山田詠美
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山田 詠美(やまだ えいみ、女性、1959年2月8日 - )は東京都板橋区中丸町生まれの小説家。本名山田双葉(やまだふたば)。明治大学文学部日本文学科中退。
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[編集] 作家研究
作家デビュー前は、本名の山田双葉で漫画家をしていた。初期には、日本人と黒人との男女関係を描く作品が多くあるが、山田詠美自身が『文藝』などのインタビューで答えている通り、中学時代にソウルミュージックに触れ、多くの黒人作家の小説や黒人が登場する小説を読んでいたことによる。 多人種が集まる街である六本木で仕事をし、黒人との交流も多かったため、デビュー作の『ベッドタイムアイズ』では、山田詠美が影響を受けた日本文学の文体を継承しつつ、黒人という”異人種”と結ぶ「女」を衝撃的に描き、江藤淳らに絶賛された。『PAY DAY!』では、9.11について生活者の側から描き、2005年『文藝』夏号のインタビューでも、肉体労働者を描いた短編集『風味絶佳』との関連で、「スモーキング可能な大衆食堂」について書面で答えており、生活から文学を語る論者としても注目されている。
2006年現在芥川賞選考委員。
[編集] 作品研究
2 冊目の作品集『ジェシーの背骨』では、恋人の連れ子と暮らすことになった女を描き、その筆致が、William Saroyan の『パパ・ユー・アー・クレイジー』を思わせる。子供との生活における特異な世界観を描き出し、芥川賞候補となった。
『風葬の教室』、『放課後の音符』、『晩年の子供』、『ぼくは勉強ができない』などでは、子供・いじめ・高校生小説の系譜を書き継いでいる。綿矢りさ・金原ひとみが芥川賞を受賞した際、文藝春秋のインタビューで、影響を受けた作品としてともに『放課後の音符』を挙げており、山田詠美の作品は現代の日本語作家にも大きな影響を与えていると言える。
福田和也は『4U』や『MAGNET』『風味絶佳』などを短編小説の名手として評価している(『作家の値打ち』)。若手の日本文学研究者からは、川端康成の少年少女小説の影響の指摘もなされる。また、海外小説に影響を受けた作家としてのイメージから、日本語文学の影響について考察もなされている。
『A2Z』は郵便局員との恋を描き、軽快さと一文字一文字までこだわる慎重さが同居する文体が高く評価された(読売文学賞受賞)。
[編集] 受賞歴
- 1985年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。
- 1987年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で第97回直木賞受賞。
- 1989年『風葬の教室』で平林たい子文学賞受賞。
- 1991年『トラッシュ』で女流文学賞受賞。
- 1996年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞受賞。
- 2000年『A2Z』で読売文学賞受賞。
- 2005年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞受賞。
[編集] 映像化作品
- 『ベッドタイムアイズ』(1987年)出演:樋口可南子
- 『ソウル・ミュージック ラバーズ・オンリー』(1988年)出演:真木蔵人 黒木瞳
- 『ぼくは勉強ができない』
- 『シュガー&スパイス~風味絶佳~』(2006年9月16日公開)出演:柳楽優弥 沢尻エリカ 夏木マリ
[編集] 主な著書
- 『ベッドタイムアイズ』(1985・河出書房新社)
- 『ジェシーの背骨』(1986・河出書房新社)
- 『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』(1987・角川書店)
- 『ひざまずいて足をお舐め』(1988・新潮社)
- 『風葬の教室』(1988・河出書房新社)
- 『放課後の音符』(1989・新潮社)
- 『チューイングガム』(1990・角川書店)
- 『色彩の息子』(1991・新潮社)
- 『熱血ポンちゃん』シリーズ(角川書店)
- 『トラッシュ』(1991・文藝春秋)
- 『ぼくは勉強ができない』(1993・新潮社)
- 『120%COOOL』(1994・幻冬舎)
- 『アニマル・ロジック』(1996・新潮社)
- 『4U』(1997・幻冬舎)
- 『MAGNET』(1999・幻冬舎)
- 『A2Z』(2003・講談社)
- 『PAY DAY!』(2003・新潮社)
- 『風味絶佳』
[編集] 余談
- 作家デビューする前、SMクラブで女王様として働いていた時期がある。
- 『僕は勉強ができない』の「番外編 眠れる分度器」が平成11年センター試験国語Ⅰ・Ⅱ第2問に使用された。正答率は低く、難問の部類に入るようだ。
[編集] 外部リンク
- ファンサイト A.L.A
- ファンサイトCLUB Amy
- ファンサイトamy yamada unofficial fan site