貴種流離譚
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貴種流離譚(きしゅりゅうりたん)は折口学の用語の一。
『高貴な生まれの人間がみずからの罪によって身をやつして遠い地をさすらい、その苦悩によって罪をあがなう』という話型を持つ物語、説話、神話、小説などをさす。折口信夫の考えていた、日本人の原罪意識と、まれびと思想、さらには芸能の発生に直結するきわめて重要な鍵概念である。
その一方で、広義の定義として、『高貴の血脈に生まれ、本来ならば王子や王弟などの高い身分にあるべき者が、「忌子として捨てられた双子の弟」「王位継承を望まれない(あるいはできない)王子」などといった不幸の境遇に置かれ、しかし、その恵まれない境遇の中で旅や冒険をしたり巷間で正義を発揮する』という話型を持つ文芸作品についてもこの概念に含めるという考え方も存在するなど、決して狭小な範囲に限定された概念ではない。
[編集] 例
本項では分類を行う都合上、「罪をあがなうタイプ」を贖罪型、「不幸の境遇におかれても正義を発揮するタイプ」を不遇闊達型と称す。
[編集] 贖罪型
日本神話
古典
古代ギリシアの叙事詩
古代メソポタミアの叙事詩
- ヘラクレス…ヘラがヘラクレスに狂気を吹き込み、ヘラクレスは我が子を炎に投げ込んで殺してしまい、これを悲しんだ妻メガラも自殺した。正気に戻ったヘラクレスは、罪を償うためにデルポイに赴き、アポロンの神託を伺った。
アニメ
[編集] 不遇闊達型
古典
時代小説
- 桃太郎侍…山手樹一郎著(1946年)。山手樹一郎の作品にはこの類型の主人公が少なくない。
- 松平長七郎…(長七郎江戸日記(村上元三著)、およびその原作群)
- 吉原御免状…隆慶一郎著(1984年)。後に同タイトルで舞台化。
人形劇
ライトノベル