舞城王太郎
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
文学 |
ポータル |
各国の文学 記事総覧 |
出版社・文芸雑誌 文学賞 |
作家 |
詩人・小説家 その他作家 |
舞城王太郎(まいじょう おうたろう、1973年 - )は日本の小説家。福井県南越前町生まれ。
目次 |
[編集] 来歴
ミステリ小説『煙か土か食い物』で第19回メフィスト賞を受賞しデビューした。その後『暗闇の中で子供』『世界は密室でできている。』を矢継ぎ早に発表。講談社ノベルスで洋書のようなカバーデザインと特異な文体・物語の構成力で高い評価を浴びた。
2001年に短編『ピコーン!』で日本推理作家協会賞の候補となる。同年『群像』に発表し第15回三島由紀夫賞候補となった短編『熊の場所』以後は純文学にも活動の幅を広げ、2003年に『阿修羅ガール』にて第16回三島由紀夫賞を受賞した。
『好き好き大好き超愛してる。』は第131回(2004年下半期)の芥川龍之介賞候補作となった。石原慎太郎は「タイトルを見ただけでうんざりした」と批判したが、池澤夏樹・山田詠美などは強く推した。また三島由紀夫賞では選考委員のうち筒井康隆が舞城を評価して受賞に至ったが、一方で宮本輝委員は「面白くもなんともないただのこけおどし」と評するなど、評価は文壇の中で二分している。
学歴・職歴は非公表の覆面作家であり、三島由紀夫賞の授賞式にも欠席した。同賞の受賞者で式典に欠席したのは舞城がはじめてである。
2005年12月、映画・ドラマ・アニメ・ゲームなどの映像作品を企画・制作・販売するユニット「REALCOFFEE」に所属が確認されている。
舞城王太郎の「舞城」という名字(ペンネーム)は、故郷の福井県今庄町(現・南越前町)のアナグラムだという説がある(いまじょう→まいじょう)。また、福井県若狭地方には「王の舞」と呼ばれる伝統芸能が存在している。さらに、舞城王太郎の作品に登場する「西暁町」のモデルは(国道365号線が走っていることや停車駅との位置関係から)南越前町(旧今庄町)だとする説が有力である。
[編集] 作風
主に出身地の「福井県」を舞台にすることが多く、方言や地方性なども含めて中上健次の「紀州サーガ」や阿部和重の「神町サーガ」とならぶ「福井サーガ」を構築している。他に東京都調布市もいくつかの作品の舞台になっている。また、イラストレーションの腕も目を見張るものがあり,作品のほとんどは舞城自身がイラストを担当している。
[編集] 作品リスト
[編集] 単行本
- 『煙か土か食い物 Smoke, Soil or Sacrifices』(2001年講談社ノベルス、2004年講談社文庫)
- 『暗闇の中で子供 The Childish Darkness』(2001年講談社ノベルス)
- 『世界は密室でできている。 THE WORLD IS MADE OUT OF CLOSED ROOMS』(2001年講談社ノベルス、2005年講談社文庫)
- 『熊の場所』(中編集、2002年講談社、2004年講談社ノベルス、2006年講談社文庫)
- 「熊の場所」(2001年『群像』)
- 「バット男」(2002年『群像』、劇作家倉持裕によって戯曲化される)
- 「ピコーン!」(書き下ろし)
- 『阿修羅ガール』(書き下ろし長編、2003年新潮社、2005年新潮文庫)
- 「川を泳いで渡る蛇」(2003年『新潮』、文庫版のみに収録)
- 『九十九十九』(2003年講談社ノベルス)
- 清涼院流水によるJDCシリーズの世界にのっとって描かれている。
- 『山ん中の獅見朋成雄』(2003年講談社、2005年講談社ノベルス)
- 『好き好き大好き超愛してる。』(2004年講談社、2006年講談社ノベルス)
- 「好き好き大好き超愛してる。」(2004年『群像』)
- 「ドリルホール・イン・マイ・ブレイン」(2003年、『ファウスト』)
- 『みんな元気。』(2004年新潮社、イラスト片山若子)
- 「みんな元気。」(2004年『新潮』)
- 「Dead for Good」(書き下ろし)
- 「我が家のトトロ」(2003年『新潮』)
- 「矢を止める五羽の梔鳥」(2004年『新潮』)
- 「スクールアタック・シンドローム」(2004年『新潮』)
- 『SPEEDBOY!』(2006年講談社BOX)
[編集] 単行本未収録作品
- 『鼻クソご飯』(2002年『群像』)
- 『僕のお腹の中からはたぶん「金閣寺」が出てくる。』(2003年『群像』)
- 『W』(2003年『en-taxi』)
- 『papa IN THE DOG」(2003年9月『ファウストフェスティバル』にて配布)
- 『私たちは素晴らしい愛の愛の愛の愛の愛の愛の愛の中にいる。』(2003年『群像』)
- 『パッキャラ魔道』(2004年『群像』)
- 『petals』(2004年『週刊ヤングジャンプ』)
- 『駒月万紀子』(2004年『ファウスト』)
- 『A Dragon Girl』(2004年『制コレISM』)
- 『夜中に井戸がやってくる。』(2004年『ファウスト』)
- 『喜びは鳥になる。』(2005年『週刊新潮』)
- 『めくるめく』(2005年『ファウスト』)
- 『重たさ』(2006年『群像』)
- 『ディスコ探偵水曜日』
- 『第一部 梢』(2005年『新潮』)
- 『第二部 ザ・パインハウス・デッド』(2006年『新潮』)
- 『第三部 解決と○ん○ん 第1章』(2006年『新潮』)
- 『第三部 解決と○ん○ん 第2~5章』(2006年『新潮』)
- 『第三部 解決と○ん○ん 第6~7章』(2006年『新潮』)
- 『第三部 解決と○ん○ん 第8~11章』(2006年『新潮』)
[編集] その他の著作
- 評論『いーから皆密室本とかJDCとか書いてみろって。』(2003年『群像』、愛媛川十三名義)
- 翻訳作品『コールドスナップ』(2004年『ファウスト』、トム・ジョーンズ著)
- イラストーリー『二郎』(2004年『ファウスト』)
- 漫画作品『BLAND NEW ME, BLAND NEW WORLD』(2005年『ファウスト』)
- 漫画作品『ぬるつべぴりり』(2006年『コミックファウスト』)