葛湯
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葛湯(くずゆ)とは葛粉から作ったとろみのある飲み物である。通常、葛粉を水で溶いて砂糖を加え、鍋等で緩やかに加熱しながら透明になるまで練って作る。とろみがあるために冷めにくく、体が温まり、消化も良い。
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[編集] 成分と薬効
栄養成分は、葛粉による炭水化物と砂糖の糖分がほとんどである。若干のミネラル成分を含むが、ビタミンは含まれない。葛の根(葛根)そのものには、イソフラボン誘導体であるダイゼイン・ダイズイン・プェラリンなどが微量含まれており、発汗・解熱・鎮痙作用などがあるといわれるが、精製された葛粉にはこれらの成分はごく少ない。しかしながら、初期の風邪の寒気をやわらげ、熱を取り、喉の渇きを癒したり下痢などにも効果があるとされ、民間療法として伝統的に用いられている。
[編集] バリエーション
葛粉のみで作ると透明か半透明で、砂糖の甘味を感ずるだけであるが、抹茶を混ぜたり生姜をおろして混ぜることなどがある。特に生姜をおろして混ぜると体を温める効果が高い。近年はコーヒーやかんきつ類のしぼり汁を入れて飲むことなども行われ、そうした様々な風味のものがインスタントものとして市販もされている。あられなどをトッピングすることもある。
葛粉は吉野の本葛が最高級品とされ、それに和三盆糖を混ぜたものが葛湯としても最高級品となる。しかしながら、片栗粉などと同様に、現在葛粉と称して販売されているものの多くはジャガイモからとったデンプン(またはそれが混ざったもの)であることが多く、おのずと一般家庭において作られる葛湯は本物の葛湯ではないということになる。コーンスターチによっても作ることができる。
[編集] 作り方
鍋を火にかけて作るほか、茶碗・カップにて直接作ることもできる。以下のように2段がまえにすると失敗が少ない。
- 茶碗に砂糖を入れ少量の湯を注いで溶かし、砂糖湯を作る(他のものを混ぜるときはこの時点で混ぜ込む)。
- 砂糖湯が冷めたら、葛粉を入れて固まらないようにかき混ぜる(ぬるま湯で砂糖を溶かした場合は冷ます必要はない)。
- そこに充分量の熱湯を注いで素早くかき混ぜ、透明になったらできあがり。
- 分量は各自の好みによる