自衛隊ゴラン高原派遣
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自衛隊ゴラン高原派遣(じえいたいゴランこうげんはけん)とは、1996年(平成8年)以降、自衛隊が国連平和維持活動の一環として、シリアとイスラエルとの境界に位置するゴラン高原へ派遣されていること。自衛隊の派遣としては3度目のものであり、かつ最長のものである。
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[編集] 国連兵力引き離し監視隊
第4次中東戦争後、イスラエルとシリア間の停戦監視と両軍の兵力引き離しなどに関する合意の履行状況の監視を任務として、1974年(昭和49年)に、国連兵力引き離し監視隊(UNDOF:United Nations Disengagement Observer Force)が創設され、兵力引き離し地域(AOS:Area Of Separation)に展開している。
日本は長らくこの活動には関与していなかったが、1996年(平成8年)以降、自衛隊部隊を派遣している。
[編集] UNDOF司令部要員・空輸隊
UNDOFの司令部要員としては2名が派遣されている。1ヵ年程度で交代している。第8次の司令部要員として、初めて海上自衛官が派遣された。
1996年(平成8年)5月以降、航空自衛隊も6ヶ月に1度程度の割合で、C-130H輸送機やU-4多用途支援機を、派遣輸送隊の物資輸送のために派遣している。
[編集] ゴラン高原派遣輸送隊
[編集] 輸送隊の概要
ゴラン高原派遣輸送隊は、3等陸佐を隊長として、陸海空自衛隊の隊員43名からなる(陸上自衛隊の輸送科隊員が中心であるが、海空自衛官も派遣されている。)。半年程度で交代しながら任務を継続している。武器としては、小銃・拳銃・機関銃のみ携行している。
UNDOF司令官の隷下には2個歩兵大隊及び1個後方支援大隊(兵站大隊)が置かれており、日本隊はそのうちの後方支援大隊輸送部隊を担当している。UNDOF部隊の活動に必要な物資等を輸送すると共に、道路の補修、除雪作業などを担当している。
当初は、後方支援大隊は日本隊とカナダ隊とによって構成されていたが、2006年(平成18年)3月にカナダ隊に代わってインド隊が充てられた。
[編集] 第16次隊
2003年(平成15年)12月19日及び2004年(平成16年)1月9日には、第16次隊が、オーストリア軍、カナダ軍、スロバキア軍、ポーランド軍部隊等との交流行事を実施した。これにはシリア駐箚日本国特命全権大使、防衛駐在官、イスラエル及びシリアの日本人会会員も招待された。
[編集] 第21次隊
2006年(平成18年)に活動していた第21次隊はイスラエルによるレバノン侵攻の激化によりUNDOF司令官の命令を受けてシリア国内での活動を行わずイスラエル国内でのみ活動をした時期があった。また、この一連の戦闘で死亡した国連職員を悼み7月27日及び28日に日本隊も半旗を掲揚した。なお、同隊には海上自衛官が4名参加した。
なお、警務班は陸尉1名と陸曹1名の合計2名体制であるが、必ず派遣されている。2006年(平成18年)4月に、陸上自衛隊警務隊長榊枝宗男陸将補が第21次ゴラン高原派遣警務班を視察するとともに、UNDOF司令官及び後方支援大隊長(兵站大隊長)等へ表敬訪問をした。これには、第10次ゴラン高原派遣警務班長であった1等陸尉が随行している。現地ではウイコスキーUNDOF憲兵司令官(ポーランド陸軍憲兵)以下のUNDOF憲兵が要人警護として警護に当った。
[編集] 派遣部隊の一覧
次隊 | 指揮権承継日 | 隊長 | 部隊主力 |
---|---|---|---|
第1次隊 | 1996年(平成8年) | 佐藤正久 | |
第2次隊 | 1996年(平成8年) | 角南良児 | 西部方面隊 |
第3次隊 | 1997年(平成9年)2月 | 本松敬史 | 第1師団 |
第4次隊 | 1997年(平成9年) | 正木幸夫 | |
第5次隊 | 1998年(平成10年) | 佐藤正典 | 中部方面隊 |
第6次隊 | 1998年(平成10年) | 保坂祥二 | |
第7次隊 | 1999年(平成11年) | 堀切光彦 | 西部方面隊 |
第8次隊 | 1999年(平成11年) | 秋葉瑞穂 | 西部方面隊 |
第9次隊 | 2000年(平成12年) | 池田和典 | |
第10次隊 | 2000年(平成12年)7月 | 鬼頭健司 | 第1師団 |
第11次隊 | 2001年(平成13年) | 古庄信二 | 第2師団 |
第12次隊 | 2001年(平成13年) | 佐々木俊哉 | 第5師団(当時) |
第13次隊 | 2002年(平成14年) | 冨樫勇一 | 第3師団 |
第14次隊 | 2002年(平成14年)8月 | 浅野正尚 | 第10師団 |
第15次隊 | 2003年(平成15年)2月 | 近藤力也 | 第6師団 |
第16次隊 | 2003年(平成15年)8月 | 吉浦健志 | 第9師団 |
第17次隊 | 2004年(平成16年) | 遠藤充 | 第4師団 |
第18次隊 | 2004年(平成16年)9月 | 徳永勝彦 | 第8師団 |
第19次隊 | 2005年(平成17年)3月 | 佐藤和之 | 第1師団 |
第20次隊 | 2005年(平成17年) | 白川訓通 | 第12旅団 |
第21次隊 | 2006年(平成18年)3月2日 | 上野和士 | 第2師団 |
第22次隊 | 2006年(平成18年)9月6日 | 高橋洋二 | 第11師団 |
[編集] 評価
2006年(平成18年)1月に、日本がUNDOFに部隊を派遣して10周年になることを記念した式典が行われた。その際、「バラ・ナンダ・シャルマ」UNDOF司令官(ネパール陸軍中将)から森勉陸上幕僚長へメッセージが贈られた。
そこでは、
- 有能な隊員の派遣によって、中東地域の安全と安定に多大な貢献をしたこと。
- 派遣隊員の高い規律、能力、礼儀正しさ、文化及び心遣い。
などの点が評価された。
この派遣は人数こそ少ないものの長期にわたっていることから、陸上自衛官の国外派遣の経験を積む重要な場となっており、イラク復興業務支援隊の第1次隊長佐藤正久(化学科)はこの派遣に参加した経験を有している。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- ゴラン高原国際平和協力業務
- ゴラン高原国際平和維持活動(陸上幕僚監部)
- 国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)と日本の貢献(1)(外務省)
- 第2次ゴラン高原派遣輸送部隊長に聞く(SECURITARIAN 1997年6月号)
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