が開始された1931年に関操主演で早くも映画化されている。その後も数多くの映画が作成され、たとえば、1933年から1934年に嵐寛寿郎、1939年に市川猿之助、1951年から1961年に長谷川一夫が平次役を演じている。なかでも長谷川一夫主演の大映版は人気が高く、1951年から1961年までの間に17本が公開された。なお大川橋蔵主演の東映版の詳細は「銭形平次 (大川橋蔵)」の項目を参照。
[編集] テレビ時代劇
テレビ時代劇では、1958年に若山富三郎、1962年に安井昌二、1966年から1984年に大川橋蔵(フジテレビ系列)、1987年に風間杜夫(日本テレビ系列)、1991年から1998年に北大路欣也(フジテレビ系列)、2004年以降に村上弘明(テレビ朝日系列)が平次役を演じている。なお大川橋蔵主演のシリーズの詳細は「銭形平次 (大川橋蔵)」の項目を参照。
[編集] 風間杜夫主演シリーズ
主なスタッフ
主な配役
- 銭形平次:風間杜夫
- お静:宮崎美子
- 三輪の万七:左とん平
- おりん:美保純
- 八五郎:木場勝巳
- おとめ:浅利香津代
- 清吉:森川正太
- 紋三:井上博一
- 城太郎:高橋友之
- 与力・工藤:潮哲也
- 笹野新三郎:中村橋之助
- 笹野 絹:岸田今日子
- お桂:田中好子
- 笹野弥三郎:萬屋錦之介(特別出演)
主題歌
[編集] 北大路欣也主演シリーズ
主なスタッフ
- 企画: 能村庸一、加藤貢
- プロデューサー: 河野雄一、遠藤龍之介、上坂久和
- 脚本: 野上龍雄、大野靖子、安倍徹郎、ちゃき克彰、志村正浩ほか
- 音楽: 津島利章
- 監督: 原田雄一、斎藤光正、鈴木秀雄、上杉尚祺
主な配役
- 銭形平次: 北大路欣也
- お静: 眞野あずさ
- 八五郎: 三波豊和
- 保科源次郎: 三浦浩一
- 清吉: 山西道広
- 菊村数馬:丹羽貞仁
- 藤田勇之進:伊東貴明
- 番屋主: 林家珍平
- 笹野新三郎: 神山繁
- 並木藤兵衛: 中村梅之助(特別出演)
- 三の輪の万七: 伊東四朗
主題歌
- 「銭形平次」
- 作詞:関沢新一
- 作曲:安藤実親
- 編曲:津島利章
- 唄:北大路欣也(徳間ジャパン)
[編集] 村上弘明主演シリーズ
主な配役
主題歌 『一輪の花』唄・松山千春
[編集] 史実との相違
- 銭形平次は架空の人物であり、実在しない。活躍の舞台が江戸時代のいつ頃かもはっきりしない。
- 江戸時代の岡っ引きについての描写が史実とは異なり、誤解を与えかねない部分がある。
- 平次のように家業をもたない者が岡っ引きとしての活動に専念することは考えられない。史実上、岡っ引きは無給、または町奉行所の同心から受け取るわずかな「給金」で、いわば末端の警吏、同心の私兵的立場で活動したとされている。そのため、岡っ引きを本業にして生計を立てるのは困難である(岡っ引きの中には強請や恐喝まがいの行為で金を集めていた連中もいて、何度も岡っ引きを使うのを禁止させる御触れが出ている)。
- 平次らは常に十手を預かっているかのように描かれているが、史実では岡っ引きは常に十手を持っているわけではなく奉行所からの要請に基づき事件の度に奉行所に十手を取りにいったとされている。また、十手を携帯する際も見えるように帯に挿すのではなく懐などに隠し持っていたものである
- テレビや映画で見栄えを良くするため十手に付けていた房も、同心以上に許されるもので岡っ引きの十手には付かない。ましてや紫色の房は要職の者が付けるものであり、岡っ引きが付けることはありえない。
[編集] 銭形平次に影響を受けた後世の作品
- ルパン三世シリーズに登場する銭形警部は、銭形平次の子孫とされている
- 赤塚不二夫のもーれつア太郎には子分として、でこっ八というガラッ八名に似た名が登場する
- いしいひさいち『B型平次捕物控』(ISBN 4-48-802372)は、銭形平次のパロディ4コマ漫画
- パチンコ機種CR新銭形くん
- 観音寺競輪場および香川県観音寺市のマスコットキャラクター銭形くん
- ケータイ刑事銭形シリーズ 4作品が作られた
- 銭形金太郎
その他多数
[編集] 参考
[編集] 参考文献
- 青木正美「「銭形平次捕物控」考」、『日本古書通信』第69巻第9号(通巻第902号)、2004年9月。
日本テレビ系 火曜20時台 | ||
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岡っ引どぶ(全7話) | 仕掛人・藤枝梅安(全5話) |
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八丁堀の七人(第5シリーズ) | 子連れ狼(第三部) |
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