藤井勇

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藤井勇（ふじいいさむ、1916年 10月20日 - 1986年 2月7日）は鳥取県出身。昭和初期から中期（1930年代後半-1950年代）のプロ野球選手、プロ野球監督。大阪タイガースと大洋ホエールズの創立時に選手として在籍し、戦後は大陽ロビンスの選手としてもプレーした。日本プロ野球の公式戦において、初めて本塁打を記録した選手として知られる。左投げ左打ち、左翼手、後に一塁手。1952年から1953年までの登録名は秀郎。

[編集] 来歴・人物

鳥取第一中学校では、四番打者として甲子園に3度出場し、1934年夏には沢村栄治率いる優勝候補の京都商業を破っている。同級生には後に鬼塚商会（現在のアシックス）を興す鬼塚喜八郎がいた。1935年11月に大阪タイガースと入団契約を結び、同年12月10日の球団結成に参加した。翌1936年に現在の日本プロ野球の前身である職業野球連盟が発足し、日本のプロ野球リーグ戦が始まった。

最初の公式リーグ戦である1936年春の第一回日本職業野球リーグ戦大阪大会（甲子園球場）では二番打者として活躍し、5月4日の東京セネタース戦では、野口明（後に中日ドラゴンズ監督）から左中間を破るランニングホームランを打った。これはプロ野球第一号ホームランである。この大会で藤井は全5試合に出場して、19打数10安打で打率.526を記録し、首位打者、最多安打、本塁打王となる活躍をみせた。大阪大会以降も同年春および夏のシーズンは全試合に出場し、春は打率.351、夏は打率.385という好成績を収めた。

同年秋のシーズンには、初めて優勝チームを決めることとなり、不動の二番打者であった藤井はタイガースの優勝決定戦進出に大きく貢献した。優勝決定戦では巨人と対戦したが、沢村栄治の豪速球に押さえ込まれて優勝を逃した。このシーズン、藤井は安打、得点、塁打などでリーグ最多となっている。

1937年春のシーズンにも2シーズン連続の最多得点となる49得点をあげ、これは2シーズン制における日本記録になっている。同年秋には、初優勝を果たしたチームでクリーンナップを打ち、打点王・中島治康に1打点差となる36打点を挙げた。さらに、春のシーズンに優勝した巨人との間で行われた年度優勝決定戦では、第一戦で本塁打を放つなど山口政信、景浦將らとともに沢村を打ち込み、前年の雪辱を果たす年度優勝を飾った。この年の公式戦は全試合に出場している。

翌1938年春のシーズン優勝、同年の年度優勝にも中心選手として貢献した。このころの阪神打線は、トップバッターの松木謙治郎にはじまり、山口、景浦、藤井のクリーンナップ、強打の捕手田中義雄らをそろえた非常に強力なもので、主戦投手の西村幸生とあわせて史上最強のチームとも言われる。

1939年に軍に召集され、1942年に除隊され一時チームに復帰したものの、1943年に再び召集された。1945年末に戦地から帰還し、パシフィックと契約したが、タイガースとの2重契約の可能性があるとして、出場停止となる。しかし、出場停止中の1946年5月に公式戦に出場したため、その期間に藤井が出場した4試合を放棄試合として没収された。

1950年、新球団の大洋に移籍し、数少ないベテラン選手として四番打者に抜擢されると、全140試合に出場し、34本塁打、122打点、177安打と自己最高の成績を残した。その後も、1951年 8月5日の広島戦で1試合4二塁打の日本記録を樹立するなど、1958年まで選手としてチームを支えた。その間1952年に登録名を「秀郎」に変更したが、1954年には「勇」に戻している。

1955年は兼任監督に就任したが、自身が常時出場できないことなどによる戦力不足は深刻であり、31勝99敗と最多敗戦と最低勝率のセ・リーグ記録を残して同年限りで辞任した。1958年を最後に現役引退し、翌1959年から1961年まで大洋のコーチ、1962年から1963年まで大毎のコーチを務めた。1968年、大洋に2軍監督として復帰。同年イースタン・リーグ初優勝し、米田慶三郎、福嶋久晃（プロゴルファー・福嶋晃子の父）らを育てた。

1969年限りで古巣・大洋の2軍監督を辞任して、翌年からはコーチとして阪神に復帰した。ヘッドコーチもしくは打撃コーチとして田淵幸一をはじめとする若手打者を指導した。1973年、病気を理由に退団。1986年2月7日死去。享年69。

阪神、大陽での1リーグ時代は、ミート技術の高さを生かして度々左方向への巧打をみせた。一方で、大洋への移籍後は、飛ぶボールが導入されたこともあり、本塁打を量産した。途中戦争でプレーできなかった時期を除いても、実働期間は17年21シーズンにも及ぶ。

[編集] 年度別成績

年度	年度	試合	打数	安打	本塁打	塁打	打点	四球	犠打	盗塁	得点	打率	年齢	球団	背番号
1936年春	昭和11年春	9	37	13	1	18	3	6	4	0	5	.351	20歳	大阪	11
1936年夏	昭和11年夏	6	26	10	0	12	2	4	0	0	6	.385
1936年秋	昭和11年秋	30	125	40	0	50	14	17	0	9	30	.320
1937年春	昭和12年春	56	219	56	0	78	31	41	2	6	49	.256	21歳
1937年秋	昭和12年秋	49	187	56	1	72	36	28	2	3	29	.299	21歳
1938年春	昭和13年春	32	86	25	0	30	11	17	0	3	18	.291	22歳
1938年秋	昭和13年秋	29	80	16	0	20	6	6	3	0	4	.200	22歳
1942年	昭和17年	69	269	68	2	91	25	32	0	5	21	.253	26歳	阪神
1946年	昭和21年	78	311	89	4	120	35	29	0	1	35	.286	30歳	パシフィック	15
1947年	昭和22年	119	474	122	5	175	43	36	1	6	38	.257	31歳	太陽	11
1948年	昭和23年	128	481	107	4	138	54	27	1	10	39	.222	32歳	大陽
1949年	昭和24年	97	392	111	16	184	77	24	0	3	53	.283	33歳	大陽
1950年	昭和25年	140	541	177	34	323	122	68	0	4	104	.327	34歳	大洋	3
1951年	昭和26年	98	392	100	15	173	59	19	0	5	53	.255	35歳
1952年	昭和27年	107	440	126	14	206	69	32	1	10	75	.286	36歳
1953年	昭和28年	112	412	123	15	194	57	29	0	3	51	.299	37歳	洋松
1954年	昭和29年	112	397	105	15	172	55	28	0	2	37	.264	38歳
1955年	昭和30年	62	127	36	4	55	18	12	0	0	10	.283	39歳	大洋	30
1956年	昭和31年	101	299	79	13	128	34	20	0	0	25	.264	40歳		1
1957年	昭和32年	41	73	20	2	33	12	3	0	0	6	.274	41歳
1958年	昭和33年	12	19	3	1	6	1	0	0	0	1	.158	42歳
通算	21シーズン	1487	5387	1482	146	2278	764	478	14	70	689	.275	-	-	-

太字はリーグ最多。

[編集] 監督としてのチーム成績

年度

順位

試合

勝利

敗戦

引分

勝率

ゲーム差

チーム本塁打

チーム打率

チーム防御率

年齢

球団

1955年

昭和30年

6位

130

.238

61.5

.209

3.69

39歳

大洋

※1955年から1962年、1966年から1996年までは130試合制

監督通算成績　130試合　31勝99敗0分　勝率.238

[編集] 関連項目

阪神タイガース4番打者

第17代

先代:: 御園生崇男

次代:: 安居玉一

大洋ホエールズ監督

（1955年）

先代:: 永沢武夫（1954年）

次代:: 迫畑正巳（1956年～1958年）

※カッコ内は監督在任期間。

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藤井勇

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[編集] 来歴・人物

[編集] 年度別成績

[編集] 監督としてのチーム成績

[編集] 関連項目

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